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王城へ

 王城からの使者が村まで来た。探索者ナナハルト・アスターに対する、王の直々の召喚だった。

 すでに、前回の謁見から数えて一年近くが経っている。


 窓口の役人に部品を渡していた頃は、帳簿に記録されて報酬を受け取るだけだった。わざわざ城に呼ばれることはなかったし、その必要もなかった。

 献上を止めた途端に、使者が来た。


 王都へ向かう馬車の中で、ナナハルトは黙っていた。


 心臓の位置が普段より高い気がした。喉の奥に、言い訳の残骸が引っかかったまま溶けない。

 何を訊かれても嘘をつかなければならない。遺跡が枯渇した、と。あるいは道が崩れた、と。どの嘘も舌の上で苦い。嘘をつくのは本来、得意ではないのだ。


 隣に座るエリは、灰緑のケープを深く被っている。馬車の揺れを正確に吸収しながら、窓の外を見ていた。


 エリが同行を主張したのは昨夜だった。


「あなたの群体を統制する中心核……王と呼ばれるものを、直接観測する必要があるの」


 言葉だけを聞けばいつもの好奇心に似ていた。だがエリの声は、広間で都市の損傷を告げたあの日と同じだった。


「外殻回路の損傷は拡大は以前話したとおりよ。逆流の発生源に、わたしが直接介入するのが最も効率的な修復計画になる」


 つまり、王国が聖遺物をどう使っているのかを、この目で確かめに行くということだった。

 ナナハルトには止める権利がなかった。都市を傷つけた原因は自分にある。エリがその傷の出処を追うのなら、横で黙っているしかない。


 ウーラの『王家や教会には絶対近づくな』という警告に背くことになっているのは分かっていた。

 腹の底が重いのは馬車の振動のせいだけではないだろう。

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