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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第45話 外からの視線

「……最近、妙な話を聞くな」


男が酒を置いた。


場所は、近隣の街の一つ。


いつもと変わらぬ喧騒――のはずだった。


「妙な話?」


向かいの男が聞き返す。


「ああ」


一口飲んで、続ける。


「外れの廃村が、動いてるらしい」


「……は?」


「しかも、ただじゃねぇ」


「どういうことだよ」


「物が出る」


「は?」


「しかも、質が異常だ」


沈黙。


「……そんな話、信じるのか?」


「最初はな」


男は肩をすくめる。


「でもよ」


「実際に“流れてきてる”」


懐から、小さな短剣を取り出す。


「これ、そこの流れだ」


「……」


受け取る。


「……軽いな」


振る。


「……っ」


空気が切れる。


「なんだこれ……」


「な?」


「……どこの工房だ」


「分からん」


「ただ一つ分かってる」


男は少し声を落とす。


「“普通じゃない”」


――別の場所。


「報告です」


商人が頭を下げる。


「最近、特定のルートで高品質素材が流れています」


「出所は?」


「不明です」


「……不明?」


「ですが、すべて同じ方向です」


地図が広げられる。


一点。


「この辺りか」


「はい」


「……何がある」


「記録上は、廃村です」


「……廃村が?」


沈黙。


「……ありえんな」


「ですが、現実に流れています」


「……」


机を指で叩く。


「調べろ」


「どんな手を使ってもいい」


「は」


――さらに別の場所。


「最近、依頼のバランスが崩れている」


ギルドの男が言う。


「どういうことだ」


「簡単な依頼が、減っている」


「……減る?」


「正確には、“消えている”」


「誰かが片付けてるってことか」


「その通りだ」


「……どこのパーティだ」


「不明」


「ただ」


少しだけ間を置く。


「すべて、同じ方向だ」


――視点、戻る。


拠点。


「……静かですね」


リリアが言う。


「いいことじゃない?」


ミアが笑う。


「まあね」


カレンも頷く。


「でも」


少しだけ、空を見上げる。


「そろそろ来るわよ」


「何がですか?」


「外」


短い言葉。


「……気づかれる」


レインは、いつも通りだった。


「そうですね」


「そのうち来ると思います」


「……他人事ね」


「困りますか?」


「……」


少し考えて。


「……別に」


カレンは肩をすくめる。


「来たら来たで、対応するだけよ」


「ですね」


変わらない。


中は、変わらない。


だが――


外は、もう気づき始めている。

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