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第32話 「マインドフリーズ降臨。闇に溶ける影」

第3クール 開始です。

更に強く、トトノイます。



ストレッシの城——トゥオネラ国。


地底深く。


太陽の光など、一切届かない場所にある。


色がない。


音は金切り声と騒音だけ。


空気は重く——息をするだけで肺が痛い。


食事はある。でも——味がない。


腹は減る。でも——食べても満たされない。


尊厳などという概念は——最初から存在しない。


普通の人間なら、数時間で息絶えるだろう。


最深部。


ストレッシの怒り。憎しみ。妬み。無気力。


全てがここに集まっており——いつでも、世界を不快で埋め尽くせる。


「トゥスカが——消滅した?」

ストレッシの表情は、一切変わらなかった。


凍てつくような静寂。


「そうか」

ストレッシは静かに言った。


「おめおめと敵の前に姿を出しよって。

 弱い奴ほど、姿を見せたがる。見た目や覇気で恐怖を与えようとする」


「そんな必要はない」


「本当の恐怖は——己の心の中にある」


その瞬間。


闇と一体化した何かが——ストレッシの前に、音もなく現れた。


姿が——なかった。

いや——姿はあった。

でも——掴めない。

無機質な鎧兜に全身を固めている。

表情も。声色も。個性も。

何もない。


情報が——一切ない。

見ているだけで——思考が、止まりそうになる。


「我が主よ」

声だけが、闇の中に響いた。


「スタシスが——参りました」


「トゥスカの件、把握しております。私が——あ奴のできなかった事を行います」


「どうやって」


「情報を与えません」

スタシスは静かに言った。


「考えさせません。考えた瞬間に——静止します」


「全ての希望を消し去り——思考をフリーズさせます」


ストレッシは——スタシスを見た。


「行け」


「容易い事です」


スタシスが——音もなく、消えた。

闇が——一層、深くなった。

何も——わからなかった。

名前以外、何も。

でも——それが、一番怖い。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルカナ魔法学校の中庭。


トントは——一人で歩いていた。


強くなれ、とダッフル校長は言った。


でも——どうすればいい。


この世界で、俺はまだ何者でもない。


魔力ゼロの魔女見習いが——魔王に勝てるわけがない。


でも——整え続けた。


仲間と一緒に、整え続けた。


それだけで——トゥスカを消滅させた。


だから——次は。


「トント」

レンが——剣術鍛錬を止めて、近づいてきた。


「悩み多き乙女みたいな顔してるわよ」


「……そうかもしれない」


「珍しいじゃない。素直に認めるの」


「……疲れてる時は、素直になる」


キックルが——レンの肩で、くすっと笑った。


「トントさん、かわいいっすよね」

ザウルが言った。


「うるさい」


「一つ——聞いていいか」


トントはレンを見た。


「強くなるために——何をすればいい」


レンが少し考えた。


「……お父様が言っていた場所がある」


「どこだ」


「風の入江。一年中風が吹いていて——精霊と大魔法使いがいるとか」


「そういう所に——行ってみるのはどう?」


「……風の入江か」


「トントの精霊——ザウルは風よね。きっと——ヒントがある」


ザウルが——トントの肩で、静かに輝いた。


「……行きたいっすよ、俺」


トントは頷いた。


「校長先生に聞いてみよう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「校長先生!!」


「おやおや、トントさん。どうされたかな?」


ダッフル校長は——物腰優しく、丁寧にトントの目を見た。

トントはテルメと校長室を訪れていた。


「強くなる方法が——わかりません」


「中庭でレンさんと話をされていたと思うが」


「……先生、聞こえてたんですか?」


「ふふふ。この学校の事は、全て把握しておりますよ」


ダッフル校長は窓の外を見た。

「風の入江に行きなさい。

 あそこには——私の古い友達がおる。その友を、頼ってください」


「……はい。ありがとうございます」


「あぁ、トントさん」


校長が続けた。

「テルメさんたちも一緒に行きなさい。

 皆で力を合わせて——強くなるのです。心に熱を持って」


校長は静かに微笑んだ。


「May the Heat be with you!」


「……?」


トントは首を傾げた。


「先生——今の言葉、なんか聞いたことあるセリフですね」


「さあ、早く出発した方が良い。雨が降る前に」


窓の外に——黒い雨雲がムクムクと湧き、地平線を覆い始めていた。


……ダッフル校長って、絶対転生者だろ。


テルメが小声で言った。


「なぁトント。

 あれ——ス○ーウォー○のセリフのパクリか??

 なんで校長、あんな言葉 知ってんのや??」


「……深く考えるな」


「なんで!!気になるやろ!!」


ザウルが言った。

「考えた瞬間に——止まりますよ」


「それ、アイツらのやり方やろ!!アンタもかいな!!」

テルメが叫んだ。


「テルメさんが一番止まってるっすよ」


「うるさい!!」


「ウチの頭の中はフル回転しとる!!」


テルメよ。

回転させた成果をいつの日が見せてくれ。


トントは、修行の旅の先を思いながら

窓から、南の空を見上げた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第32話 了

◆次話予告

テルメの目が——キラキラと輝いた。

「トント!!ウチ、ええこと思いついてん!!」

「サウナバスを——馬車で再現したろかと思ってんねん!!」

はっ?何言ってんだオッサン....。

お楽しみに~




最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


皆様にお願いがあります。

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】を、どこでも良いのでポチッとしてください!


皆様のポチッ。で、物語は続いてまいります!

夢想の最大のモチベーションになります!


次回もぜひお楽しみに。

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