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第42話「オーユバーラ、降臨」

皆様

いつもありがとうございます。

ベシさんです。


今日は、これ投稿したら、サウナ行きます!


では




旅が、終わろうとしていた。

北の果てラップーランドから始まり、

炎の国トゥリ、

石の国ポホメリ——どれほどの道を歩いただろう。

靴底はすり減り、馬車の車輪は何度も軋みを上げ、それでも一行は前に進み続けた。


アルカナへ。

故郷セルマ国へ。


峠道を登りながら、トントは久しぶりに深呼吸をした。

山の空気は澄んでいて、肺の奥まで染み込んでくる。


「トントはん、なんか、帰ってきた感あるなあ」


テルメが馬車の窓から顔を出し、風に金髪をなびかせながら言った。

あいかわらず、見た目は超絶美人だ。


「ああ」


短く答えながら、トントは空を見上げた。雲ひとつない青空だった。


その時だった。


馬車の中でテルメが突然声を上げた。


「ちょっと待って!ちょっと待ってえな!!」


「どうした」


「ナビ、ナビ見てみ。なんか、おかしいで」


テルメのナビゲーター魔法が示す方位に、何かが映っていた。巨大な、何かが。


「……これ」


「な、なあ、トントはん。これって、真上ぐらいまで来てるんちゃうか?」


俺は目を細めた。


「ダッフル校長の伝書鷹、オーユバーラが近づいているかもって書いてあったよな」


「かもですよ、って書いてあったけど……かもちゃうやん!絶対来てるやん!!」


「……早く言えよ」


ザウルがぽつりと言った。

「マジっすかこれ」


一行が沈黙する中、馬車はゆっくりと峠の頂上へと差し掛かった。


その瞬間——俺は息を呑んだ。


セルマの町が、眼下に広がっていた。


石畳の広場、赤い屋根の家々、遠くに光るサイマ湖の水面。


久しぶりに見る故郷の風景は、変わらずそこにあった。


だが。


俺は太陽を見上げた。黒点があった。


いや——違う。


動いている。


「……来た」


誰かが気づく前に、それは姿を現した。


サイマ湖の上空に、巨大な影が落ちた。

三国——セルマ、トゥリ、ラハティ——を繋ぐその湖の水面が揺れ、

光を反射しながら、白い蒸気が天から降り注いでいた。


城だった。


浮かんでいた。


城の底から無数の蒸気が噴き出し、その圧力だけで空中に浮遊している。


石造りの巨大な建造物が、まるで雲のように湖の上に鎮座していた。


誰も言葉が出なかった。


テルメが、口を開いた。

「……これ、やっぱり。ジ○リの天空のなんちゃらやんか!!」


全員が振り返った。

この人は今、何を言っているのか。


ザウルが首を傾げる。

「テルメさん、この前もそんな事言ってましたけど——何なんすかそれ」


「詳しい説明とかできへんねんけど!皆知ってるやつやねん!

 なんか、空に城が浮いてるやつ!!」


「……???」

沈黙。

ーーーーーー


その時、ダッフル校長とトゥーリ・オペッタ先生が、静かに空を見上げた。

「……戻ってきましたね」

オペッタ先生の声は、穏やかだった。しかしその目には、百年分の何かが宿っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルカナ魔法学校に戻ると、ダッフルが待っていた。


校長室に全員が集まり、トントは単刀直入に聞いた。


「校長、どうやってオーユバーラに行くんですか。浮いていますが」


「ふぉふぉ」


ダッフルは白い眉をゆらした。


「皆さんの力があれば、行けるでしょう。さあ——封印を解き、勇者を解放するのです」


レンが俺の袖を引いた。「ねえトント、どうやって行くのよ。本当に浮いてるんだけど」


俺は少し考えた。


「……エーアイ」


「はい」


「作って欲しい物がある。」


エーアイが首を傾げる中、俺は概略を説明した。

蒸気圧を使ったスチームエレベーター。

オーユバーラ自身が噴き出す蒸気を利用して上昇する、簡易昇降機だ。


エーアイの目が輝いた。


「それは、凄い原理ですね。……わかりました」


シルヴァが光り、エーアイの両手から木と金属が絡み合うように伸びていった。


みるみるうちに、馬車を囲む巨大な箱型の構造物が完成した。


「すごいやん、これどんな原理?」

テルメが目を丸くした。


「蒸気圧を使って、持ち上げたり下げたりできるようにした。馬車ごと上に行くぞ」


「トントはん、これ、凄いやん。いっつも思うけど、あんたの想像力、とんでもないな。」


「乗れ」


全員が乗り込んだ。エーアイが蒸気バルブを開放した瞬間——


「うわあああああああ!!!!」


上昇速度が尋常ではなかった。


「ちょっと!なんでこんなに速いの!!」


「パワーが……少し強すぎました!!」エーアイが叫ぶ。


「ちょっと、エーアイちゃん。肝心な時に!

 ディズニーの何とかテラーみたい!!」

テルメが叫ぶ。


「それもたぶんダメなやつだ!!」


「キャーーー飛んでいきそう!!」

リリが叫ぶ。


「レン様、大丈夫ですか!!」


「……ぐぐぐぐぐ」

レンが手すりを死ぬほど握りしめている。


次の瞬間、スチームエレベーターの底が吹き飛んだ。


馬車がそのまま射出され、オーユバーラの地面めがけてぶっ飛んでいく——


「——みんな、大丈夫!?」


声が聞こえた瞬間、熱気の塊が馬車を包んだ。

ふわりと。まるで巨大な手に受け止められるように、

馬車はゆっくりとオーユバーラの地面に着地した。


全員、しばらく無言だった。


「……フリギアちゃん??」

テルメが声を上げた。


そこにいたのは、フリギアだった。

銀髪を風になびかせ、涼しい顔で立っている。


「ええ。オーユバーラを見つけたから、お兄様が飛ばしてくれたの」

「どうやって!?」


フリギアが指を差した方向に——噴石があった。巨大な、溶岩の塊が。


「……えっ。これに乗ってきたん?」


「ええ」


「……タフやな、フリギアちゃん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オーユバーラの門は、固く閉ざされていた。


石造りの巨大な扉。

しかし——精霊たちが集まると、扉が光り始めた。

ファビラ、キックル、イグニス、ペトラ、ザウル、シルヴァ

——六つの光が扉に集まった瞬間、ぎぎぎぎ、と重い音を立てながら、

百年ぶりにその扉が開いた。


中に入った瞬間、全員が固まった。


「……なにここ」


「サウナ……?」


「スーパー銭湯……????」

トントは固まった。

巨大な湯舟を中心に、サウナ室、水風呂、休憩所——そして奥に食堂まである。


石造りだが、造りは明らかに人が癒されるために設計された施設だった。


「トントはん……これ、サウナやんな」


「ああ。間違いない。皆で楽しむための施設だ」


エーアイが壁に歩み寄った。「こちらに地図があります」


見取り図が石板に刻まれていた。


ダンジョンではない。完全に、癒しの施設だ。


?? トントは見取り図の右端に、サインがある事に気づいた。


 楽 : K・S 

なんだ、これ。 この施設を作った人のサインか?


「勇者を探そう。ダッフル校長の話だと、ロウリュをし続けているとか」


「……ボイラー室みたいなとこか」


地下へと続く階段を見つけた。一行は無言で降りていった。


階段を下るにつれ、蒸気の密度が増していった。


熱い。肌が湿る。サウナの匂いがする。白樺と、石と、古い魔法の匂い。


「ジュワワワワーーーーー」


最下層に着いた瞬間、視界が白くなった。


蒸気が、あたりを埋め尽くしている。


その奥に——いた。


目を閉じ、静かにロウリュを続けている人影。

百年間、ただひとり、この場所でストーブに水をかけ続けてきた存在。


「……来たか」


声ではなかった。


心の中に、直接響いた。


「勇者!封印を解きに来ました!」


トントが声をかけた。


その瞬間——


(封印を解く。その後、どうなるかわかるのか。この世界を守ることが——できるのか)


俺は、はっとした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つづく。 


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

いやあ、蒸されたい。

ジックリ、デトックス。 


皆様にお願いがあります。

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】を、どこでも良いのでポチッとしてください!


皆様のポチッ。で、物語は続いてまいります!

夢想の最大のモチベーションになります!


次回もぜひお楽しみに。

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