表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/102

第37話 味

「……これ、全部使えるんですよね?」


ミアが、山のように積まれた食材を見て言った。


昨日収穫したばかりのもの。


新鮮で、量も多い。


「はい」


リリアが頷く。


「状態も非常に良いです」


「むしろ、質が高すぎるくらいですね」


「すごいです!」


ミアの目が輝く。


「じゃあ、料理しましょう!」


「そうですね」


リリアも静かに同意する。


「せっかくですし、環境も整っています」


「……料理ねぇ」


カレンが腕を組む。


「まあ、食事は大事だけど」


「任せてください!」


ミアが元気よく言う。


「私も手伝います」


リリアが続く。


「……二人ともやる気ね」


カレンは少しだけ肩をすくめた。


――拠点の一角。


簡易的な調理スペース。


だが、火も水も問題ない。


「まずは下処理からですね」


リリアが手際よく野菜を切る。


無駄のない動き。


「わあ……」


ミアが見入る。


「すごく綺麗です」


「基本です」


リリアは淡々と答える。


「じゃあ、私はこっちやります!」


ミアも負けじと動き出す。


少しぎこちないが、丁寧だ。


「そのままで大丈夫です」


リリアが軽くフォローする。


「はい!」


そのやり取りを、少し離れた場所から見ているのは――


カレンとレイン。


「……普通ね」


カレンがぽつりと言う。


「そうですね」


レインも頷く。


「いや、あんたの“普通”は信用ならないのよ」


しばらくして。


「できました!」


ミアが元気に声を上げる。


テーブルに並べられた料理。


シンプルだが、見た目は良い。


「……見た目は悪くないわね」


カレンが言う。


「味も大丈夫だと思います」


リリアが静かに言う。


「じゃあ、いただきます!」


ミアが先に手を伸ばす。


一口。


「……!」


動きが止まる。


「どうですか?」


リリアが聞く。


「……おいしいです!」


ぱっと顔が明るくなる。


「本当?」


カレンも一口食べる。


「……」


「……何これ」


驚きが、そのまま声に出る。


「普通の野菜よね?」


「はい」


リリアが答える。


「でも、味が濃い……」


「いや、違うわね」


「ちゃんと“美味しい”って分かる味になってる」


「……?」


ミアが首を傾げる。


「今までって」


カレンが言葉を選ぶ。


「“食べられる”だけだったのよ」


その言葉に、少しだけ静けさが落ちる。


「……あ」


ミアが小さく声を漏らす。


思い出す。


今までの食事。


味は、あった。


でも――


「確かに……」


「これは、ちゃんと“美味しい”です」


リリアが静かに言う。


「素材の質もありますが」


「調理で引き出せています」


「……そんな変わるものなのね」


カレンがもう一口食べる。


「変わりますよ!」


ミアが笑う。


「だって、楽しいですもん!」


「楽しい?」


「はい!」


ミアは頷く。


「作るのも、食べるのも!」


その言葉は、単純で。


でも――


どこか、大事なものだった。


「……悪くないわね」


カレンが小さく言う。


「こういうの」


その頃。


外で様子を見ていた村人たち。


「……何してるんだ?」


漂ってくる匂い。


「いい匂い……」


一人が、思わず近づく。


「……あの」


恐る恐る声をかける。


「よかったら、食べますか?」


ミアがにこっと笑う。


「……いいのか?」


「はい!」


差し出された皿。


一口。


「……」


動きが止まる。


「……なんだ、これ」


「うまい……」


ぽつりと、こぼれる。


「……こんなの、初めて食べた」


その言葉に、周囲の人も集まる。


「本当か?」


「ちょっとくれ」


広がる。


「うまい……」


「なんだこれ……」


ざわめきが、少しずつ変わる。


「……ここ、いいかもしれないな」


誰かが、そう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ