第47話 教える
「せんせー!」
元気な声が響く。
「はーい!」
ミアがぱっと手を挙げる。
拠点の一角。
少し開けた場所に、子供たちが集まっていた。
「今日は何やるのー?」
「今日はですね!」
ミアは胸を張る。
「魔法です!」
「おおー!」
一斉に歓声が上がる。
少し離れた場所で、それを見ているのは――
カレンとリリア。
「……魔法、教えるのね」
カレンが呟く。
「ええ」
リリアが頷く。
「基礎からですが、問題はないかと」
「問題しかない気もするけどね」
「ミアですし」
「……それで納得するのもどうかと思うわ」
一方。
「まずはですね!」
ミアが手を広げる。
「“イメージ”です!」
「イメージ?」
「はい!」
「火を出したいなら、“火”を想像します!」
「……それだけ?」
「それだけです!」
「……」
子供たちが顔を見合わせる。
「やってみましょう!」
「うん!」
小さな手が前に出る。
「火……火……」
ぽっ。
「出た!」
「え!?」
小さな火が、確かに灯る。
「……は?」
カレンが固まる。
「早すぎない?」
「……通常ではありえませんね」
リリアも目を細める。
「……ミア」
カレンが呼ぶ。
「はい!」
「それ、普通なの?」
「普通ですよ?」
「……」
(普通じゃないわよ)
「次はですね!」
ミアは気にせず進める。
「大きくするイメージです!」
「こう?」
ぽっ、と出た火が――
少しだけ大きくなる。
「できたー!」
「すごい!」
笑い声が広がる。
「……」
カレンは無言でレインを見る。
「……あんたよね」
「何がですか?」
「環境」
「……ああ」
レインは軽く頷く。
「やりやすくはなってると思います」
「やりやすいってレベルじゃないでしょ」
「そうですか?」
「そうなのよ」
リリアが補足する。
「魔力の流れが安定しています」
「抵抗が少ない」
「つまり」
「成功しやすい環境です」
「……そんなこと、できるの?」
「少し整えただけです」
「その“少し”やめなさい」
視線を戻す。
子供たち。
笑いながら、魔法を出している。
「できた!」
「見て見て!」
「すごいです!」
ミアも一緒に喜ぶ。
「みんな上手です!」
「……」
カレンが小さく呟く。
「戦えるだけじゃないのね」
「ええ」
リリアが頷く。
「育つ環境です」
「……」
「いいじゃない」
その言葉は、素直だった。
一人の子供が、レインの方に駆け寄る。
「ねえ!」
「はい?」
「もっとすごいの、できるようになる?」
「なれますよ」
「ほんと!?」
「はい」
「いっぱい練習すれば」
「やったー!」
走って戻っていく。
「……夢もあるのね」
カレンが言う。
「そうですね」
ミアの声が響く。
「次は風ですー!」
「おおー!」
笑顔が広がる。




