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星追いの少女、世界を旅して無双する  作者: 宵月
第一章 星追いの旅立ち
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第十話 次の星を探して

初めての街で冒険者として過ごした日々。

たくさんの出会いと経験を胸に、リリアは次の街へと旅立ちます。

そして、彼女に付けられた意外な異名とは……?


 冒険者になってから、いろいろなことがあった。


 初めての街。


 初めての依頼。


 初めてのダンジョン。


 そして、冒険者ランクもDからCへ。


 ……うん。


 そろそろ、次の街へ行ってみようかな。


 師匠の願いは、私が世界を旅すること。


 この街での生活にも慣れてきたし、冒険者としても少しずつ経験を積めている。


 なら、次の場所へ行くのもいいと思う。


「よし!」


 私は荷物を確認して、街へ出た。


 まずは、いつもお世話になっている鍛冶屋さんへ。


 ◇


「おう、嬢ちゃん。今日はどうした?」


 鍛冶屋の扉を開けると、ドワーフのおじさんが出迎えてくれた。


「こんにちは! 実は、そろそろ旅に出ようと思って」


「ほう。次の街か?」


「はい。もっといろんなところを見てみたいんです」


「そうか。いいことだ」


 おじさんは満足そうに頷いた。


 私は腰に下げた剣に目を落とす。


 無窮・導星。


 師匠から受け継いだ、大切な剣。


「……そういえば」


 ふと思い出した。


「おじさん、師匠のことって何か知ってますか?」


「師匠?」


「はい。私の剣を作った人です」


 おじさんは少し目を細めた。


 それから、工房の奥へと視線を向ける。


「……ああ。あの人か」


「知ってるんですか?」


「知ってるも何も、昔から有名な騎士だったぞ」


 私は目を丸くした。


「えっ!?」


「腕の立つ剣士でな。剣の腕だけじゃなく、人柄も良かった。鍛冶屋の連中にも、あの人を慕う奴は多かったんだ」


 師匠が騎士だったことは知っている。


 でも、そんなに有名だったなんて。


「……師匠、そんなにすごい人だったんですね」


「すごい人だったさ。だが、ある時から姿を見なくなった。何があったかは、俺も詳しくは知らん」


 おじさんは私の剣を見た。


「ただ、その剣を見れば分かる。あの人がどれだけお前を大切にしていたか」


 私は剣の柄をそっと握った。


「……はい」


 師匠。


 私は、まだ知らないことがたくさんある。


 師匠がどんな人だったのか。


 どんな景色を見てきたのか。


 どんな思いで、私に剣を教えてくれたのか。


 旅を続けていけば、いつかもっと知ることができるかもしれない。


「……ありがとうございます、おじさん」


「おう。旅先で剣を粗末にするなよ」


「はい!」


 私は鍛冶屋を後にした。


 ◇


 次に向かったのは、冒険者ギルド。


 旅に出る前に、受付のお姉さんにも挨拶しておこうと思ったのだ。


「こんにちは!」


「あら、リリアさん。いらっしゃい」


「実は、そろそろ次の街へ行こうと思って」


「そうなんですか。寂しくなりますね」


 受付のお姉さんが少し残念そうに笑った。


「でも、リリアさんならどこへ行っても大丈夫そうですね」


「えへへ……」


 私は照れくさくなって、頭を掻いた。


 そのとき。


 ギルドの奥から、冒険者たちの声が聞こえてきた。


「おい、戦姫が来てるぞ!」


「戦姫?」


 私は首を傾げた。


 ……誰のことだろう?


 周りの冒険者たちが、こちらを見ている。


「なあ、リリア。お前、自分の異名知らないのか?」


「異名?」


「戦姫だよ、戦姫!」


「……えっ?」


 私は思わず自分を指差した。


「私ですか!?」


「そうだよ。あの模擬戦で訓練場の壁をぶっ壊しただろ?」


「うっ……」


 思い出した。


 あのときは、修理費のことしか頭になかった。


「最初の相手を一瞬で倒したと思ったら、最後は鎧をぶっ壊すし。あれだけ強けりゃ、戦姫って呼ばれてもおかしくないだろ!」


「いやいやいや! そんな大げさですよ!」


 私は慌てて手を振った。


 戦姫。


 なんだか、すごく強そうな名前。


 私には似合わないと思う。


 だって、私はただの冒険者だし。


 師匠に教えてもらった剣を使っているだけ。


 でも、周りの冒険者たちは楽しそうに笑っていた。


「いいじゃねえか、戦姫!」


「次の街でも暴れてこいよ!」


「壁は壊すなよ!」


「うぅ……」


 私は思わず頬を膨らませた。


 ……壁は、もう壊したくない。


 ◇


 ギルドを出ると、街の人たちにも挨拶をした。


 料理屋のおやじさんにも、旅に出ることを伝えた。


「そうか。もう行くのか」


「はい! いろんな街を見てみたいんです」


「なら、腹が減ったらいつでも食いに来い。旅先でも美味いもんを食えよ」


「ありがとうございます!」


 私はお礼を言って、街の門へ向かった。


 初めて山を下りて、この街に来たとき。


 私は何も知らなかった。


 街の人たちも、冒険者のことも、世界のことも。


 でも、今は違う。


 たくさんの人と出会って、いろいろなことを経験した。


 この街で過ごした日々は、きっと忘れない。


 私は門の前で立ち止まり、振り返った。


「……また来ますね!」


 誰に向けた言葉かは、自分でも分からなかった。


 でも、そう言いたかった。


 そして、私は前を向いた。


 次の街へ。


 次の景色へ。


 次の星を探して。


 師匠が見せてくれた世界を、もっと知るために。


 私は一歩、踏み出した。

今回は、リリアが初めての街を旅立つお話でした!


鍛冶屋のドワーフから聞いた師匠の過去。

そして、ギルドで付けられていた異名「戦姫」。


本人はまだまだ自覚がないようですが、少しずつ冒険者として有名になってきているようです(笑)。


これからもリリアの旅を見守っていただけると嬉しいです!


よければ感想やブックマークで応援していただけると嬉しいです!

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