↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星追いの少女、世界を旅して無双する  作者: 宵月
星を失った騎士と、星を追う少女
PR
14/25

第十四話 賑やかな街と、少しの一歩

町で過ごす穏やかな一日。

少しずつ前を向き始めるアリシアと、いつも通り元気なリリア。

しかし、町の周辺では不穏な変化が起き始めていました。


 朝。


 私は、アリシアさんの部屋を訪ねていた。


「アリシアさん、おはようございます!」


「……リリアさん?」


 扉を開けたアリシアさんは、少し驚いた顔をしていた。


「今日は一緒にお出かけしませんか?」


「お出かけ……ですか?」


「はい! せっかく町にいるんですから、色々見て回りましょう!」


 私は笑顔でそう言った。


 アリシアさんは、少し困ったように視線を落とした。


「……私は、あまり気分が」


「そうですか……」


 私は少し考える。


 無理に誘うのもよくない。


 でも、ずっと家の中にいるのも、きっとつらいと思う。


「じゃあ、少しだけでも。すぐ帰ってきても大丈夫ですよ!」


「……」


 アリシアさんはしばらく黙っていた。


 そして。


「……分かりました。少しだけなら」


「やった!」


 私は思わず声を上げた。


 アリシアさんは、そんな私を見て小さく息を吐いた。


 ……よかった。


 ◆


 町を歩いていると、色々な人に声をかけられた。


「リリアちゃん、おはよう!」


「おはようございます!」


「今日はお友達と一緒かい?」


「はい! アリシアさんです!」


 私は隣にいるアリシアさんを紹介した。


 町の人たちは、アリシアさんを見ると少しだけ表情を変えた。


 でも、誰も無理に話しかけたりはしなかった。


「……アリシアさん、今日はいい天気ですね」


「……そうですね」


 私は空を見上げた。


 青い空。


 白い雲。


 風も気持ちいい。


 こんな日は、外を歩くだけでも楽しい。


「ねえ、アリシアさん。あのお店、気になりませんか?」


「……あのお店ですか?」


 私が指さしたのは、焼き菓子を売っているお店だった。


 甘い匂いがする。


 とっても美味しそう。


「ちょっと見ていきましょう!」


 私はアリシアさんの返事を待たずに、お店へ向かった。


「いらっしゃい!」


 店主のおじさんが笑顔で迎えてくれる。


「今日は何にするんだい?」


「えっと……おすすめはありますか?」


「そうだな。今日は焼きリンゴのパイがいいぞ」


「焼きリンゴ!」


 私は目を輝かせた。


 焼きリンゴのパイ。


 絶対に美味しい。


「アリシアさんも食べませんか?」


「……私は」


「一緒に食べましょう!」


 私は二つ注文した。


 お店の前のベンチに座り、焼きたてのパイを食べる。


「いただきます!」


 さくっ。


 パイ生地は香ばしくて、口の中でほろほろと崩れる。


 中のリンゴは甘く、少し酸味もあって、とっても美味しい。


「……美味しいです!」


 私は思わず笑顔になった。


 隣を見ると、アリシアさんもパイを食べていた。


「……美味しいですね」


「ですよね!」


 アリシアさんの声は、まだ少し元気がなかった。


 でも、さっきよりは柔らかくなった気がする。


 私はそれが嬉しかった。


 ◆


 その後、私たちは冒険者ギルドへ向かった。


 今日も後で依頼を受けようと思っていたからだ。


 ギルドの中では、冒険者たちが何やら話をしていた。


「最近、魔物が妙に少なくないか?」


「確かに。ここ数日、討伐依頼もほとんど出ていないな」


「山の方も静からしいぞ」


 私はその話を聞いて、首を傾げた。


「……魔物が少ないんですか?」


 近くにいた冒険者さんに尋ねる。


「ああ。いつもなら、もっと魔物の討伐依頼が出ているんだがな」


「そうなんですか?」


「まあ、魔物が少ないなら平和でいいんだが……」


 冒険者さんは少し考えるように腕を組んだ。


「なんだか、妙な感じがするんだよな」


 私は首を傾げた。


 魔物が少ない。


 それなら、平和でいいんじゃないだろうか。


 ……でも。


 冒険者さんたちが気にしているのなら、何か理由があるのかもしれない。


「リリアさん」


 隣からアリシアさんの声がした。


「そろそろ帰りましょうか」


「あ、はい!」


 私は頷いた。


 今日は、依頼を受けるのはやめておこう。


 ◆


 夕方。


 町の外を眺めながら、私はアリシアさんと歩いていた。


「アリシアさん、今日は楽しかったですか?」


「……そうですね」


 アリシアさんは少しだけ考えた。


「少しだけ、楽しかったです」


「本当ですか?」


「はい」


 私は嬉しくなった。


「また一緒にお出かけしましょう!」


「……そうですね」


 アリシアさんは、ほんの少しだけ笑った。


 私はその笑顔を見て、思った。


 きっと、まだ大丈夫。


 少しずつでも、前に進める。


 ◆


 その頃。


 町から離れた山の奥では、静かに何かが動いていた。


 普段なら聞こえるはずの魔物の鳴き声は、ほとんどない。


 けれど。


 その静けさの中で、何かが近づいていた。


 町の人たちは、まだ知らない。


 この静かな時間が、長くは続かないことを。


今回も読んでいただき、ありがとうございます!


少しずつ前を向き始めるアリシア。リリアと過ごす時間が、彼女にとって小さな一歩になればいいですね。


そして、最近魔物が少ないという不穏な噂。次回もぜひお楽しみに!


よければ感想やブックマークで応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。