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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第97話 懇願

戦場の空気が、張り詰めていた。


崩壊した地形。

倒れ伏す兵士たち。

そして――


「……」


レインの前に。


かつての仲間たちが立っていた。


「……久しぶりだな」


ぎこちない声。


だが、その目には余裕はない。


「……」


レインは、特に驚く様子もなく。


「そうですね」


と、いつも通りに答える。


「……」


沈黙が落ちる。


かつて同じパーティだった者たち。


だが今は。


敵側の陣営。


「……」


一人が、歯を食いしばる。


「……なあ」


声が、震える。


「……」


その視線は、レインから逸らせない。


「……お前……」


一拍。


「なんなんだよ……」


「……?」


レインは、首を傾げる。


「普通の冒険者ですけど」


「ふざけんな!!」


叫び。


感情が、爆発する。


「普通なわけあるか!!」


「なんだよあの力……!」


「一人で戦場ひっくり返して……!」


「……」


言葉が、止まらない。


混乱。


恐怖。


そして――


「……後悔」


「……」


もう一人が、低く言う。


「……俺たちは……」


拳を握る。


震えながら。


「……何を見てたんだ……」


「……」


レインは、黙っている。


何も言わない。


「……」


リーダーが、一歩前に出る。


かつて。


レインを追放した男。


「……」


その顔は。


もう、かつてのものではない。


自信も。


余裕も。


何も残っていない。


「……頼む」


絞り出すような声。


「……」


膝が、揺れる。


「……」


そして。


ついに。


「……戻ってきてくれ……!」


頭を下げる。


深く。


土に額がつくほどに。


「……!」


ミアが、息を呑む。


カレンも、言葉を失う。


「……」


戦場に。


静寂が落ちる。


「……」


かつて追い出した相手に。


自分たちの都合で。


戻ってきてくれと願う。


その意味。


その重さ。


「……」


リーダーの声が、震える。


「俺たちじゃ……無理なんだ……」


「……」


「お前がいないと……」


言葉が、詰まる。


「……」


そして。


小さく。


「……終わる……」


「……」


完全な、敗北宣言。


誇りも。


意地も。


すべて捨てて。


ただ。


縋る。


「……」


レインは、その姿を見て。


少しだけ考える。


「……」


長くはない。


ほんの一瞬。


そして。


「……無理です」


「……」


静かに。


はっきりと。


告げる。


「……っ」


空気が、凍る。


「……」


レインは、続ける。


「今の方が、楽なので」


「……」


あまりにも。


あっさりとした理由。


「……」


誰も、言葉を返せない。


「……」


リーダーの肩が、落ちる。


完全に。


力が抜ける。


「……そうか……」


それだけ。


それだけしか、言えない。


「……」


もう。


何も残っていなかった。


「……」


レインは、特に気にせず。


「では」


と、軽く言って。


歩き出す。


「……」


その背中を。


誰も、止められない。


「……」


ただ。


見送ることしかできない。


「……」


かつての仲間は。


もう。


完全に。


“届かない存在”になっていた。

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