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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第53話 評価

「……ここが、例の場所か」


低い声が落ちた。


門の前。


立っているのは、装いの違う一団。


「はい」


側近が答える。


「報告の通りであれば――」


「報告の時点で、おかしい」


男は遮る。


「だから来た」


視線が門に向く。


「……入るぞ」


中へ。


「いらっしゃいませ!」


ミアの声。


「……」


男は一瞬だけ止まり――


そのまま歩く。


「ご案内いたします」


リリアが静かに対応する。


「頼む」


歩き出す。


「……」


しばらく無言。


「……整いすぎている」


男が呟く。


「はい」


「計画性がある」


「無駄がない」


「短期間で構築されたとは思えん」


「事実です」


「……」


次。


市場。


「……」


再び、無言。


「量、質、速度……」


「すべてが成立している」


「……単独の街ではない」


「はい」


「“経済圏”だな」


「その認識で問題ありません」


「……」


さらに進む。


訓練場。


「……止まれ」


足が止まる。


「……あれは、何だ」


「住民です」


「……」


「……あれが?」


「はい」


無言。


長い沈黙。


「……戦力として見た場合」


男がゆっくり言う。


「中規模の騎士団に匹敵する」


「……」


「しかも、統制が取れていない」


「はい」


「それでこの精度か」


「はい」


「……」


次。


食事。


「……」


一口。


「……」


無言。


「……これを、日常的に?」


「はい」


「……」


視線が、ゆっくりと動く。


人。


物。


流れ。


すべてが噛み合っている。


「……」


そして、ようやく言う。


「……異常だ」


その一言は、重かった。


「ありがとうございます」


リリアが静かに返す。


「褒めてはいない」


「承知しております」


「……」


男は、少しだけ考える。


「誰が作った」


「こちらの方です」


視線が集まる。


レイン。


「……お前か」


「はい」


「……」


しばらく、見つめる。


「……理解できん」


「そうですか?」


「できると思うか?」


「いえ」


即答だった。


「……」


少しだけ、空気が緩む。


「……正直に言う」


男は続ける。


「これは、“放置していい規模”ではない」


カレンが小さく笑う。


「でしょうね」


「だが」


視線が再びレインに向く。


「敵対する気も起きん」


「……」


「勝てる絵が見えない」


沈黙。


「……つまり?」


カレンが聞く。


「結論だ」


短く言う。


「関わり方を、考えるべき存在だ」


レインは、いつも通りだった。


「そうですか」


「……それで済ませるのか」


「はい」


「……」


男は、最後に一言だけ残した。


「……本当に、異常だ」

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