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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第54話 増える

「……多くない?」


カレンが立ち止まった。


視線の先。


列。


人の列。


門の外まで、ずっと続いている。


「多いですね」


リリアも静かに頷く。


「昨日の倍はいます」


「倍で済んでるのが逆に怖いわね」


ミアがぴょんと顔を出す。


「みんな来たいんですよ!」


「まあ、それは分かる」


「でも限度があるのよ」


門の前。


「移住希望です!」


「仕事を探してます!」


「住む場所はありますか!?」


声が飛び交う。


「……完全にラッシュね」


「はい」


「原因は明確です」


リリアが言う。


「安全」


「仕事」


「食事」


「……全部揃ってるのよね」


「はい」


「そりゃ来るわ」


その時。


「レインさん」


リリアが振り返る。


「どうしますか?」


「どう、とは?」


「受け入れです」


「……」


カレンが腕を組む。


「無制限は無理よ」


「回らなくなる」


「崩れるわね」


「はい」


リリアも同意する。


「管理が必要です」


少し考えて。


「じゃあ」


レインが言う。


「整えましょうか」


「……またそれ?」


「はい」


「嫌な予感しかしないわね」


――数時間後。


「……何これ」


門の前。


整列。


受付。


区分。


完全に“機能”している。


「移住希望の方はこちらへ!」


「技能のある方は別列です!」


「住居案内はこちら!」


流れができている。


「……早すぎるのよ」


カレンが呟く。


「仕組みができています」


リリアが分析する。


「人を分類し、適切に配置している」


「……誰が?」


沈黙。


「……」


レインを見る。


「……何かしました?」


「少し整理しただけです」


「だからその“少し”やめなさいって言ってるでしょ」


ミアが笑う。


「すごいです!」


「まあ、すごいけど」


列が、流れる。


人が、入る。


定着していく。


「……これ」


カレンが小さく言う。


「止まらないわね」


「はい」


リリアも頷く。


「流入が継続しています」


「……人口、どれくらいになったの?」


「すでに“村”の基準は超えています」


「でしょうね」


「小規模な街は、完全に上回っています」


「……」


カレンは少しだけ周囲を見る。


人がいる。


働いている。


笑っている。


「……認めるしかないわね」


ゆっくりと言う。


「ここ」


一拍。


「“街”よ」


ミアが嬉しそうに笑う。


「やったー!」


レインは、いつも通りだった。


「そうですね」


「軽いのよ」


カレンはため息をついた。

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