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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第34話 仮拠点

「……とりあえず、この辺りでいいかしら」


カレンが腕を組みながら言った。


村の中央付近。


比較的状態のいい建物が集まっている場所だ。


「動線的にも問題ありませんね」


リリアが周囲を確認する。


井戸、畑、住居。


どれも徒歩圏内に収まっている。


「じゃあ、ここが拠点ですね!」


ミアがぱっと笑う。


すでにその気だ。


「“仮”拠点よ」


カレンが釘を刺す。


「問題が出たらすぐ撤退」


「はい!」


元気な返事。


「では、最低限の整備から始めましょう」


リリアが手を叩くように言う。


「寝床、収納、作業スペースの確保が優先です」


「了解です」


レインが軽く頷く。


――作業は、すぐに始まった。


まずは住居。


屋根の崩れた部分が、音もなく元に戻る。


壁のひびも、いつの間にか消えている。


「……ねえ」


カレンが小さく言う。


「それ、修理っていうより再生よね?」


「似たようなものです」


レインは気にしない。


床も整えられ、

扉もきちんと閉まるようになる。


「これで寝られますね」


リリアが中を確認する。


「ふかふかです!」


ミアがベッドに飛び込む。


「え、これ元々こんなでした!?」


「違うと思います」


リリアが即答する。


「……でしょうね」


カレンも納得するしかない。


次は収納。


空き家の一部を整理して、倉庫として使う。


「素材はここにまとめましょう」


リリアが指示を出す。


「分類しておけば後で管理しやすいです」


「はい」


レインが軽く手をかざす。


「……ちょっと待って」


カレンが止める。


「今、何する気?」


「整理です」


次の瞬間。


散らばっていた資材が、自然に動く。


種類ごとに分かれ、整然と積まれていく。


「……もういいわ」


カレンは目を逸らした。


「すごいです!」


ミアが拍手する。


「これで大体整いましたね」


リリアが周囲を見渡す。


井戸は使える。

畑も準備済み。

住居も問題なし。

収納も確保。


「……早すぎない?」


カレンがぽつりと呟く。


「そうですか?」


レインは首を傾げる。


「最低限なので、こんなものかと」


「基準がおかしいのよ」


「でも、これなら」


ミアが立ち上がる。


「とりあえず使えますね!」


その言葉に、少しだけ間が空く。


「……ええ」


リリアが頷く。


「“仮拠点”としては、十分すぎます」


「……認めるしかないわね」


カレンも小さく息を吐く。


「普通に使える」


「よかったです」


レインは軽く笑った。


外は、すでに夕暮れ。


「今日はここで休みましょうか」


リリアが提案する。


「実際に使ってみるのも大事です」


「賛成です!」


ミアが元気に手を挙げる。


「……まあ、いいわ」


カレンも頷く。


その夜。


「……静かですね」


リリアがぽつりと呟く。


街とは違う静けさ。


だが、不安はない。


「なんか落ち着きます」


ミアが布団にくるまりながら言う。


「……そうね」


カレンも小さく同意する。


外には魔物の気配もない。


風の音だけが、ゆっくり流れている。


「……悪くないかも」


誰かが、そう呟いた。

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