第98話 拒絶
「……レイン」
ガルドの声。
震えている。
「……」
戦場の中心。
崩壊した地面。
静まり返った空気。
その中で。
二人が向き合う。
「……お前が」
「……全部、やったのか」
「はい」
レインは、いつも通り答える。
「……」
沈黙。
長い。
重い。
「……」
ガルドの視線が、周囲をなぞる。
消えた軍。
壊れた地形。
残されたのは――
結果だけ。
「……」
理解する。
嫌でも。
「……」
拳が、震える。
「……俺たちは」
絞り出すような声。
「……何だったんだ」
「……」
誰も、口を挟まない。
カレンも。
ミアも。
リリアも。
ただ、見ている。
「……」
ガルドが、一歩踏み出す。
「……戻ってきてくれ」
「……」
空気が、止まる。
「……?」
ミアが小さく呟く。
カレンは、目を細める。
「……来たわね」
「……」
ガルドは、必死だった。
「俺たち……間違ってた」
「お前が必要だったんだ」
「……」
言葉が、続く。
「もう一度、一緒に――」
その時。
「無理です」
即答。
一切の間もなく。
「……」
空気が、凍る。
「……え」
ガルドが、固まる。
「……」
レインは、変わらない。
表情も。
声も。
何も。
「……戻る理由がないので」
「……」
言葉が、刺さる。
まっすぐに。
逃げ場なく。
「……」
ガルドの顔が、歪む。
「……俺たちは」
「……仲間だっただろ」
「はい」
「……!」
肯定。
だが。
「今は違います」
「……」
完全な、線引き。
「……」
沈黙。
崩れる。
内側から。
「……」
ガルドの視線が、再び戦場を見る。
そして。
レインを見る。
「……」
差。
圧倒的な。
埋めようのない。
「……」
ようやく、理解する。
「……ああ」
かすれた声。
「……違うな」
「……」
「最初から、違ったんだな」
「……」
レインは、何も言わない。
その沈黙が。
答えだった。
「……」
ガルドが、力なく笑う。
「……終わりか」
「……」
誰も、否定しない。
できない。
「……」
ミアが、小さく言う。
「……戻らないんですね」
「はい」
レインは、迷わない。
「今の方が楽しいので」
「……」
カレンが、肩をすくめる。
「でしょーね」
リリアは、静かに頷く。
「当然の選択です」
「……」
ガルドは、もう何も言わない。
言えない。
すべて、終わったから。




