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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第70話 余波

「――報告は以上です」


静まり返った部屋。


長い机。


並ぶ者たち。


王国中枢。


「……」


誰も、すぐには口を開かなかった。


机の上には、資料。


戦力評価。


経済分析。


人口推移。


そして――


模擬戦の記録。


「……」


一人が、ようやく言った。


「……あれは何だ」


短い言葉。


だが、全員が同じ疑問を持っていた。


「……報告通りであれば」


別の者が答える。


「個人戦力としては、規格外です」


「規格外で済むのか?」


「……済みません」


沈黙。


「都市規模も異常だ」


「経済は既に中規模都市を超えています」


「戦力は?」


「……王都防衛戦力に匹敵、あるいはそれ以上」


「……」


空気が重くなる。


「……一つ確認する」


年配の男が言う。


「敵に回した場合」


「どうなる」


沈黙。


誰も、すぐに答えない。


そして。


「……敗北します」


静かな断言。


「……」


「勝率は?」


「……算出不能です」


「……」


「戦力差が大きすぎます」


「……」


机に指が打たれる。


「では」


「味方にした場合は?」


「……」


一拍。


「最強の後ろ盾になります」


「……」


「戦争抑止」


「経済安定」


「内政補助」


「すべてにおいて、有効です」


「……」


空気が揺れる。


「……依存になるな」


誰かが呟く。


「はい」


否定はなかった。


「だが」


別の声。


「それでも、選ぶしかない」


「……」


「敵にはできない」


「なら、味方にする」


「……単純な話だ」


「……」


沈黙。


そして。


「……問題は」


「制御できるか、だ」


その言葉で、空気がさらに重くなる。


「……不可能です」


即答だった。


「……」


「現状」


「干渉する手段が存在しません」


「……」


「強制力も、抑止力も、ない」


「……」


誰かが、小さく笑った。


「……では」


「祈るしかないな」


「敵にならないことを」


「……」


否定する者はいなかった。


一方――


「……」


使者の男が、窓の外を見る。


遠く。


あの場所。


「……」


小さく呟く。


「……理解不能だ」


だが。


その目は、わずかに変わっていた。


「……だが」


「可能性でもある」

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