第11話「夏休みのラウハ村。イライラの正体」
皆様。
ベシさんです。
いつもありがとうございます。
夏休み。 皆さんはどんな思い出がありますか?
私は。。。 花火をした事かなぁ。。 アイスとかき氷。も
エンジョイしないと。
さて、サウナ行くか。。
では!
夏休みが、始まった。熱い。 溶けそうだ。。。
「リリ、夏休みだ。村に帰らないか 」トントはリリにそう言った。
「え? 村に?ラウハに??」
「そう。一緒に、帰ろう〜」
リリの目が、ぱっと輝いた。「ほんとに!? お母さんに会える!?」
「もちろん!」
「やったぁ——!!」
テルメが横から言った。
「ウチも連れてって! ずっと学院にいたら息が詰まるわ!」
「構わないが...。」
「ほんま!? えへへ、田舎の空気、吸いたかってん!」
こうして三人は、ラウハ村へ向かった。
―――
村までは、馬車で1日の道のりだった。
テルメが窓から外を見ながら言った。
「ええとこやな。緑が多くて」
「生まれ育った村、ラウハ村。だな。」
「……なんか、意外やな。都会っぽい雰囲気あるから」
「そうかな?都会の病院にいたから、あぁなったのか。。いや、関係ないか。」
*都会っぽい、か。*
*四十六年、東京で生きてきたからかなぁ。灰色の町。だよな。
テルメ見てると、大阪で生まれた女??おっさん? なんだよなぁ*
トントは窓の外を見た。緑の丘。小川。石造りの家々。
*……悪くない村だ。*
―――
村に入った瞬間、いつもと違う雰囲気に2人は驚いた、殺伐としている...。
「……なんか、雰囲気おかしくない?」リリが首を傾げた。
確かに。道を歩く村人たちの表情が、暗い。
すれ違っても、挨拶もない。子供たちが遊んでいない。
「リリ、ラウハ村っていつもこんな感じなん?」
「ぜんぜん! もっと明るくて賑やかな村だよ! みんな笑顔で——」
「お嬢ちゃん! そこ、通行の邪魔だ!!」
突然、怒鳴り声がした。振り返ると、荷車を引いた男が仁王立ちしている。
別に邪魔なほど近くにいるわけではない。
「す、すみません——」とリリが謝った。
「まったく、最近の若いもんは!!」
男は荷車を引いて、ぶつぶつ言いながら去っていった。
テルメが小声で言った。
「……なんや、あのオッサン、当たり強いなぁ!」
「感じ悪いね」とリリが言った。
トントは黙っていた。
*漠然とした怒り。理由のないイライラ。*
*……これは。*
「テルメ」
「なに?」
「この村の空気を、ナビゲーターで読んでみてくれない?」
テルメは目を閉じた。
しばらくの静寂。
テルメの眉が、寄った。
「……なんか、変な魔素が村全体に漂ってる。
赤みがかった、とげとげした感じの」
「赤みがかった、とげとげした魔素」
「うん。気持ち悪い感じ——怒りみたいな」
*第三不快。ラース。怒り・衝動・暴力衝動。*
*……やはりそうか。*
「村全体に蔓延している」
「そういうこと。ウチも、なんかイライラしてきた気がする」
「覇気も含まれているかもね。抵抗しないとね。」
「どうやって?」
「深呼吸しよ。鼻から吸って、ゆっくり吐く」
テルメは深呼吸した。
「……あ、少しマシになった」
「整った体は、ラースに対する抵抗力がある」
「……イライラしたらまけやな」
「そうだ」
―――
リリの家に着いた。母親が出てきた。顔色が悪い。
「リリ、トント.....。帰ったのね、おかえり。」
笑顔がない。いつもの明るい声じゃない。
「お母さん、どうしたの? 顔色悪いよ」
「なんでもない。最近、なんか……イライラして」
「どのくらい前から?」
「……二週間くらい前から、かしら。村中がそんな感じで」
*二週間前。
体育祭の前後——魔王軍のスパイが学院に潜入していた時期と重なる。*
*学院だけでなく、村にも仕掛けていた。*
「リリのお母さん」
「はい」
「この村に、見慣れない旅人が来ませんでしたか。二週間ほど前に」
母親は少し考えた。「……そういえば、黒いローブの人が、村を通っていったような——」
「わかりました。ありがとうございます」
テルメが小声で言った。
「……なんとかせな、これ」
「そうだ。でも——」
トントは村を見渡した。石造りの家々。小川。緑の丘。
そして——リリの家の裏に、小さな小屋があった。
「あの小屋、使えるか」
「うちの物置だけど——何するの?」
「サウナ、作ろっか?」
―――
三人は動いた。
テルメがナビゲーターで材料集めから、配置を決める。
リリがスモールファイヤで薪に火をつける。
トントが設計図を描いて、指示を出す。
エーアイがいないため、材料は村の廃材を使った。
「板が足りない」
「裏の納屋に予備の板があるって、ナビゲーターで見えてる」
「取ってきて」
「はい!!」テルメが走った。
5時間後。小さなサウナ小屋が完成した。
暑い夏、みんな汗だくだ!
手作り感満載だが、熱の質は本物。
「よし」
トントはラドルでアロマ水をすくって、ストーンにかけた。
今日のアロマは........。
バーチ(白樺)、ユーカリ、レモングラス。
そう、トント特製!
真夏の夜の汗。。!
「ださっ、カッコ悪。
センスなさ男。やな、寝汗みたいやんか。。。」
テルメが、ぼやく。。
「真夏のトントスウェットの方がええんちゃうか!??」
ジュッ——。白い蒸気が、小屋に広がった。
リリが香りを嗅いで、飛び跳ねる!
「すごい、トント、暑い蒸気なのに、
香りが爽やかすぎるよ!!」
「このアロマは
空間浄化と、強力なリフレッシュを促すんだ
この村の人たちに必要なアロマ配合になっているよ。」
*この爽やか蒸気が——ラースを払う。*
―――
「お母さん、入ってみて」
リリが母親を連れてきた。
「え……何これ、怖い」
「怖くないよ、お母さん。熱くて気持ちいいよ!」
「熱いのも怖い」
「五分だけでいいから、ねっ!」
母親は恐る恐る、サウナ小屋に入った。
五分後。しっかり蒸されたリリママが出てきた—顔が少し赤くなっている。
水風呂代わりに、小川の水を桶に汲んで用意してあった。
「足を浸けてください」
「冷た——!!」
「一分だけ」
「……はい」
一分後。母親は空を見上げていた。
「……なんか」
「なんですか」
「……すっきりした。なんか、胸のあたりが——軽い」
リリが笑った。「整ったね、お母さん」
「ととのった……? 何それ」
「説明は後で。今はゆっくり休んで」
―――
噂はすぐに広がった。
「リリの家の小屋、すごいらしいぞ」
「あの子、学校でそういうの作ったって聞いてたけど」
「行ってみようか」
翌日から、村人が次々と訪れた。テルメが仕切る。
「はいはーい! 一回につき一セット! サウナ前は必ず水分補給してから! 入る前に水飲んでな!!」
「サウナ前に水分補給?」
「そう! 入ってからでは遅いから! これ基本! これないと脱水になるで! 気をつけて!」
「知らなかった」
村人たちが、次々と整っていった。
怒鳴っていた荷車の男も来た。五分後——
「……なんか、さっきまでなんであんなに怒ってたんだろ」
「整いましたね」とリリが言った。
「……ととのい、か。初めて聞いた言葉だ」
―――
(村の夜。サウナ小屋のすぐ外で、小さな焚き火を囲むトントたち)
「トントさん、これ。口に合うかしら」
リリのお母さんが持ってきたのは、太くて無骨な手作りソーセージ——
**『マッカラ』**だった。
「わあ、お母さんのマッカラだ!」
リリが指先から
**「スモールファイヤー」**を出し、焚き火の火力を絶妙に調整する。
串に刺したマッカラが火に炙られ、パチッとはぜる音とともに、香ばしい肉汁が滴り落ちた。
「……マッカラ。フィンランドではサウナの定番飯だ」
トントの瞳に、焚き火の光が宿る。
お母さんが添えてくれたのは、
村の香草を練り込んだ黄色い**『特製マスタード』**。
トントが熱々のマッカラを一口噛みしめると、パリッとした皮の中から、
粗挽き肉の旨味が溢れ出した。
そこにマスタードのツンとした刺激と爽やかな酸味が加わり、
脳をさらに「ととのい」の深みへと引きずり込む。
「……っ! これや、これ!! シンプルやけど、このガツンとくる塩気が、サウナ後の体に一番必要なんや!あぁ、ビール飲みたい!!!」
テルメがを幸せそうに吠える。
「……美味しいな」
トントは静かに呟いた。
医学的に言えば、塩分とタンパク質、そしてマスタードに含まれる成分が代謝を助ける。だが今のトントにとって、そんな理屈はどうでもよかった。
「マッカラを、マスタードで食べる。……ただそれだけのことが、こんなに……」
手術室の無影灯の下では、決して得られなかった「血の通った温もり」。
リリとお母さんが笑い合い、焚き火が爆ぜる。
「リリ。このマッカラとマスタードのレシピ、教えてもらえるか」
「もちろん! いつでも私が最高の火加減で焼いてあげるからね!」
トントは、夜空の星を見上げた。
この「マッカラの幸せ」を知らない魔王に、いつかこの味を叩きつけてやる。
それが、脳外科医・三杉から、この世界の救世主へと変わった彼女の、新たな決意だった。
―――
【次話予告】第12話「昇級請負人——タイカ先生、現る!」
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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次回もぜひお楽しみに。




