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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第68話 判断

「……終了です」


観測員の声が、ようやく響いた。


だが。


誰も、すぐには動かなかった。


「……」


騎士団。


整列は崩れたまま。


言葉もない。


「……隊長」


誰かが小さく呼ぶ。


ディルクは、ゆっくりと剣を収めた。


「……完敗だ」


短い言葉。


だが、その重さは十分だった。


「……」


視線が、レインへ向く。


変わらない。


息も乱れていない。


ただ、そこに立っているだけ。


「……」


使者の男が、静かに歩み寄る。


「……確認は、終わりました」


その声は、先ほどとは違っていた。


「そうですか」


レインは変わらず答える。


「はい」


一拍。


「結論を申し上げます」


空気が張る。


「……」


男は、はっきりと言った。


「敵に回せない」


沈黙。


カレンが小さく笑う。


「でしょうね」


「はい」


男は頷く。


「戦力差が、あまりにも大きい」


「……」


「対抗という選択肢は、現実的ではありません」


「……」


リリアが静かに問う。


「では?」


「協力関係の維持を最優先とします」


「……」


「干渉は最小限」


「要求は控える」


「対等、あるいはそれ以上の立場として扱う」


カレンが目を細める。


「完全に変わったわね」


「はい」


「判断が早いわ」


「遅れれば、取り返しがつかなくなるためです」


「……」


ミアが小さく言う。


「すごいです!」


「そういう問題じゃないのよ」


ディルクが前に出る。


「……謝罪する」


「先ほどの発言」


「無礼だった」


「いえ」


レインは首を振る。


「気にしてないです」


「……」


ディルクは一瞬だけ止まり――


「……そうか」


それ以上は言わなかった。


その時。


使者の男が、深く頭を下げる。


「改めて」


「協力関係の継続を、お願い申し上げます」


完全に、下手だった。


「……」


カレンが小さく呟く。


「ここまで来るのね」


「はい」


リリアも頷く。


「これが現実です」


レインは、いつも通りだった。


「分かりました」


「よろしくお願いします」


「……」


その軽さに、全員が一瞬止まる。


だが。


それが、この男だった。

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