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星追いの少女、世界を旅して無双する  作者: 宵月
冒険者ギルドとベテラン
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23/26

第二十三話 横暴なベテラン

今回も読んでいただきありがとうございます!


宵月「今回は、リリアとアリシアが新しい街グランベルに到着します!」


リリア「新しい街! どんな美味しいものがあるんでしょう?」


宵月「……まずは冒険者ギルドに行こうね」


リリア「はい!」


宵月「そして、ちょっと横暴な冒険者も登場します」


リリア「……あの人、ちょっと苦手です」


宵月「それでは、今回のお話もよろしくお願いします!」


 アリシアさんと一緒に旅を始めてから、数日が経った。


 私たちは街道を歩きながら、次の街を目指していた。


「……リリア。そろそろ見えてくるぞ」


「えっ、本当ですか?」


 アリシアさんの言葉に、私は顔を上げた。


 街道の先。


 遠くに、大きな街が見えていた。


「わあ……!」


 思わず声が出る。


 高い石壁に囲まれた街。


 門の向こうには、たくさんの建物が並んでいる。


 今まで訪れた街とは、また違った雰囲気だった。


「ここがグランベルだ」


「グランベル……!」


 私は街の名前を繰り返した。


 どんな街なんだろう。


 美味しいものはあるかな?


 どんな人たちが暮らしているんだろう?


 そんなことを考えていると、自然と足取りが軽くなった。


「早く行きましょう!」


「……ああ」


 アリシアさんは小さく笑った。


 ◆


 街の門を通り、私たちはまず冒険者ギルドへ向かった。


 旅を続けるなら、依頼を受けることもある。


 それに、街の情報を集めるにはギルドが一番だ。


「こんにちはー!」


 ギルドの扉を開ける。


 中には、たくさんの冒険者がいた。


 受付の前で依頼を相談している人。


 酒場で仲間と話している人。


 装備の手入れをしている人。


 みんな、それぞれ忙しそうだ。


「わあ……賑やかですね!」


「そうだな」


 アリシアさんが頷いた。


 私は受付へ向かおうとした。


 そのとき。


「おい。そこの新人」


 突然、後ろから声がした。


「……ん?」


 振り向くと、そこには大柄な男性が立っていた。


 年齢は三十代くらいだろうか。


 身体はがっしりしていて、背中には大きな戦斧を背負っている。


 その男性は、私の冒険者証をちらりと見た。


「Dランクか」


「はい!」


「……ふん」


 男性は、依頼掲示板に貼られた依頼書を一枚剥がした。


 そして、私が見ていた依頼書の前に立つ。


「これを受けるつもりだったのか?」


「えっと……はい。ちょっと気になって」


 依頼書には、近隣の森に出現した魔物の討伐と書かれていた。


 危険度はそれほど高くない。


 けれど、少し遠くまで行く必要があるらしい。


「やめておけ」


「……え?」


 男性は依頼書を丸めた。


「お前みたいな新人が受ける依頼じゃねえ」


「でも、これくらいなら……」


「いいからやめとけ」


 男性はそう言って、依頼書を掲示板へ戻した。


 そして、別の依頼書を手に取る。


「お前はこっちでも受けてろ」


 差し出されたのは、街の近くで薬草を採取する依頼だった。


「……薬草採取?」


「そうだ。新人はこういうのをやってりゃいい」


 男性は私を見下ろした。


「身の程を知れ」


 ……むむ。


 なんだか、すごく失礼な人だ。


 私は少しだけ頬を膨らませた。


「……でも、私だって冒険者です」


「だから何だ?」


「えっと……」


 男性は鼻を鳴らした。


「実力もねえのに、危険な依頼を受けようとするな。周りに迷惑がかかる」


 そう言って、男性はギルドの奥へ歩いていった。


 私はその背中を見つめた。


「……なんなんですか、あの人」


 思わず呟く。


 隣にいたアリシアさんは、少しだけ表情を曇らせていた。


「……グレイヴだ」


「グレイヴさん?」


「Sランク冒険者だ。実力は確かだが……」


 アリシアさんは、グレイヴが消えていった方を見た。


「新人には、ああいう態度を取る」


「……そうなんですか」


 私は少し考えた。


 Sランク。


 すごく強い冒険者なんだろう。


 でも、だからってあんな言い方をしなくてもいいと思う。


「……アリシアさん」


「何だ?」


「私、あの人ちょっと苦手です」


「……そうか」


 アリシアさんは小さく頷いた。


 ◆


 その後、私たちは受付で街の情報を聞いていた。


 グランベル周辺には、いくつかのダンジョンがあるらしい。


 そのうちの一つは、最近魔物の出現数が増えているという。


「へえ……」


 私は依頼書を眺めた。


 ダンジョンの調査依頼。


 魔物の討伐依頼。


 素材の採取依頼。


 どれも面白そうだ。


「……リリア」


 アリシアさんが私を呼んだ。


「はい?」


「さっきのグレイヴのことだが」


「……はい」


「できるだけ、関わらない方がいい」


「えっ?」


 私は首を傾げた。


「どうしてですか?」


「……あの男は、かなり面倒な人物だ」


 アリシアさんは少しだけ言葉を選ぶようにしていた。


「実力はある。だが、他の冒険者に対しても横暴な態度を取ることがある」


「……」


「特に新人には厳しい。依頼を横取りしたり、無理に別の依頼を受けさせたりすることもある」


 私は、先ほどの出来事を思い出した。


 確かに、あの人は私が受けようとした依頼を勝手に持っていった。


「……嫌な人ですね」


「……そうだな」


 アリシアさんは、静かに頷いた。


「だから、あまり関わらない方がいい」


「……分かりました」


 私は素直に返事をした。


 せっかく新しい街に来たのに、面倒な人と関わるのは嫌だ。


 それに、私はアリシアさんと一緒に旅をしている。


 アリシアさんがそう言うなら、きっと理由があるんだろう。


「……よし!」


 私は依頼掲示板へ向かった。


「じゃあ、別の依頼を探しましょう!」


「ああ」


 アリシアさんも頷いた。


 私たちは、グレイヴがいる場所を避けながら依頼を探すことにした。


 ◆


 その頃。


 ギルドの奥にある酒場では、グレイヴが一人で酒を飲んでいた。


 周囲には、彼を見てひそひそと話す冒険者たちがいる。


「また新人に絡んでたぞ」


「相変わらずだな、あのおっさん」


「Sランクなのに、なんであんなに新人に厳しいんだ?」


 グレイヴは、そんな声を聞いても何も言わなかった。


 ただ、グラスを傾ける。


 そして、ぽつりと呟いた。


「……あいつらには、まだ早い」


 その言葉を聞く者はいなかった。


 グレイヴはグラスを置き、依頼掲示板の方へ視線を向けた。


 そこには、先ほどの少女の姿があった。


 小柄な身体。


 大きな剣。


 Dランクの冒険者証。


「……まったく」


 グレイヴは小さく息を吐いた。


「死に急ぐんじゃねえよ」


 そして、再び酒を口に運んだ。


 ◆


 私たちは、街の近くにある森で薬草採取の依頼を受けることにした。


 危険度は低い。


 アリシアさんと一緒なら、問題ないだろう。


「よし。これにしましょう!」


 私は依頼書を受付に持っていった。


「はい。では、こちらの依頼を受け付けますね」


 受付のお姉さんが笑顔で答える。


 私は依頼書を受け取り、アリシアさんと一緒にギルドを出た。


 ……グレイヴさんとは、もう関わらない。


 そう決めた。


 けれど。


 このときの私は、まだ知らなかった。


 この街で受けた依頼が、思いもよらない危険へと繋がっていくことを。


 そして。


 あの横暴なベテラン冒険者と、再び出会うことになるなんて。


 ◆


 グランベルの街を出て、森へ向かう。


 私は薬草採取の依頼書を見ながら、歩いていた。


「……師匠と暮らしていた山にも、似たような薬草があったな」


 そんなことを思い出す。


 師匠は、薬草の見分け方も教えてくれた。


 毒のある植物。


 薬になる植物。


 採取していいものと、そうでないもの。


 全部、師匠に教わったことだ。


「……よし。いっぱい集めよう!」


 私は笑顔で森へ入っていった。


 その先に、まだ誰も知らない危険が待ち受けているとも知らずに。


今回も読んでいただきありがとうございます!


新しい街グランベルで、リリアたちは少し面倒な冒険者と出会いました。


次回は、依頼先で思いもよらない事態が待ち受けています。


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