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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第52話 不可侵

「……来ないわね」


カレンが空を見上げた。


「何がですか?」


ミアが首を傾げる。


「魔物よ」


「……ああ」


リリアも頷く。


「確かに、ここ数日確認されていません」


「“ここ数日”じゃないわよ」


カレンが腕を組む。


「“来てない”のよ」


沈黙。


「……普通は」


カレンが続ける。


「人が増えれば、寄ってくるのよ」


「音も出る」


「匂いも出る」


「魔力も動く」


「なのに?」


「ゼロ」


「……」


ミアがきょとんとする。


「いいことじゃないですか?」


「いいことなんだけどね」


「良すぎるのよ」


リリアが静かに周囲を見る。


「痕跡もありません」


「近づいた形跡すらない」


「……避けてる?」


「可能性はあります」


「……魔物が?」


「はい」


「……」


カレンが額を押さえる。


「何したのよ」


視線が、ゆっくりと動く。


「……何かしました?」


カレンが聞く。


「いえ、特には」


レインはいつも通り答える。


「……絶対何かしてるでしょ」


「少し整えただけです」


「その“整える”で世界変わってるのよ」


その時。


「報告です!」


見張りの男が走ってくる。


「どうしました?」


リリアが対応する。


「外縁部を確認しましたが……」


「魔物、いません」


「……やっぱりね」


「痕跡も?」


「ありません」


「……完全にか」


「はい」


沈黙。


「……逆に怖いわね」


カレンが呟く。


「自然じゃない」


「ですが、安全です」


リリアが言う。


「それは間違いありません」


「……そうね」


ミアが笑う。


「安心です!」


「まあ、それはそう」


その頃――


拠点の外、少し離れた森。


魔物の群れ。


だが。


「……」


進まない。


一歩、踏み出そうとして――止まる。


「……」


空気が重い。


見えない何か。


本能が拒絶する。


「……」


やがて。


群れは、ゆっくりと向きを変えた。


遠ざかる。


――視点、戻る。


「……結論」


カレンが言う。


「ここ」


少しだけ間を置く。


「“襲われない場所”になってるわ」


「ええ」


リリアも頷く。


「完全に」


レインは、いつも通りだった。


「よかったです」


「よくないのよ」


カレンはため息をついた。

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