おまけ パキラとエディ。
「パキラ、お前本当にそれでいいのか?」
そう言って声をかけてくるのはエリオントだ。
「なんだろうな……ずっと一緒にいたら、それが当たり前になってしまったんだよ。」
元々俺は兄弟の多い家系で育っているし、
それぞれが家系魔法で変身出来ることから、
皆自由気ままに行動していることが多い。
侯爵家は、
継ぎたいものが継げば?という感じだ。
中には人以外の動物と連れ添っているものいる。
「それにさ、人間になれない訳じゃないんだ。
俺はこれからもエリオントの側近として、
お前のすぐ側にいるよ。」
「本当、お前ってやつは……わかった。
これからも側近としてこき使ってやるからな。
まっ、その前にお前の気持ちをエディに伝えてこい。
振られたら盛大に笑ってやるさ。」
エリオントに肩をバシバシと叩かれながら送り出された俺は、
エディの行きそうな場所を探した。
よくよく考えてみれば、
いつも会うのは道の途中で、
エディのことを知らないことに気づく。
「家にでも行って……」
「パキラにゃ!久しぶりにゃ!」
「うお!!エディ。なんでここにいるんだ?」
「天気もいいしパトロールにゃ!
まだにゃにがあるか分からにゃいからにゃ。
油断は禁物にゃ!」
片手を腰に当て、
胸をとんとん叩くエディ。
大体その後、
胸を叩きすぎて咳き込むまでが定番なのだが……
案の定、咳き込んでいた。
「エディ、今暇ならちょっと付き合ってくれないか?」
「大丈夫にゃぁー!」
と、後ろをちょこちょこ着いてくる白猫。
この姿が可愛いと感じる俺は、
重症だろうか。
「エリオント殿下とフランは、
にゃんだか幸せそうで良かったにゃ。」
処刑台に登ってから、
1ヶ月経ったくらいだろうか。
あの2人の婚約が進んでいて、
卒業後にはフランチェスカがサントノーレ国に行くという話にまでなっていた。
あの時は俺もエディも、
顎が外れるのではないかと思うくらい吃驚したものだ。
「そうだな……で、おまえはどうするんだ?これから……」
2人で塀を歩きながら話す。
本当にこの数年で、
自分の猫姿が板に着いてしまったなと感じる。
「そうにゃぁ。
フランも幸せそうにゃし、
吾輩は1人で旅にでも出ようかにゃ。
猫だからのらりくらり自由に生きるのもいいにゃ。」
猫が一人旅って……
全く聞かないんだが……
それにこの方向音痴で帰ってこれるんだろうか。
1度家を出たら戻れなさそうだ。
「もし良かったら俺と一緒にいないか?」
「んにゃ!?
それは飼い猫ににゃらにゃいかということかにゃ?
生憎……フランがいるにゃ。」
確かに飼い主という手もあるが、
そういう意味で言ったんじゃないんだが……
「あぁ。言い方が悪かったよ。
猫として一緒に暮らそう。
と言っているんだ。」
「でも、人間の方が過ごしやすいにゃ……」
「確かにそういう時もあるな。
でもエーデルワイスとなら、
猫の生活も楽しいと思うんだ。
だからどうだろうか。」
勿論、仕事の時は人間にもなるから安心してくれ。
元は人間だけど、
猫でいることの方が多くなったことにより、
自分の中で猫でいるのが当たり前になっている。
なんなら好きになった女の子も猫だ。
だったらいっその事、
猫でいてもいいんじゃないかと思っているんだ。
「わ、わたしでいいのかにゃ?」
「勿論だ。エディと一緒にいたい。」
きっとエディの方が先に虹の橋を渡ることになるんだろうが……
それでもその時が来るまで、
寄り添っていたい。
「ありがとうにゃ。
ほ、ほんとは少し心細かったのにゃ……
だからパキラ、よろしくにゃ。」
知ってたよ。
エディがいつもフランチェスカを見て羨ましそうにしている姿も、
幸せそうな姿を見て、
嬉しい半面寂しそうにしている姿も、
猫だからと色々我慢していた姿も……
そういった全てが、
愛おしく思えたんだ。
だから猫として、
2匹で過ごそうと思ったんだ。
俺はパキラの花言葉のように、
君に幸運を運ぶことが出来ただろうか。
「あぁ、こちらこそよろしくな、エーデルワイス。」




