第15話「期末。デ。キマッタ!!!??? 光の精霊」
皆様
ベシさんです。
いつもありがとうございます。
期末テストも
何とか無事?に終わりました
物語りは次のステージへ!
では!
期末テストの翌朝。
ダッフル校長から呼び出しがあった。
全員が——会議室に集まった。
いつもは穏やかな老人に、少し緊張感がある。
椅子に座らず、窓の前に立っていた。
「……昨日のテストで、メランに皆さん全員の力量を把握されました」
室内が、静まり返った。
「スパイとして潜入していたメランは——
全員の魔法、精霊、弱点を記録した。次は本格的な攻撃が来ます。
メランがスパイとして潜入していた事について
学校側の責任がある事も、重く受け止めています。」
「……いつなんですか」とリリが聞いた。
「それは、わかりません。でも——準備をして、備えなければいけません。」
校長は全員を見渡した。
「リリ——ファビラの精霊魔法、まだ不安定です。
エーアイ——シルヴァとの連携、もう少し詰める必要があります。
レン——体力面、まだ課題が残っています」
全員が、頷いた。
「そして——」
校長の目が、テルメに止まった。
「テルメさん。あなただけ、精霊がいない」
テルメは黙った。
「ナビゲーターは優秀なスキルです。
でも——精霊なしでは、魔素の増幅ができない。
本格的な戦闘では——限界が来ます」
「……わかってるわそんな事。」
テルメの声が、小さかった。
その時。
会議室の扉が——ふらっと開いた。
タイカだった。
サングラスをかけ直しながら、のんびり入ってきた。
「あ、もう始まってましたか〜。すみません〜」
「遅刻ですよ!!」とリリが叫んだ。
「そうじゃないんですよね〜。俺なりの時間感覚があるんで〜」
ダッフル校長が——静かに言った。
「……タイカ。あとは、頼みましたよ」
「わかります?お任せください〜」
タイカは全員を見渡した。
サングラスの奥の目が——鋭かった。
「……皆さん、今より強くなる必要があります。わかります?」
「どうすれば」とトントが聞いた。
「次は——文化祭ですよ〜」
「……文化祭と強くなることが、どう繋がるんですか」
「整いを人に伝えることで——自分も深まるんですよ〜。わかります?」
タイカはにこっとした。
「では——頑張ってください〜」
「先生、もっと説明してください!!」とリリが叫んだ。
「そうじゃないんですよね〜。自分で気づいた方が深くなるんで〜」
「じれったい!!」
ダッフル校長が——ふふ、と小さく笑いながら言った。
「皆さん、本当の強さを身に着けてください。」
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その夜。
テルメは一人、落ちこぼれ寮の廊下にいた。
トントが通りかかった。
「テルメ」
「……なんや?」
「サウナ、入るか」
「……今は、ええわ」
トントは隣に座った。
「珍しいな。断るとは」
「……ウチ、足手まといなんかな」
テルメは膝を抱えた。
「皆には精霊がいる。
リリにはファビラ。
エーアイにはシルヴァ。
レンにはキックル。
あんたにはザウル。みんな、精霊と一緒に戦える」
「……」
「ウチだけ——何もない。ナビゲーターだけ。
それも、グルームのオーラで乱れた」
テルメの目に——涙が滲んだ。
「昨日、トントが結界に閉じ込められた時——ウチ、何もできひんかった。
壁叩いて、泣いてただけや」
「テルメ」
「なに?」
「お前のナビゲーターがなければ——俺は、結界を崩せなかった」
「……でも、精霊がいたら、もっと——」
「テルメ」
もう一度、呼んだ。
「精霊は——力の全てじゃない。
お前の力は、お前の中にある。精霊はただ——それを引き出すだけだ」
テルメは黙った。
「……そんなこと言われても」
「わかってる。でも——俺は本当のことしか言わない」
二人は、しばらく黙って廊下に座っていた。
風が、廊下を抜けていった。
ザウルが——トントの肩で、静かに揺れた。
……テルメ。お前の精霊は、必ず来る。
でも——それは、俺が言うことじゃない。
トントは何も言わなかった。
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翌日。タイカがテルメを呼んだ。
二人で、訓練場の隅に座った。
「テルメさん」
「……なんですか」
「精霊は——呼ぶものじゃないんですよね〜」
「どういうことですか」
「呼んでも来ない。探しても見つからない。
でも——本当に必要な瞬間に、必ず来る。わかります?」
「……わかりませんわ、そんなもん。」
タイカは笑った。
「そうじゃないんですよね〜。俺も最初はわからなかったんで」
「先生にも、そういう時期が?」
「ありましたよ〜。ペトラが来た時——俺、全然構えてなかったんで。
気づいたら、肩に乗ってたんですよ」
「……え」
「整いの瞬間でした。サウナ上がりの外気浴で——空を見上げてたら、いつの間にかいた」
タイカはサングラスの奥で、遠くを見た。
「精霊は——心が静かになった時に来る。焦ってる時は来ない。
力んでる時も来ない。ただ——整った瞬間に、来る」
テルメは黙って聞いていた。
「テルメさん、あなたは整えますか」
「……サウナは、好きです」
「ならば——今夜、一人でサウナに入ってみてください。
何も考えずに。わかります?」
「何も考えんな、と言われても……
考えんとこって思ってる時点で、もう考えてるし。
ああ、イライラするわ!!」
タイカは苦笑いした。
「自分で見つけるしかないですね〜。頑張って」
「ホンマに。じれったい!!」
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深夜。
テルメは一人でサウナ室に入った。
誰もいない。静かだった。
テルメはいつもの上段ではなく——中段に座った。
いつもよりマイルドな熱がテルメを包み込む。
……何も考えない。か。
ロウリュ水をストーンにかけた。蒸気が、立ち上った。
ヒノキの香りが、ふわりと広がった。
*ほんまや、座る場所を変えるだけで、こんなに感じる熱が違うんや。*
テルメはジックリ蒸されていく中で、思い返していた。
ウチ、異世界に来て——ほんまに色々あったな。
大阪のタクシー。
深夜の梅田。
好きやったサウナ。
転生して、金髪美人になって(ナイスバディやで、ついでに)
トントに出会って。
レンに出会って。
リリに出会って。
エーアイに出会って。
……ウチ、幸せなんかもしれへん。
汗が、流れた。体が、じんわりと温かくなった。
精霊とか、魔法とか——そんなん関係なく。
ここにいる仲間が、好きや。
テルメは目を閉じた。
何も考えなかった。
ただ——蒸気の中に、いた。
その瞬間。
肩に——何かが、触れた。
温かかった。
光だった。
テルメはゆっくり目を開けた。
肩の上に——小さな光の塊が、ふわふわと浮いていた。
白くて。温かくて。まるで——太陽の欠片みたいな。
「……あんた、誰?」
光の塊が——ぽわっと輝いた。
「……ヴァロ?」
光が——大きくなった。テルメの全身を、優しく包んだ。
「……来てくれたんや」
テルメの目から——涙が、ぽろぽろと落ちた。
「……遅いで、ヴァロ。ウチ、ずっと待っててん」
ヴァロが——くるりと回った。
まるで——「ごめんね」と言っているようだった。
「ええわ。来てくれたんやから」
テルメはヴァロを、そっと両手で包んだ。
温かかった。
大阪の、冬の日差しみたいに。
「……よろしくな、ヴァロ」
ヴァロが——ぽわっと、一度だけ輝いた。
翌朝。
全員がサウナ室の前に集まった。
テルメが——ヴァロを肩に乗せて、やってきた。
「……テルメさん!!もしかして?」リリが目を丸くした。
「来てくれたんや」テルメはにっこりと笑った。
「よかった——!!」リリがテルメに飛びついた。
エーアイが静かに微笑んだ。
レンが——珍しく、素直に言った。
「……おめでとう、テルメ」
「ありがとさん」
テルメはヴァロを見た。
「ウチの光の精霊や。全精霊の力を増幅させる——らしいで」
「らしい、って」
「タイカ先生が言うてた。わかります?って感じで」
全員が笑った。
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トントはサウナ室の扉を開けた。
「入るぞ」
全員が、入った。
ストーンに、アロマロウリュ水をかける。
蒸気が、立ち上る。ヒノキとタールの香りが広がる。
全員が——それぞれの場所に座った。
上段のテルメ。
中段のリリ。
下段のレン。
静かなエーアイ。
笑顔のキックル。
ヴァロ。ファビラ。シルヴァ。ザウル。
全員の精霊が——一つのサウナ室に、揃っていた。
トントはラドルを手に取った。
……前世の俺は、孤独に倒れた。誰もいない夜だった。
でも今は——こんなに、温かい場所がある。
タオルを、大きく回した。
ブォン——。
蒸気が、全員を包んだ。
誰も喋らなかった。ただ——汗が、輝いていた。
精霊たちが——一斉に、光った。
ファビラの小さな炎。
シルヴァの緑の光。
キックルの水色の光。
ザウルの風の光。
そして——ヴァロの、眩しい白い光。
五つの光が、サウナ室を満たした。
「……きれい」リリが呟いた。
誰も、何も言わなかった。
ただ——静かな時間が、流れた。
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その時。
世界の——どこか遠くで。
何かが、目を覚ました。
眠っていた。長い間。ずっと——眠っていた。
でも今——目が、開いた。
赤く。禍々しく。
……五精霊が、揃ったか。
静寂。
百年ぶりだ。
また、静寂。
……面白い。
低く。重く。冷たい声が——闇の中に、溶けた。
そして——また、眠りについた。
でも。
今度は——浅い眠りだった。
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その夜。
ダッフル校長は一人、窓の外を見ていた。
手に——古びた羊皮紙を持っていた。
「……動き出した」
低く、呟いた。
羊皮紙には——一つの地図が描かれていた。
漂流する何かを示す、点線の軌跡。
その中心に——文字が書かれていた。
『オーユバーラ』
「……あの子たちが整えば整うほど——近づいてくる」
校長の目が、細くなった。
「でも——封印が解ける前に、ストレッシが動く」
窓の外。
星空の向こうに——白い蒸気が、かすかに揺れていた。
漂っていた。
近づいていた。
でも——まだ、届かない。
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……翔太。
お前は今、どこにいる。
トントは自分の部屋で、天井を見ていた。
眠れなかった。
ヴァロの光が——イロ・アウロの目と、重なって離れない。
あの温かい魔法。
「先生」という、声にならない声。
……まさか。な。
もしも——あの子が翔太なら。
俺は——また、あいつを傷つけることになる。
俺のせいで植物状態になった翔太が——また、俺のせいで。
手が——震えていた。
窓の外で、風が鳴った。
ザウルが——静かに、温かく揺れた。
「……うるさい」
トントは目を閉じた。
眠れなかった。
朝まで。ずっと。
ーーーーつづく。
◆第16話「オーユバーラ漂流の真実——聖地は、動いていた」
整いの先に——世界の秘密が待っていた。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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皆様の応援が、異世界サウナ夢想の最大のモチベーションになります!
次回もぜひお楽しみに。




