第十九話 万魔の災厄
今回も読んでいただきありがとうございます!
宵月「前回、リリアが謎の少年と遭遇しました。今回はその続きです。ぜひ最後までお楽しみください!」
リリア「ちょっと待ってください! 私が紹介します!」
宵月「……えっ?」
リリア「今回もよろしくお願いします!」
宵月「いや、ちょっと待って!? 前書きは作者が――」
リリア「それでは、本編へどうぞ!」
宵月「ちょっと!!」
「……上位魔族?」
目の前の少年がそう名乗った。
その言葉を聞いて、私は少しだけ警戒を強める。
上位魔族という存在は、冒険者ギルドでも聞いたことがある。
普通の魔物とは比べものにならないほど強い魔力と知能を持ち、下位魔族でも、そこらの冒険者では手も足も出ない存在。
そんな相手が、どうして街の近くにいるんだろう。
「それで、君が魔物を集めているの?」
「うん。そうだよ」
少年は楽しそうに頷いた。
「僕の魔法で、魔物たちを集めているんだ。ほら、あそこにも」
少年が指を向けた先には、森の中から次々と現れる魔物たち。
ゴブリンやオークだけじゃない。
大きな身体を持つ上位種や、強い魔力を感じる魔物までいる。
「……どうして、こんなことを?」
「どうして?」
少年は首を傾げた。
「面白そうだったから?」
「……面白そう?」
「うん。人間ってさ、仲間を守ろうとするでしょ?」
少年は街の方を眺めながら、楽しそうに続けた。
「自分が危なくなっても、誰かを助けようとする。そういうところが面白いんだよね」
……この人、何を言っているんだろう。
私は少しだけ眉を寄せた。
「街の人たちを、困らせるつもりなの?」
「うーん。困らせるっていうか……」
少年は少し考えてから、にこっと笑った。
「遊んでみたいんだ」
その言葉を聞いた瞬間、私は剣を握り直した。
街には、たくさんの人がいる。
優しくしてくれた人たち。
美味しい料理を作ってくれる人。
冒険者ギルドでお世話になっている人。
そんな人たちを、遊びのために危険な目に遭わせるなんて。
「……それは、ダメだよ」
「え?」
「みんなを困らせちゃダメ!」
私は少年を見つめた。
少年は、少しだけ目を丸くする。
そして。
「……ふふっ」
楽しそうに笑った。
「君、面白いね」
「……?」
「じゃあ、君も一緒に遊ぼうよ」
少年が手をかざす。
その瞬間、周囲の魔物たちが一斉に動き出した。
「……っ!」
私はすぐに身体強化の魔法をかける。
迫ってきた魔物の攻撃を避け、剣を振るう。
一体。
二体。
魔物たちを倒しながら、私は少年へと近づいていった。
間合いまで近づいて剣を振った。
けれど。
「……あれ?」
剣を振ったはずなのに、少年の姿がそこにない。
気づけば、少し離れた場所に立っていた。
「……今の、避けたの?」
「うん。危ないからね」
少年は笑っている。
私は剣を構え直した。
……この人、思ったより強い。
魔物たちを操る魔法だけじゃない。
本人も、かなりの実力を持っているみたいだ。
「ねえ、君は何者なの?」
私は尋ねた。
少年は少しだけ首を傾げる。
「僕?」
そして、楽しそうに笑った。
「僕は上級魔族。第十位だよ」
「……第十位?」
「そう。異名は――」
少年は、まるで自分の名前を紹介するように言った。
「万魔の災厄」
その言葉と同時に、周囲の魔物たちが一斉に動き出す。
私は剣を握り、魔法を使う準備をした。
……この人を止めないと。
街のみんなを、守らないと。
そう思った。
◆
一方、街では。
「……まだ魔物が来るのか!」
冒険者たちが、街の外から押し寄せる魔物たちを迎え撃っていた。
街の人々を守るため、騎士たちも必死に戦っている。
その中に、アリシアの姿があった。
「……くっ!」
剣を振るい、魔物を退ける。
けれど、魔物の数は減らない。
むしろ、増えているようにさえ感じられた。
アリシアは周囲を見渡した。
街の人たちは、避難を終えつつある。
冒険者たちも、騎士たちも、懸命に戦っている。
……今度こそ。
今度こそ、守らなければ。
アリシアは剣を握りしめた。
そのとき。
「……あれ?」
遠くの森から、強い魔力が感じられた。
アリシアは顔を上げる。
その魔力は、リリアが向かった方向から感じられる。
「……リリア?」
アリシアは一瞬、迷った。
街を守るために、ここに残るべきか。
それとも、リリアのもとへ向かうべきか。
けれど。
あの少女は、きっと一人で戦っている。
アリシアは剣を握りしめた。
「……待っていて」
そして、森へ向かって走り出した。
◆
「……よし!」
私は剣を構え直した。
目の前には、万魔の災厄。
そして、周囲にはたくさんの魔物たち。
……大変そうだけど。
でも。
私は、負けるわけにはいかない。
街のみんなを守るために。
私はもう一度、少年へと向かって走り出した。
今回も読んでくれてありがとうございます!
今回は、ちょっと強そうな人と戦うことになりました!
でも、街のみんなを守るために頑張ります!
……あの人、なんだか不思議な人でしたね。
次回も、ぜひ読んでくださいね!
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