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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第58話 到達

「……ここ、か」


ガルドが立ち止まる。


目の前。


門。


人の列。


活気。


「……は?」


誰かが、声を漏らした。


「……なんだこれ」


「……街、だよな?」


「いや……」


「こんな場所、あったか?」


沈黙。


「……噂は聞いてた」


ガルドが言う。


「でもよ」


「……これは違うだろ」


その言葉は、弱かった。


「入るぞ」


門をくぐる。


「いらっしゃいませ!」


明るい声が飛ぶ。


「……」


「……普通に迎えられたな」


「……」


誰も答えない。


視線が、あちこちに向く。


道。


整っている。


人。


多い。


店。


並んでいる。


「……これ」


「完全に街だろ」


「……いや」


一人が小さく言う。


「“上”だ」


「……」


その言葉に、誰も否定できない。


歩く。


市場を抜ける。


「……なんだこの量」


「質も……おかしい」


「……高いのに売れてる」


「……」


さらに進む。


訓練場。


「……」


全員、止まる。


「……なあ」


「……あれ」


「住民だよな?」


「……」


誰も答えない。


「……強すぎるだろ」


「……俺たちより上じゃねぇか?」


「……」


空気が重くなる。


「……嘘だろ」


ガルドが、小さく呟く。


「こんな……」


その時。


「すみません」


声をかけられる。


振り向く。


「通りますので」


住民。


普通の服装。


だが。


「……」


一瞬で分かる。


「……強い」


圧。


何もしていないのに、分かる。


「……失礼しました」


通り過ぎる。


「……」


誰も、動かない。


「……なんだよ、これ」


「……」


さらに進む。


食事処。


「……」


一口。


「……」


誰も、言葉を出さない。


「……うまい」


それだけ。


だが、それがすべてだった。


「……」


ガルドが、ゆっくりと座る。


「……分かった」


誰も、何も言わない。


「……あいつだ」


レイン。


名前を出さなくても、分かる。


「……全部」


手を握る。


「……あいつがいたから、回ってた」


「……」


否定する声は、ない。


「……俺たちは」


言葉が、止まる。


「……」


「……何もしてなかったのか?」


その問いは、重かった。


「……」


答えは、出ない。


だが。


現実が、目の前にある。


「……」


ガルドが立ち上がる。


「……会う」


「……は?」


「会うしかねぇだろ」


「……今さら?」


「……それでもだ」


拳を握る。


「……確かめる」


「……」


誰も、止めなかった。

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