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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第95話 制圧

「――退け!!」


敵指揮官の叫び。


だが。


もう遅い。


「……」


レインが、歩く。


ただ、それだけ。


「……来るな……」


敵兵の一人が、後ずさる。


剣を構えたまま。


だが。


足が、動かない。


「……」


恐怖。


本能が、理解している。


“勝てない”。


「……」


一歩。


踏み出す。


その瞬間。


「――」


前列が、消える。


まとめて。


「……っ!?」


後方が、崩れる。


連鎖的に。


「隊列を維持しろ!!」


「無理です!!」


「持たない!!」


叫びが、重なる。


だが。


止まらない。


「……」


レインは、何も変わらない。


焦りも。


怒りも。


何もない。


ただ。


進む。


それだけで。


敵軍が、削れていく。


「……」


気づけば。


前線は。


完全に、消えていた。


「……は?」


誰かが、呟く。


「……終わったのか?」


「……」


いや。


まだ。


だが――


「……」


レインが、立ち止まる。


軽く、周囲を見る。


残っている敵。


散り散り。


陣形は、ない。


指揮も、届いていない。


「……」


そして。


「これでいいですね」


軽く、手を払う。


「――」


次の瞬間。


残存していた敵兵が――


一斉に崩れる。


「……」


静寂。


完全な。


「……」


風の音だけが、残る。


「……え?」


ミアが、呆然とする。


「……終わりですか?」


「みたいね」


カレンが、呆れたように言う。


「……早すぎでしょ」


「はい」


リリアも、静かに頷く。


「完全制圧です」


「……」


王国兵たちも、動けない。


「……勝った……?」


「……いや」


「……何が起きたんだ?」


理解が、追いつかない。


「……」


その中で。


レインは、いつも通り。


「帰りますか」


「遠足じゃないのよ」


カレンが即ツッコミ。


だが。


その声には、少し笑いが混ざる。


ミアが元気よく言う。


「勝ちました!」


「ええ」


リリアが、静かに前を見る。


崩壊した戦場。


消えた敵軍。


そして。


ただ一人で、それを成した存在。


「……」


小さく、呟く。


「……圧倒的ですね」

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