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第7話「体育祭前夜——作戦会議と、銀髪の刺客」

皆様。 

べしさんです。

いつもありがとうございます。


体育祭。皆さんは、どうでしたか?

好き、嫌い。。 色々あるけど


私、パン食い競争には、参加しておりました。。。


では! 

体育祭まで、あと二週間。


トントは中庭の隅で、羊皮紙に向かっていた。

設計図ではない。

作戦図だ。


競技内容は三種目。

第一種目——魔力障害物競走。魔法で障害を突破しながら走る。

第二種目——チーム魔法戦。二人一組で相手チームと戦う。

第三種目——総合耐久戦。最後まで動けたチームが勝つ。


  問題は、第二種目だ。


トントの魔力はほぼゼロ。

テルメのナビゲーターは攻撃魔法ではない。


普通に考えれば、勝ち目はない。


  だが——普通に考える必要はない。


「トント、呼んだ?」


テルメが走ってきた。金髪をなびかせながら、息を切らしている。


「作戦会議だ。座れ」


「はいはい——って、なんかめっちゃ真剣な顔してるやん」


「体育祭の作戦を立てる。テルメ、お前のナビゲーターは敵の位置を把握できるか」


「できるで。魔素の流れで、どこに誰がいるか、どっちに動くかも大体わかる」


「動きの予測も?」


「完璧ではないけど——大体な。

 タクシー時代も、次の信号で歩行者が飛び出してくるかも!

 とか、なんとなくわかってたし。

 危険予測。やな。

 常に危険と隣り合わせ、

 毎日ニコニコ安全運転でっせ〜。」


「ああもう十分だ。。。」

テルメよ。。。話が長い。。



トントは作戦図に線を引いた。


「テルメが敵の動きを把握して俺に伝える。

 俺は敵が疲弊するまで逃げ続ける。そして——」


「ロウリュで整わせる、やろ?」


「そうだ」


テルメはしばらく黙った。


「……攻撃ゼロで、勝てるん?」


「勝てる。疲れた体にロウリュウの熱波をかければ、

       戦意が消える。

 それは先日、証明した」


「レン姫のやつか」


「そうだ」


テルメはにやっと笑った。


「なんか、えぐい戦い方やな」


「医師の戦い方だ。体の仕組みを使う」


「——ウチ、信じるわ。やったろ」


テルメが拳を突き出した。トントはそれを、静かに受けた。


―――


その翌日。

アルカナ学院に、見慣れない生徒が現れた。


銀色の髪。白い肌。整った顔立ち。

掲示板の前で見かけた——あの少女だった。


隣に、小さな従者を連れている。

橙色の髪。

ちろちろと、体の周りに小さな炎が揺れている。

炎の妖精——イグニスだ。


学院の中庭を歩きながら、周囲を見渡している。

その目は冷たく、品定めするような色をしていた。


「……思ったより、小さい学校ね」


低い声で、イグニスに言った。


イグニスが答える。

「でもフリギア様、ここから魔法騎士団に多くの物が選ばれています。」


「そんな寄せ集め、役に立たないわ!今年も私が勝つのよ!」


フリギアはそれだけ言って、歩き続けた。


その視線が——廊下の奥に立つレンを捉えた。


二人の目が、合った。空気が、一瞬で張り詰めた。


「……久しぶりね、レン」


フリギアが言った。レンは表情を変えなかった。


「……フリギア。やはり来たのね。」


「あなたがいると聞いたから来たのよ。決着、まだついていないでしょう」


レンの目が、わずかに細くなった。


「……今回こそ、負けないわ」


「楽しみにしているわ」


フリギアはそれだけ言って、視線を外した。


そして——廊下を歩きながら、ふと足を止めた。


鼻先に、かすかな匂いが漂っていた。

木の香り。熱の残り香。

何か、嗅いだことのない——でも、どこか懐かしい匂い。


「……なに、これ」


イグニスが首を傾げた。

「わかりません、フリギア様。でも——」


イグニスは小さな炎を揺らした。

その炎が、匂いの方向にゆらりと傾いた。


「……この方向、気になります」


フリギアは匂いの方向を見た。

廊下の奥——落ちこぼれ寮の方向だった。


「……あとで確認する」


フリギアは歩き続けた。


―――


その様子を、廊下の角からトントは見ていた。


  ……フリギア。そしてイグニス——炎の妖精か。


レンとの間に、明らかな因縁がある。

そして——あの目。冷たいが、空虚ではない。


  何かを、背負っている目だ。


脳外科医として、人の目は見てきた。あの目も——孤独な目だ。


「トント」後ろからテルメが来た。


「さっきの銀髪の子、誰?」


「フリギアという名前らしい。他校のゲスト参加者だ」


「めっちゃ強そうやな……隣の炎の精霊も、なんか凄みあったで」


「おそらく、この大会で最強クラスだ」


テルメが眉をひそめた。「当たったら、どうすんの」


「当たったら当たった時に考える」


「……それ、答えになってへんで」


「医師は最悪のケースを想定しながら、

目の前の患者に集中する。」


テルメはしばらく考えた。

「……なんか、かっこいいな、それ

余計な事心配しても仕方ないしな。」


「そうだ」


「うん。——ところで、さっきフリギアがこっちの匂い嗅いでたで」


「気づいていた」


「サウナの匂い、したんちゃう?」


「おそらく」


テルメがにやっと笑った。

「……もしかして。。。?」


トントは答えなかった。

ただ、静かに、何かを考えていた。


―――


夕方。キックルが、こっそりトントを訪ねてきた。


「あの……フリギア様のこと、ご存じですか?」


「少し。レンと因縁があるようだ」


キックルは頷いた。


「……フリギア様とレン様は、幼い頃からの知り合いなんです。

両国の王家同士が昔から交流があって、

小さい頃からよく会っていて

その度に比べられてきたんです」


「魔力は?」


「子供の頃から、フリギア様の方が上でした。

レン様は——ずっとそれが悔しくて」


「だから今も、意識している」


「はい。フリギア様の方は……

 どう思っているのか、私にはわからないんですが」


トントは黙った。


  幼少期から比べられてきた二人。

  レンは悔しさを燃料にしてきた。

  フリギアは——何を燃料にしてきたのか。


「キックル」


「はい」


「フリギアの従者のイグニス——炎の妖精だな」


「はい。私とは……正反対の属性で」

キックルは少し複雑な顔をした。


「でも、イグニスは——本当はいい子なんです。

フリギア様に合わせて強がっているだけで」


「お前も、レンに合わせていたな」


キックルははっとした。

「……そう、ですね」


「ありがとう。参考になった」


キックルはにこっと笑った。

「トントさんなら、きっと——面白いことを考えつくと思って」


「面白いかどうかはわからない。ただ、やってみる価値はある」


―――


その夜。トントは一人、サウナ室に入った。


薪ストーブが、静かに燃えている。

リリが帰った後も、ストーブは余熱で温かい。


ラドルで水をすくって、ストーンにかけた。


ジュッ——。白い蒸気が、広がった。


  明後日、体育祭が始まる。


予選——魔力障害物競走。テルメのナビゲーターが活きる。

準決勝——チーム魔法戦。ここが正念場だ。

決勝——誰が来るかわからない。


  ……謎の少年。


掲示板の前で見た、あの目。

夢を見ているような、でも——どこか現実を超えているような目。


  翔太みたいだな。。それとも——俺の思い込みか。


トントは目を閉じた。熱気が、体を包む。


激務の後、「整いたかった」と思ったあの瞬間。

「誰かと、一緒に」——そう願ったこと。


今、ここに——仲間がいる。


テルメがいる。リリがいる。エーアイがいる。

そしてレンも、認めていないが——確かにいる。


  俺は、孤独じゃない。


それだけで——十分だ。


トントは目を開けた。


  やってやるぜ!


おっさんの魂が、静かに、燃え上がった。


―――


同じ頃。学院の外れにある宿舎。


フリギアは一人、窓の外を見ていた。


部屋の空気が、なぜかあの匂いを帯びている。

木の香り。熱の残り香。


「……なんなの、あれ」フリギアは小さく呟いた。


不快ではない。むしろ——なぜか、落ち着く。


それが、余計に気に入らなかった。


隣でイグニスが、炎をちろちろと揺らしながら言った。


「フリギア様、あの匂い——私、好きです」


「……うるさい」


「でも、なんか温かくて——」


「イグニス」


「はい」


「明日、確認しに行く」


イグニスは嬉しそうに炎を揺らした。


フリギアは窓を閉じた。


その目に——微かな好奇心が、灯っていた。


―――


【次話予告】第8話「体育祭開幕——予選・魔法競技をサウナで無双する」


皆様、Nauraaナウラ Vesiベシです。

ベシさんと呼んでください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


この作品を「面白い」「続きが気になる」と思ってくださった方は、

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】をクリックして評価をいただけると嬉しいです。


皆様の応援が、異世界サウナ夢想の最大のモチベーションになります!

次回もぜひお楽しみに。

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