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第18話「文化祭開幕!ストレス三姉妹、サウナに乱入!!」

どーもベシさんです。

いつもありがとうございます。


さて、文化祭

気合い入ってます!

一緒に楽しみましょう!!!


では!


朝の鐘が、アルカナ魔法学校に響いた。


文化祭、開幕。


「いらっしゃい!!いらっしゃい!!

整理券配ってるで!!

脳までとろける史上最高のととのい、

保証するで!!」


テルメの関西弁が、中庭に響き渡る。


整理券を両手に持って、

行き交う人々に配りまくっている。


「お兄さん!!顔色悪いで!!サウナ入り!!」


「え、俺?」


「そう、あなた!!肩も上がってるし、呼吸も浅いし!!一回入ったら人生変わるで!!」


「そ、そんなこと言われても——」


「整理券、はい!!」


「……もらっといたら、いいか」


テルメが振り返った。


「トントはん!!十枚はけた!!」


「仕事が早い」


「当然や!!ウチ、元タクシー運転手やで!!この人乗る!って分かんねん!!」


中庭の一角。


エーアイが受付に座っていた。


魔導書のような装丁のパンフレットを、丁寧に配っている。


「……このサウナの特徴と、サウナの入り方、書いてあります。読んでから入ってください」


「こんな丁寧なパンフレット、初めて見た」


「……ありがとうございます」


エーアイは静かに微笑んだ。


シルヴァが——エーアイの肩でふわりと揺れた。


石窯の前では。


リリがマッカラを

丁寧に焼いていた。


ファビラの炎が——

絶妙な温度で、じっくりと焼き上げる。


香ばしい匂いが——中庭に広がった。


「……美味しそう」


行き交う人々が足を止めた。


「一本ください!!」


「はい!!特製マスタードつきです!!」


「なんだこれ!!美味しい!!」


「石窯で焼いてるんです!!蓄熱された遠赤外線の熱で——外はパリッと、中はジューシーに!!」


「もう一本!!」


あっという間に——行列ができた。


その時。


テルメがリリの後ろで、こっそりマッカラを一本取った。


「テルメ!!また食べてる!!」


「味見や!!品質管理や!!」


「何個目ですか!!」


「……五個目」


「食べ過ぎだろ!!」


「わかってる!!でも美味しすぎるねん!!」


ファビラが——テルメを睨んだ。


「……ファビラまで怒ってる」


「当然です!!」リリが叫んだ。


———————————————————


「酵素ドリンクはいかがですか〜!!」


テルメが今度はドリンクの売り子に回っていた。


「体の内側から整えますよ〜!!

 サウナと合わせたら一石三鳥でっせ〜!!」


「酵素ドリンク?なんだそれは」


「お客さん、お顔の色が悪いですよ〜!!

 これ飲んだら変わりますって!!」


「……何がわかるんだ、お前に」


「ナビゲーターで見えますねん!!あなたの腸内環境!!あぁ、これは。。飲んだ方がいいやつですね〜」


「な——!!」


「薬草×果実×蜂蜜で作った特製ドリンクです!!

酵素が体内の代謝を促進して——サウナで血流が良くなった状態で飲むと、吸収効率が通常の3倍になりまっせ〜!!」


「……本当か?」


「ほんまでっせ!!うちの医者が言うてます!!」


「……もらおうか」


テルメがガッツポーズをした。



———————————————————


サウナ小屋の前。


最初は——誰も近づかなかった。


「蒸気の小屋?」


「なんか怪しくないか」


「入って大丈夫なのか?」


遠巻きに見ているだけだった。


でも——

一人の老人が、ふらっと近づいてきた。


「……入ってみようかの」


テルメが整理券を渡した。


「はい!!五分でいいです!!」


老人が入った。

五分後。

扉が開いた。

老人の顔が——若返っている!!!



目が——輝いていた。


「……なんだ、これは」


老人は空を見上げた。


「……体が、軽い。頭が——空っぽだ」


「整いましたね!!」テルメが叫んだ。


老人の周りにいた人々が——ざわめいた。


「……あのじいさん、顔が変わった」


「何が起きたんだ」


「入ってみるか?」


行列が——一気に伸び始めた。


——————————————————


昼前。

国王の側近が、視察にやってきた。


きっちりとした礼服。

胸に——王家の紋章。


周囲が自然と道を開けた。


側近は中庭を歩きながら——各出店を視察していた。


「……ふむ。なかなか賑やかだな」


その時。


「お兄さん!!いや、お偉いさん!!

 顔色悪いですよ!!サウナ入り!!」

テルメが飛び出してきた。


「な——!!無礼な!!私は国王陛下の——」


「関係ありまへんよ!!

 サウナに入れば、みんな平等やで!!整理 券、はい!!」


「断る!!私はここを視察に——」


「五分だけ!!五分で人生変わります!!」

側近は——整理券を見た。


「……五分、だと?」


「そうです!!五分!!あとは出た後の顔見たら、全部わかります!!」


側近は——しばらく黙っていた。


「……五分だけだぞ」


「まいどです!!」


サウナ室の中。


側近が——上段に座っていた。


「……暑い」


「当然です!!」


「……こんなに暑い場所に、なぜ自ら入る」


「気持ちいいからです!!」


ジュッ——。

トントがロウリュ水をストーンにかけた。


蒸気が——爆発的に広がった。


「なっ——!!」


「深呼吸してください。

 鼻から吸って——ゆっくり吐く」


側近は——言われた通りにした。


一分。二分。三分。


体の力が——少しずつ、抜けていく。


ずっと張り続けていた、何かが。


四分。五分。


側近が——水風呂に入った。


「つ——っ!!冷たい!!」


「三十秒だけ」


「無理だ!!」


「気持ちいいですよ〜」


三十秒後。


側近が整い椅子に倒れ込んだ。


空を見上げた。


「……」


誰も喋らなかった。


しばらく——ただ、空を見上げていた。


その時。


サウナ室の扉が——ふらっと開いた。


ダッフル校長だった。


にこにこしながら入ってきた。


「……少し、借りますよ」


「どうぞ」とトントが言った。


しばらくして——側近が二セット目に入ってきた。


ダッフルと目が合った。


「……おや」


側近が固まった。


「ダ、ダッフル校長!!」


「偶然ですね」


校長はにこにこしていた。


「国王陛下は、お元気ですか」


「は、はい!!元気でいらっしゃいます!!」


「それは良かった」


校長はロウリュの蒸気を浴びながら——静かに言った。


「……国王によろしくお伝えください」


「は!!」


「整いは——王様にも、必要ですから」


側近が——何かを察したように、深く頷いた。



外気浴の椅子で。


側近が空を見上げた。


「……なんだ、これは」

「……頭が、空っぽだ」

「……体が——軽い」


しばらく茫然としていた。


そして——立ち上がり、服を整えた。


「王に——王に報告せねば!!」


「なんと——けしからんほど良い整いだ!!」


走って去っていく側近。


テルメが胸を張った。


「やったで、トントはん!!」


トントは静かに言った。


「……広がるかもな」


——————————————————-


午後になり。

正門から——三つの影が現れた。


黒いハット。

黒いローブ。

三人並んで歩いている。


その一歩一歩が石畳に触れるたびに——霜が降りた。


学生たちの顔から、笑顔が消えた。


「……あぁ、明日が来なければいいのに」

「……なんで私、頑張ってるんだろう」

「……全部、やめたい」


呪いのような焦燥が、伝播していく。


そう。ストレス三姉妹だった。


長女・クレイムル(Claim)。

次女・ゴシプル(Gossip)。

三女・イグノアル(Ignore)。


魔王軍戦闘員。


クレイムルが口を開いた。


「なによ、この浮かれた場所……。

 反吐が出るわ」


「ほんとよね。どうせ全部、誰かの自慢でしょ」とゴシプルが陰湿に笑った。


「……知らない。私には関係ない」とイグノアルが目を逸らした。


「私たちは魔王軍の戦闘員。この場所を——終わらないストレスの絶望で埋め尽くしてあげるわ!!」


クレイムルが魔力を解放しようとした。


その瞬間。


「——手出しは無用だ」


静かな声が、響いた。


トントがサウナ小屋の入り口に立っていた。

ラドルを手に。


白いタオルを肩に。


「これは『戦闘』じゃない」


トントは三姉妹を見た。


その目は——敵を見る目じゃなかった。


「『外来診療』だ」


クレイムルが眉をつり上げた。


「……何よ、急に」


「診断させてくれ」


トントは三姉妹を順番に見た。


「クレイムル——

 重度の眼精疲労、交感神経の異常興奮。

 心拍数の上昇。呼吸が浅い。

 全部、人のせいにしないと——

 自分が崩れるからだ」


「な——っ!!」


「ゴシプル——他人の悪口を言い続けないと、自分の存在を確認できない。

本当は——誰より、認めてほしかった。

違うか?」


ゴシプルの顔が、歪んだ。


「イグノアル——

逃げてばかりいるのは、傷つくのが怖いからだ。無責任なんじゃない。怖いんだ。それだけだ」


イグノアルが——初めて、トントを見た。

三姉妹が黙った。


クレイムルが必死に抵抗する。


「……うるさい!!

何もわかってないくせに!!

私たちはあなたたちを倒しに来たのよ!!」


「そうか」

トントは頷いた。


「なら、倒す前に——一回だけ入れ」


「……は?」


「サウナだ。五分でいい。それから戦っても遅くない」


三姉妹が顔を見合わせた。


「……罠じゃないの?」


「罠を張るほど、暇じゃない」


「……」


「リラックスしたいんだろ?」


クレイムルが——ぴくっとした。


「……した、いけど」


「できないんだろ」


「……できないのよ!!

 あんたたちのせいで!!」


「やから、サウナに入ったらいいやんか」


テルメが横から言った。


「ウチが整理券渡すわ。はい、三枚」


三姉妹は——なぜか、受け取っていた。

サウナ室の中。


三姉妹が——座っていた。


クレイムルが上段。

ゴシプルが中段。

イグノアルが下段。


「……暑い」

「うるさい。我慢しなさい」

「でも——」

「黙って」

「……」


一分が経った。


「……ねえ、クレイムル」


「なに」


「これ、なんか……変な感じがする」


「どんな感じよ」


「……体の中から、何かが溶け出してる感じ」


クレイムルは黙った。


確かに——肩の力が、少しずつ抜けていく。


ずっと張り続けていた、何かが。


二分が経った。


トントがロウリュ水をラドルで掬った。


今だ。


ストーンに——叩きつけた。


ジュゥゥゥゥッ!!


白い蒸気が、爆発的に広がった。


三姉妹が、一斉に声を上げた。


芳醇な香りが、室内に満ちた。


ラベンダー。ネロリ。ローズマリー。サンダルウッド。


アロマの粒子が、嗅神経を通じてダイレクトに脳を叩く。


凝り固まった思考が——バターのように、溶けていく。


「……あ」

クレイムルの目から——力が抜けた。


「……なんか」

ゴシプルの口が、半開きになった。


「……うん」

イグノアルが——壁に、もたれた。


トントがタオルを大きく回した。

ブォン——。


蒸気が、波のように全員を包んだ。


「グアーーー!!アチアチや!!

 でも最高やわーーー!!」


テルメが上段で叫んでいた。


「テルメ、お前も入ってたのか」


「当たり前やん!文化祭やで!!」


水風呂。

三姉妹が——おそるおそる、足を入れた。


「つ——っ!!冷たい!!」


「少し我慢だ。あと三十秒」


「無理よ!!」


「無理じゃない。体が、覚醒する」


三十秒後。


三姉妹が水風呂から出た。


整い椅子に——倒れ込むように座った。


学院の秋の空気が、全身を包んだ。


誰も喋らなかった。


しばらく——ただ、空を見上げていた。


「……ねえ」クレイムルが、静かに言った。


「なに」


「色々指示もらってたけど。—明日からでよくない?」


ゴシプルが、ぼんやりと答えた。


「そうね……今日はもう……眠いし……」


イグノアルが——珍しく、口を開いた。


「……ここ、いい」


三人が——空を見上げたまま、黙った。


トントは整い椅子の横に立って、

三姉妹を見ていた。


……整ってる。完全に、整ってる。


「クレイムル」


「……なに」


「最後に心から笑ったのは、いつだ」

長い沈黙。


「……覚えてない」


「そうか」


「……あなたは?」


「最近。よく笑ってる。」


「……整えたの?」


「あぁ、整えてる」


クレイムルは——空を見た。


「……私たち、魔王軍なのに」


「関係ない。誰でも入れる。

 それがサウナだ」


ゴシプルが、ぽつりと言った。


「……悪口、言うの、疲れてた」


「そうか」


「……認めてほしかっただけなのに、

 なんで悪口になってたんだろ」


「怖かったんだろ。

 直接、認めてくれって言うのが」


「……うん」


イグノアルが、静かに言った。


「……逃げてばかりで、ごめん」


誰に言ったのか——わからなかった。

でも。


「謝らなくていい。これからどうするかだ」


三姉妹は——顔を見合わせた。


そして。


初めて——笑った。


ぎこちなく。


でも——確かに。


テルメが横から言った。


「ウチ、あんたら好きやわ」


「急に何よ」


「ほんまのこと言うただけや」

リリが言った。


「また来てくださいね!整理券、とっておきます!」


エーアイが静かに言った。


「……次は、外気浴用のポンチョも用意します」


三姉妹は——また、顔を見合わせた。


「……来てもいいの?」


「いつでも」


トントは答えた。


「ただし——次来る時は、主も連れてこい」


「主?」


「ストレッシだ。いつもイライラしている、哀れな魔王をな」


三姉妹が——目を丸くした。


それから。


「……あの人、絶対来ないわよ」


「そうか」


「……でも、言ってみる」


クレイムルが、立ち上がった。


ゴシプルが続いた。


イグノアルが——最後に、振り返った。


「……ありがとう」


それだけ言って、三人は去っていった。


トントは、その背中を見送った。


……ストレス三姉妹を、整わせた。


テルメが隣に来た。


「……なんか、あいつら、また来そうやな」


「来る」


「なんで断言できんの」


「整いの味を覚えたら——戻ってくる。必ず」


テルメはにっこりした。


「……せやな。ウチもそうやったもん」


夕暮れが——アルカナ魔法学校を、

オレンジ色に染めていった。


「……もう一度、入るか」


トントが言った。


「え?」リリが目を丸くした。


「今日——百人以上を整わせた。その残滓が、まだサウナ室に残っている」


「残滓?」


「整いのエネルギーだ。

 蒸気に溶け込んでいる。

 今この瞬間しか——感じられない」


全員が顔を見合わせた。


「……入ります」エーアイが静かに言った。


「ウチも!!」テルメが飛び上がった。


「……仕方ないわね」レンが腕を組んだ。


全員がサウナ室に入った。


疲れていた。


一日中、動き続けた。


でも——なぜか、体が軽かった。


トントがロウリュ水をラドルで掬った。


……今日、ここで整わせた人たちの顔が、

 浮かぶ。


最初は怪しんでいた老人。


並んでいた子供。


渋々入った側近。


そして——三姉妹。


全員が——整った。


ストーンに、叩きつけた。


ジュゥゥゥゥッ!!


白い蒸気が、広がった。


その瞬間。


精霊たちが——動いた。

ファビラが——金色に輝いた。

シルヴァが——深い緑の光を放った。

キックルが——青白く輝いた。

ザウルが——風を巻いた。

ペトラが——重く、確かに光った。

そして——ヴァロが。


眩しく。


全員の光を——一つに束ねた。


「……なんか」リリが言った。


「違う」


「精霊が——共鳴してる」

 エーアイが静かに言った。


今までと違う反応だった。


五つの光が——一つの光になろうとしていた。


まだ、完全ではない。


でも——確かに、繋がっていた。


「……これが」トントが静かに言った。


「整いを人に伝えることで——自分も深まる」


「タイカ先生の言葉か」レンが言った。


「そうだ」


「……意味が、わかった気がする」


テルメが——ヴァロを見ながら言った。


「……ウチ、今日一番頑張ったで」


「そうだな」


「褒めてや」


「……よくやった」


「もっと具体的に!!」


「……整理券を百枚配って、

マッカラを試食しすぎて、

酵素ドリンクを売りまくって、

側近を強引に連れ込んで、三姉妹に整理券を渡した。全部、お前の功績だ」


テルメが——目を潤ませた。


「……ウチ、泣いてもええか」


「好きにしろ」


テルメは——

ヴァロを抱きしめながら、静かに泣いた。


ヴァロが——温かく輝いた。


サウナ小屋の煙突から——

白い煙が、まだ上がっていた。


夕暮れの空に——

煙が、ゆっくりと溶けていった。


世界の——どこか遠くで。


眠りが——浅くなった。


赤い目が、開いた。


五つの光が——一つに束なろうとしていた。


その光は、百年前とは——違った。


……五精霊が、共鳴した。


長い沈黙。


……百年前は三精霊だった。


あの時でさえ——俺は追い詰められた。


今回は——本気で、動く必要がある。


赤い目が——細くなった。


闇の中で——声が響いた。



トゥスカ。



静寂。


そして——闇の中から。


美しい青年が、現れた。


笑顔だった。


でも——その目は、死んでいた。


「……お呼びですか」


行け。


「……楽しみですね」


トゥスカは——静かに微笑んだ。

そして、消えた。

闇が——また、静まり返った。

でも。

今度は——重かった。


—————————————————


夜。


落ちこぼれ寮の廊下。


テルメがトントの隣に座っていた。


今日の疲れが——じんわりと体に来ていた。


でも——眠れなかった。


「……トントはん」 


「なんだ」


「修学旅行、ラップーランドやんな」


「そうだ」


「……なんか、不安やねん」


「なぜ」


テルメは少し考えた。


「……なんか、ただの観光じゃない気がして」


トントは黙っていた。


「テルメのナビゲーター——何か感じてるか」


テルメは目を閉じた。


しばらく——静かだった。


「……霧みたいなもやが、見える」


「霧?」


「うん。北の方向。なんか……暗い。

寒いだけじゃない、違う寒さ」


「……そうか」


「なんや?知ってるん?」


「わからない。でも——」


トントは北の空を見た。


「ラップーランドは——百年前に、何かがあった場所だ」


「何かって?」


「まだわからない。

何かキッカケになりそうなものがある。それだけは確かだ」


テルメが——ヴァロを見た。


ヴァロが——北の方向に向かって、じっと輝いていた。


「……ヴァロも、感じてるんかな」


「そうかもしれない」


テルメは立ち上がった。


「……なんか、ワクワクしてきたわ」


「さっき不安だと言っていた」


「ウチ、切り替え早いねん!!

 皆んながいれば大丈夫やろ。」


「……そうだな」


「トントはん」


「なに」


「修学旅行——絶対、ただじゃ済まへんやろ」


「……かもな。」


「でも——」


テルメはヴァロを肩に乗せて、にっこりした。


「ウチ、準備できてるで」


トントは静かに言った。


「……俺もだ」


二人は——北の空を見上げた。


星が、輝いていた。


その向こうに——霧が、漂っていた。


まだ、見えない。


でも——確かに、そこにある。


————————————————————-


第18話 了

◆次話予告/第19話「修学旅行——霧の向こうに、湯気がある」

凍てついた北の大地。

失われたサウナの火種を——トントは探す。





最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


この作品を「面白い」「続きが気になる」と思ってくださった方は、

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】をクリックして評価をいただけると嬉しいです。


皆様の応援が、異世界サウナ夢想の最大のモチベーションになります!

次回もぜひお楽しみに。

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