表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/278

きゅうけいさんは相手を想像する

 はいどーも、お久しぶりです。ハイオークさんですね。自動車とか速く走れそうなお名前です。

 こっちでの生活が長すぎるため、最早ゲームの続編ぶりに同じ敵キャラを見るぐらい久しぶりな気がする。


 緑の肌、豚の頭、ふとっちょの腹と……両刃グレードアクス。

 ダークエルフの集落の向こう側の海岸で見た時そのまんまだね。


「ヘイヘーイ、こっちこっち」


 あの時はちゃちゃっと倒しちゃったけど、折角なので動いたこいつも見ておきたいね。

 そう思って、私は手を叩いてハイオークを誘う。

 当然相手も私を認識して、武器を構えてドスドス足音を立てるようにやってくる。


 最初のハイオークは、振り上げて構えた。

 これは、真っ直ぐ薪割りのような攻撃が来ますね。

 振り下ろす瞬間に向きを変えるので、構えて1秒待ってからのサイドステップ。

 私の横をさらりと刃が通り過ぎたところで剣で腰を両断。お疲れ様でした。


 次のハイオークは、斧を横に構えて腰を低く。

 これは振り回しですね。私は三歩下がって手を腰に当て観察。

 予想通りぐるんぐるん斧をジャイアントスイングみたいに振り回し、私の目ので静止。

 隙だらけの頭をさくっと切り飛ばしておしまい。

 ちなみに今の攻撃は、レアドロップアイテム『ハイオークの両刃グレートアクス』の両手持ちL2特殊攻撃でプレイヤーも出来ます。

 使い勝手は……まあ……うん、見ての通りです……。


 最後のハイオークは、正面向いて腰を低くする。

 あ、やけくそ振り回しですね。

 予想通り斧を肩に持ち上げ、両手で袈裟に、更に反対側からも袈裟に、という要領でぶんぶんナナメに振り下ろす。

 その往復三回目、左上から右下に振り下ろす直前で私は一歩前に出る。


「よっと」


 オークが振り落とす前に、その手首を掴んで一気に押し飛ばす。

 ゲームでも、このタイミングが一番パリイが決まりやすいんだよね。

 ベルさんが素手パリイキャラだったので、私も久々にやってみたくなっちゃった。

 背中から倒れ込んだハイオークの心臓を一突き。

 どう見てもオーバーキルです、ありがとうございました。




 満足げに腰を当て、手応えの感触に頷きながら後ろを見る。


「もういないかな? といっても私がやらなくてもみんな余裕だと思うけど」


 シルヴィアちゃんとエッダちゃんは何やら頷き、クローエさんは首を傾げている。


「……なあ、シルヴィア。さっきの避け方なんだが」

「ああ、きゅうけいさんは相手の動き、予測して避けるのよ。予測というか、記憶というか……まあ多分、レベル1でもハイオークの相手ぐらい余裕なんでしょうね」

「マジかよ、普段からのギャップありすぎるな……」

「きゅうけいさんはやっぱり最っ高にかっこいいですぅ!」


 でしょでしょ! でもかっこいい系とかは似合わないのは分かっているので普段は本気を出さない系でいくよ!

 いざという時に活躍するの、かっこいいでしょ!


 常日頃から頑張るのが面倒なだけでは?

 はい。


「それにしても、ハイオークとはね。エッダちゃんの集落の近くに来ていた魔族の眷属がこいつらだったんだよ」

「え、そうだったんですか?」

「うんうん。そして、あの時——」


 ——ベルゼブブの眷属が出た。


「もしも私の予測が正しければ、ここにベルゼブブかそれに関わる魔族がいる」

「なるほど、大当たりですね」

「うん。一応レーダーのおさらいをしておくけど、一階層ごとにレーダーの効果は切れるので下の階までは見えないよ。私のレーダーは島の端から端まで索敵可能なので、本来ならば距離的にも見えないはずがない。だけどダンジョンは別の世界にでも繋がっているのか、下は分からないんだ」


 それは、ここから先何が起こるか分からないということ。

 それと同時に——隠れるのにこれほど最適な場所もないということ。


「ここにベルゼブブがいる可能性は高いけど、いない可能性もある。ただ……魔王がいるとしたら、ダンジョンの中。これは間違いないと思うんだ」


 その結論に、皆頷いた。

 よーし、探索開始だ。




 ある程度第一階層を歩くと、下へと続く階段が現れる。

 レーダーでは何も見えない。地球全体を覆うほどの索敵魔法ですら、ダンジョンの階層という壁の前では、肉眼でも見える距離すら分からなくなるのだ。

 不思議である。


 私はゆっくり段を降りていった。

 洞窟の坂道を降りていくと、次の階が広がる。

 それと同時に、地上を検索していたレーダーも全て消えてしまう。


 さて、ダンジョンの中しか見えなくなった。

 私の周りのレーダーが検索するは、この階層の魔物の数々。


 私が動こうとしたところで、三人が振り向く。


「それじゃ次は、私達がきゅうけいさんの代わりに動こうと思います」

「えーっ、いいのに」

「だってそうしないと、正直私達が来た意味があるのかなって思っちゃいますし」


 あ、そりゃそうか。

 みんなちゃんと自分の強さに自負はあるし、活躍したいと思ってるはず。

 人は役割を与えられて、初めてなんちゃらを認識してなんちゃらするのです。

 細かいところを考える時に怠惰を発揮して、よくわからんことになってしまった……。


「うーん、そだね。みんなちょーつよいし、私が近くで見ているという条件で探索していこう。敵は未知だし、何があるか分からないもん」

「そこまで俺ら、弱くはないつもりなんだけどな」

「私が敵の魔王なら、目的地とは全く関係ない場所で不意打ちのために隠れるよ。準備不足の時に現れる通りすがりの最強ボスだよ」

「きゅうけいさん、さらっとえぐいこと考えるな……」


 私の話に納得してくれたようで、みんな固まって移動することになった。


 まあ、本音を言うとダンジョンに飛ばされた時のことが若干トラウマで、ダンジョンの中で一人になりたくないというだけなんですけどね!

 群れてないとしょんぼりしちゃう、兎魔王きゅうけいさんです。


 それにしても、いよいよ本格的に敵の陣地に入ってきたという感じがする。

 ベルゼブブか……どんな相手なんだろうね。

コミック12話配信開始しました! かっこいいきゅうけいさん回なので、是非是非読んでね!!!

https://twitter.com/Renta_Comics/status/1394488754140635137

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 寂しいのがイヤなだけーw オークさんあんま知性ないんだなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ