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レーア・エルゼ  作者: ゆきや
第1章 旅立ち
3/14

3.

「おじいさん!!!」


灰色の防波堤の上から大声を出したウィルバーは、老人のいる海辺まで一気に駆け下りた。


「……はて?」


あまりの出来事に目を丸くする老人。

しかしウィルバーは構うことなく息を切らしながら問いかけた。


「あのっ! ……ぜえ、さっき、あっちの上から……はあはあ、見かけて!」

「まあ落ち着きましょうかねえ」


優しい笑みを浮かべた老人が、ウィルバーの大きく動く背中をゆっくりと撫でてくれた。


おかげでウィルバーは少しゆとりが持てた。


「ごめんなさい、急に。ウィルバーと言います。さっき、部屋で寝てたら天井に虹色の光が見えて、それで」

「そうかい、そうかい。君の目には色彩が見えたのかい」

「色彩?」

「そう」


老人は静かにうなづくと、灰色のコートのポケットから赤、青、緑などの色を持った鉱石を見せてくれた。


「――!!」


――色がっ!


ウィルバーは灰色の海辺では眩しいほどの色を含んだ鉱石に、目を細めた。


「これは“レーア・エルツ”という鉱石だ」

「“空の鉱石”?」

「そう」


老人が鉱石の一つを、空も海もわからない灰色の世界へ突き出した。

ウィルバーは老人と同じようにその鉱石を眺める。


「これはここから北に行った国で見かけたライムという果実の色だ」

「ライム……緑……」


――色が……見える‥…!


ウィルバーは口をあんぐりと開けてその色を見ていると、老人から何かを手にぽんっと置かれた。


手のひらには老人が持っていた色とりどりの鉱石と形は同じだが、色を持っていなかった。

無色透明。


「レーア・エルツ……?」

「そう」


老人がにっこり微笑んだ。


「君は七つの色が見える。でもこの世の中はもっともっと色にあふれている。願えばそれを取り込むことができるんだよ、この鉱石は」

「だから“空の鉱石”」

「そう」


老人は深くうなずいた。


「からっぽの鉱石だ」

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