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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第81話 歪み

「――話が違う!」


怒声が、室内に響いた。


王城、会議室。


重厚な扉の内側。


そこには――


貴族たちが集まっていた。


「我々の権益はどうなる!」


「地方の一拠点に、これだけ譲歩するなど――」


「正気か!」


机が叩かれる。


空気は、荒れていた。


「……」


一人が、冷静に言う。


「感情で動くな」


「これは“必要な判断”だ」


「必要だと!?」


別の男が吐き捨てる。


「あんな得体の知れない連中に!」


「王女まで関わっている!」


「危険すぎる!」


「……」


沈黙。


そして。


「だからこそだ」


低い声。


「敵に回す方が、危険だ」


「……」


反論が止まる。


「……」


だが。


納得はしていない。


「……では」


別の貴族が、静かに言う。


「“管理”はどうする」


「……」


「放置するのか?」


「……不可能だ」


「だが、干渉もできない」


「……」


空気が、歪む。


「……なら」


誰かが、低く言う。


「内部から触るしかない」


「……」


視線が集まる。


「どういう意味だ」


「簡単だ」


男は、薄く笑う。


「“取り込む”」


「……」


「あるいは」


「“崩す”」


空気が、一段冷える。


「……」


「王女が関わっている以上」


「正面からは無理だ」


「だが」


「外からなら、可能だ」


「……」


「情報」


「流通」


「人材」


「いくらでも、手はある」


「……」


誰かが、小さく言う。


「……危険だな」


「今さらだ」


男は肩をすくめる。


「すでに均衡は崩れている」


「なら」


「利用するか」


「潰すか」


「どちらかだ」


「……」


沈黙。


重い。


「……」


その時。


扉の外。


「……」


誰かが、その会話を聞いていた。


「……なるほど」


小さく、呟く。


リリアだった。


「……」


その目は、静かだった。


だが――


冷えている。


「……やはり」


「こうなりますか」


一方。


廊下の反対側。


「……」


レインは、壁にもたれていた。


「どうでした?」


「聞いていたのですか?」


「なんとなく」


「……」


リリアは少しだけ驚き――


すぐに戻る。


「……内政の問題です」


「そうなんですね」


「はい」


「どうしますか?」


「……」


一瞬、考えて。


レインは言う。


「そのうち解決しますよ」


「……」


リリアは、少しだけ笑った。


「……そうですね」


「あなたがいれば」

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