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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第38話 流入

「……なんか、人増えてません?」


ミアが小さく言った。


朝。


拠点の入口付近。


見慣れない顔が、いくつかある。


「ええ」


リリアが静かに頷く。


「昨日から、少しずつですが」


「少しってレベルか?」


カレンが周囲を見渡す。


すでに数人どころではない。


十人近い人影が、あちこちで様子を見ている。


「……早いですね」


リリアが呟く。


「噂って、そんなすぐ広まるものなんですか?」


ミアが不思議そうに聞く。


「広まるわよ」


カレンが即答する。


「特に、“得する話”はね」


「得する話?」


「食べ物があって、安全で、しかも仕事があるかもしれない」


指折り数える。


「そんな場所、放っておかないでしょ」


「……なるほどです」


ミアが納得する。


その時。


「すまねぇ」


一人の男が近づいてきた。


少し荒れた装備。


だが、目はしっかりしている。


「ここ、最近噂になってる場所で合ってるか?」


「はい」


リリアが対応する。


「どういったご用件でしょうか」


「……仕事、あるか?」


単刀直入だった。


「戦える」


男は続ける。


「元々、冒険者やってた」


「……なるほど」


リリアが少しだけ考える。


「今は?」


「パーティ解散してな」


男は苦く笑う。


「街でくすぶってた」


「で、ここがいいって話を聞いて来た」


「……」


カレンが横で腕を組む。


(来ると思ったわよ、こういうの)


「食いっぱぐれはごめんだ」


男ははっきり言う。


「……正直ですね」


リリアが小さく言う。


「嘘ついても意味ねぇだろ」


その通りだった。


「現状、仕事はあります」


リリアが答える。


「防衛、整備、資材管理」


「やることはいくらでも」


「……マジか」


男の目が少し変わる。


「ただし」


リリアは続ける。


「ここはまだ“正式な街”ではありません」


「ルールも整備中です」


「それでもいいなら」


「構わねぇ」


即答だった。


「むしろ、その方がいい」


「理由を聞いても?」


「縛られすぎるのは、もういい」


短い言葉。


だが、重みがある。


「……分かりました」


リリアは頷く。


「仮加入という形で受け入れます」


「助かる」


男は深く息を吐いた。


そのやり取りを見ていた周囲が、ざわつく。


「……受け入れてくれるのか?」


別の男が近づく。


「俺も仕事探してるんだが」


「……俺も」


「……」


カレンが眉をひそめる。


「一気に来たわね」


「ですね」


リリアも同意する。


「どうします?」


「受け入れます」


レインがあっさり言った。


「……軽いわね」


「人が増えるのはいいことだと思います」


その一言で、流れが決まる。


「分かりました」


リリアがまとめる。


「順番に話を聞きます」


「適性を見て役割を振ります」


「了解です!」


ミアが元気に動き出す。


「こっちで待ってください!」


人が並ぶ。


さっきまで、何もなかった場所に。


「……本当に来るのね」


カレンが小さく呟く。


「来ますよ」


レインが答える。


「いい場所なので」


「……」


カレンは少しだけ笑った。


「そういう問題じゃないんだけどね」


それでも。


止まらない。


人が来る。


流れができる。


「……始まったな」


誰かが小さく言った。

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