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紫野美雷

「ねえねえ君、超能力って知ってる?」


 はああ!?

 いきなりそんなことを聞かれ、あたふたする俺。嫌な予感がする。知らないことにしておこう。


「えっ、あっ、しっ、シラナイデスヨ!?」


 ふふ、と含み笑いをする紫野さん。


「知らないんだ?」


「しし知らない知らない!」


「ふーん?嘘は良くないよ?」


 ぎくっ。


「ま、いいや。これ、私のアドレス。繋げとこ?」


 そういって、にまあっと微笑んだ紫野さんは可愛かった。いくら不穏な空気がしようとも。

 ……って、連絡先交換!?女子と!?


「あ、ああありがとうございます!」


 無事に交換し終わって、嬉しくて思わず大声を出してしまう。


「おいそこ、静かに!一ノ瀬、女子と隣になれて、しかも初対面で連絡先なんて超嬉しいだろうが、先生も羨ましくて自分のスマホ持って飛んでいって紫野と連絡先交換したいが……!……今は静かにしろよ」


 くすくす、と教室中がざわめく。


「ねえ一ノ瀬の顔見て」


「うっわー、真っ赤!」


「俺、今年あいつと初詣行ったんだけどよ、あいつのおみくじ恋愛運めっちゃ低かったぜ」


「え、じゃあ一ノ瀬遊ばれてんの?」


「かっわいそー。あ、青ざめてる」


「まさか本気にしてたのか?」


 してねえよ!深鈴と奏音ちゃん以外の女子に、しかも初対面で話しかけられて嬉しかったとか、アドレスも交換できて舞い上がりそうとか、そんなことないし!?

 あっちょっ、待って!?拡散しようとスマホ取り出すのやめて!?


「はいはい静かにー。一ノ瀬をいじるのは休み時間にやれー。あとスマホしまえよー?」




 ほどなくして、HRは再開された。

 スマホをカバンにしまった紫野さんは相変わらず突っ伏して寝ている。




 1時間目の授業が終わり、休み時間になった。いじられるのを回避したい俺は机に突っ伏して、寝てますよアピールをする。隣では、紫野さんが相変わらず突っ伏して寝ている。HRのときから微動だにしなかったぞ?彼女に話しかけたそうな人もいるが、絶妙に「話しかけるな」オーラを醸し出しているため、近寄れないようだ。


 ピロンッ


 軽快な音が俺のスマホから発せられた。どうせ俺をいじりたい奴らが送ってきたんだろうが、もしも大切な知らせとかだったら困る。ゆっくりと身を起こし、ポケットから携帯を取り出す。

 え〜っと、新着メッセージだから……って紫野さんから連絡が来てる!?


『今日、夜8時に学校の正門前に来て』


 で、デートのお誘いでいらっしゃいますか!?夜に!?


 寝ているはずの紫野さんがにまあっと笑った、気がした。




 そして夜。どこに行くのかといぶかしがる母親には、深鈴のところでバイトしてくると言い、家を出てきた。母親は俺がよく深鈴のところで研究の手伝いをするなんてよくあることだと知っているので、快く送り出してくれた。なんなら、「深鈴ちゃんとリンリンでも行ったら?」と、数千円のお小遣いまでくれた。


 まあ、深鈴のところに行く、というのは嘘だが。

 ちなみに、深鈴には連絡をしておいた。母親が深鈴によろしくお願いしますって電話をしたりしたら嘘がバレるので、口裏を合わせるように言っておいたのだ。なぜか深鈴は「はいはいわかってますよ」言った。おかしいな、俺まだ何も言ってなかったのに。


 それにしても、学校が家から徒歩10分って近いよなあ。走ったら5分もかからないんだぞ?最高じゃないか。


 正門につく。そこには、朝よりももっと髪がボサボサになった紫野さんがいた。


「ありがとうね、来てくれて。じゃあ、こっちに来て」


 そう言うと、すたすた歩いていく紫野さん。えっ?いや、そこ最新セキュリティーの電子ロックとか色々かかってるんですけど……。


 安心しろ、とでも言うように、にまあっと笑んだ紫野さんは門の前でキーボードを叩くような仕草をする。


 えええ!?なんかカチャって言った!まさか、紫野さん鍵を開けたの!?


「入って」


 紫野さんが向かっていった先は、屋上だった。

屋上で何をするんでしょう?

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