番外編: 修学旅行お疲れ様でした!自己紹介です。
番外編です。少し、のんびり。
トゥリ王国の熱気を体に残したまま、学園に帰ってきた。
門をくぐった瞬間——
テルメが言った。
「……サウナ入りたい」
全員が頷いた。
学園のサウナ室に——全員が集まった。
いつもの場所。いつもの熱。
でも——なんとなく、全員が少し変わっていた。
テルメが言った。
「なあ、せっかくやし——自己紹介しよか」
「……今さらか」トントが言った。
「ええやん!!ザウルが喋れるようになってから、ちゃんと紹介してへんやろ!!」
ザウルが言った。
「それは——確かにっすね」
「じゃあ——まずウチから!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
テルメが立ち上がった。
「テルメ!!中身は50歳・
大阪のタクシー運転手・山田勝!!
精霊はヴァロ!!光の精霊で、みんなの魔力を増幅させる!!
ナビゲーターで何でも読めるし、サウナ入ったら誰より叫べる自信がある!!」
「心地eeeeeeeeeee!!」
「今やらんでいい」トントが言った。
「練習や!!」
ザウルが言った。
「テルメさん、自己紹介に練習いらないっすよ」
「うるさい!!」
「次——ザウル、あんたやで」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ザウルが少し間を置いた。
「……ザウルっす。風の精霊。
百年前に消えたサウル——トントさんの前の前の精霊の、生まれ変わりっすよ」
「……お笑い好きなんよな?」テルメが聞いた。
「好きっすよ」
「どんなん好きなん?」
「テルメさんのボケっすよ」
「ほんまに!!」
「スベってるとこが——味があるっすよ」
「スベってるって言うな!!」
トントが静かに言った。
「……スベってるのは事実だ」
「トントはんまで!!」
「……俺が言う必要あるか」
「あるある!!トントはんが一番謎やもん!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トントが——少し間を置いた。
「トント。中身は46歳・脳外科医・三杉整。
精霊はザウル。ラドルはサウル・ハカロ」
「それだけ?」
「それだけだ」
「可愛い見た目やのに——中身オッサンなんよな」
「そうだ」
「もったいない!!」
ザウルが言った。
「でも——最近、少し馴染んできてますよね」
「……余計なことを言うな」
「顔、赤いっすよ」
「……熱いからだ。ここはサウナだ」
テルメが叫んだ。
「かわいいやん!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レンが腕を組んだ。
「……レン・ラハティ。ラハティ王国の姫。精霊はキックル。水魔法を使う」
「それだけ?」テルメが言った。
「それだけよ」
「決め台詞あるやろ!!」
レンが——少し間を置いた。
「……その怒り——本当は、悲しかっただけだろ」
全員が黙った。
ザウルが言った。
「……かっこいいっすよ、それ」
「……うるさい」
でも——口元が、少し緩んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「私は——リリです!!」
リリがファビラと一緒に輝いた。
「炎魔法使いです!!精霊はファビラ!!
灰の中の消えない火種がコンセプトです!!料理も得意です!!
meetトトノイはいつでも作ります!!」
「元気いっぱいやな」テルメが言った。
「サウナが好きです!!」
「みんな好きやで」
ザウルが言った。
「リリさんの炎——修学旅行でさらに精度上がりましたよね」
「ファビラのおかげです!!」
ファビラが——ぽっと、誇らしそうに光った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……エーアイです」
エーアイが静かに言った。
「生成魔法を使います。精霊はシルヴァ——森の女神です」
「ティンペリくんのこと——」テルメが言いかけた。
「……何も想ってないです」
「顔、赤いやん」
「……生成魔法で消せます」
「消えてへんで」
ザウルが言った。
「エーアイさん、修学旅行で一番変わりましたよね」
「……そうかもしれません」
「どう変わったっすか」
エーアイが——少し間を置いた。
「……完璧に作ることより、迷いながら作ることの方が——本物だと、わかりました」
全員が黙った。
トントが静かに言った。
「……それが、この旅の一番の収穫かもしれない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しばらく——全員が黙っていた。
熱が、じんわりと体を包んでいた。
テルメが叫んだ。
「心地eeeeeeeeeee!!」
「……悪くない」
トントが静かに言った。
「悪くないって何やねん!!最高って言え!!」
「……最高かもしれない」
テルメが——また、泣いていた。
「なんで泣いてるんっすか」
「うるさい!!嬉しかったら泣くのは当然やろ!!」
全員が——笑った。
扉を開けた。
外気浴だ。
学園の空気が——冷たくて、気持ちよかった。
全員が整い椅子に倒れ込んだ。
空を見上げた。
ラップーランドの星空ほどではないが——
学園の空も、今日は綺麗だった。
「……帰ってきたな」トントが静かに言った。
「ラップーランド、ラハティ、トゥリ——全部、遠い夢みたいやわ」テルメが言った。
「夢じゃない」
「せやな」
ザウルが言った。
「俺、喋れるようになったっすよ。あの旅で」
「そうだな」
「……トントさんのおかげっすよ」
「ラドルを手に取っただけだ」
「それが——全部っすよ」
全員が黙った。
温かい沈黙だった。
その時——
キィィィィィィィン!!
全員が——跳び上がった。
鼓膜を直接針で刺すような、超高周波の不快音が学園を包んだ。
黄金の結界が——薄い氷が割れるように、粉々に砕け散った。
「なっ——学園の結界が!!」
レンが驚愕に目を見開いた。
崩落した校門の瓦礫の上に——歪な影が立っていた。
不気味なほど無機質な笑みを浮かべた男が、
右手の指をゆっくりと鳴らした。
パチン。
その小さな音が——空間を歪ませる衝撃波へと変換された。
周囲の窓ガラスが一斉に爆砕した。
「……私の名はストレピタ」
男が言った。
「静寂など——魂の壊死に過ぎない」
トントが——立ち上がった。
……整い椅子から、直接バトルか。
これが——修学旅行の終わりだ。
「全員——立て」
ザウルが輝いた。
「タイミング悪いっすね」
「そうだな」
「でも——整った直後っすよ。最高のコンディションっすよ」
トントが——サウル・ハカロを握った。
「……そうだな」
番外編 了
◆次話/第24話 「五不快、来襲! 絶望のデシベル」
来やがった! ストレピタ。 学校に乗り込んでくるとは...。
よーし、皆で整わせてやる!!
今回は、番外編として自己紹介的な物語としました。 皆の事、可愛がってあげてください!




