第33話「サウナ馬車誕生。どこでもトトノイ。出発や!!」
ベシさんです!
いつもありがとうございます。
どこでも、サウナ!
毎日サウナ!
では。
「トント!!」
テルメが——廊下を走ってきた。
目が——キラキラしていた。
「なに」
「ウチ、ええこと思いついてん!!」
「……金儲けの話か?」
「違う!!もっとええやつ!!」
テルメが——図面を広げた。
「これ——見て!!」
トントは図面を手に取った。
「……馬車?」
「ただの馬車と違う!!荷台を——まるごとサウナ室にするねん!!」
「……サウナ馬車か」
「現世に——サウナバスっていうのがあってん!!
バスを改造してサウナにしたやつ!!あれを馬車で再現したろ思てん!!」
トントは——図面を見た。
……これは。
本当に、できるかもしれない。
「どこでもサウナや!!走りながら整えるねん!!」
「……テルメ」
「なに」
「……天才だ」
テルメが——飛び上がった。
「せやろ!!ウチ、タクシー運転手やってたから——乗り物全般好きなんや!!」
ザウルが言った。
「テルメさん、今——輝いてますよ」
「当然や!!これはウチの最高傑作やねん!!」
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図書館に——トント、テルメ、エーアイの三人が集まった。
テルメの図面が——机に広げられた。
エーアイが静かに見た。
「……強度が問題ですね」
「やっぱり?」
「サウナストーブとストーン。荷物。人四人と精霊——全部の重さを計算すると」
エーアイの手が——図面の上を走った。
「馬を四頭にして余裕を持たせる。荷台の構造を——こう変えれば」
みるみるうちに——図面が修正されていく。
「ホンマやな!!エーアイの言う通りや!!
ウチの頭では考えつかん事を、アンタは思いつくな!!凄いわ、この子!!」
エーアイが——少し照れた。
「……褒めてるんですよね」
「当たり前やろ!!」
「トント」
エーアイが静かに言った。
「医学的に——走りながらサウナに入ることって、問題ないですか」
「むしろ——効果的だ」
トントは即答した。
「え、ほんまに!?」テルメが前のめりになった。
「馬車の揺れが——体への適度な振動刺激になる。
リンパの流れが促進される。
サウナの熱と組み合わせると——デトックス効果が通常の1.5倍になる」
「1.5倍!!!!」
テルメが叫んだ。
「走るだけで1.5倍整えるやん!!最高すぎるやろ!!!!」
「さらに——馬車が走ることで自然な外気浴も生まれる。
サウナを出た後、扉を開けるだけで外気浴ができる」
「外気浴まで自動でできるの!?!?」
「そして——」
トントは続けた。
「フィンランドでは古くから、サウナで食事を作っていた」
「……え?」
リリが——顔を上げた。
「乾燥肉。燻製。ソーセージ。パン。
サウナの熱と煙が——最高の調理器具になる。
サウナ馬車の中で——移動しながら料理も作れる」
「走りながら——サウナしながら——料理もできるの!?!?」
リリが目を丸くした。
「マッカラをストーンの上で焼きながら——整える。
それがフィンランドの本来のサウナだ」
「キモティーーー!!!!」
テルメが立ち上がった。
「サウナ飯が走りながら作れる!!
移動しながら整えて——飯まで食える!!最強の乗り物やん!!!!」
ザウルが言った。
「テルメさん、今日——一番元気っすよ」
「当然や!!ウチの夢が、形になろうとしてるねん!!」
エーアイが静かに微笑んだ。
「……設計、完成しました」
全員が——図面を見た。
サウナ馬車。
荷台がまるごとサウナ室。
トゥリ王国特製の火成岩と溶岩石を組み合わせたストーン。
アロマ水を溶岩石に染み込ませたロウリュ桶。
馬四頭で引く、どこでも走れる設計。
「……完璧だ」
トントは呟いた。
「作ろか!!」
テルメが叫んだ。
「「「「作ろう!!!!」」」」
エーアイの生成魔法が——ほとばしる。
シルヴァが根を伸ばした。
木材が次々と生成された。
ファビラがストーブに火を入れた。
キックルが水の流れを調整した。
ヴァロが全精霊の力を増幅した。
ぼわっ——。
ぼわっ——。
ぼわっ——。
「できた!!!!」
サウナ馬車が——目の前に現れた。
木の香りがする。
温かかった。
煙突から、白い煙が上がっていた。
「うわあ」
リリが呆然と言った。
「本当に——馬車がサウナになってる」
「当然やろ!!ウチの設計やで!!」
テルメが御者席に飛び乗った。
手綱を握った。
その顔が——大阪でタクシーのハンドルを握っていた山田勝の顔と、重なった。
……ウチ、や。
やっぱりウチは運転手や。
でも——今度は一人じゃない。
「ねぇトント」
テルメが言った。
「乗ってみて」
トントがサウナ馬車の荷台に入った。
ストーンが——既に温まっていた。
ロウリュ桶に、アロマ水が入っていた。
「テルメ、走らせてみて」
「よっしゃ!!」
馬車が——動き出した。
揺れた。
ストーンの熱が——体を包んだ。
揺れが——リンパを動かした。
外の風が——扉の隙間から入ってきた。
……走りながら、整っている。
これは——本当に、最高だ。
「どうや!!」
テルメが叫んだ。
「——最高だ!!」
「せやろ!!!!」
テルメの叫び声が——学院の空に、響いた。
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翌朝。
ダッフル校長、タイカ先生が——見送りに来ていた。
タイカ先生の右腕が——もう、元に戻っていた。
「先生——腕、治ったんですか!!」リリが叫んだ。
「そうじゃないんですよね〜。言ったじゃないですか〜。わかります?」
「信じてなかったっすよ、正直」ザウルが言った。
「……失礼ですね〜」
ダッフル校長が——静かに微笑んだ。
「気をつけて。強くなって帰ってくんですよ」
「May the Heat be with you!」
テルメが小声でトントに言った。
「なぁ、やっぱり校長——転生者やろ」
「……深く考えるな」
「なんで!!」
ザウルが言った。
「考えた瞬間に——止まりますよ」
「それ——敵の奴らの話やろ!!」
「テルメさんが一番止まってるっすよ」
「うるさい!!」
テルメが——手綱を握った。
「さあ!!風の入江へ——出発や!!!!」
サウナ馬車が——走り出した。
煙突から——白い煙が、空に上がっていった。
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道中。
モンスターやら。トラブルやら。喧嘩やら。
でも——どこでもサウナに入れる馬車のおかげで、皆んな元気に。
「キモティーーー!!走るサウナ、最高やーーー!!!!」
テルメの声が——野原に響いた。
やがて——風が強くなってきた。
木々が揺れた。
草が波打った。
ザウルが——トントの肩で、強く揺れた。
「……トントさん」
「なに」
「……感じますか」
「……ああ」
「近いっすよ」
「……わかってる」
「ワクワクしてますよね」
「……否定しない」
馬車が——風の中を、進んでいった。
……入江が、近い。
俺の修行が——始まる。
強くなる。
整え続ける。
それが——俺の答えだ。
ザウルが——強く、風を巻いた。
サウナ馬車の煙突から——白い蒸気が、風に乗って広がっていった。
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第33話 了
次回。
風の入り江で、強くなる!?
より強く、整います!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
サバシャ、爆誕です! どこでもサウナ。 いいですね!
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次回もぜひお楽しみに。




