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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第33話 提案

「……本当に、住めますね」


リリアが静かに言った。


整えられた村を見渡す。


井戸は機能し、

畑は息を吹き返し、

家も最低限使える状態になっている。


たった一日で。


「すごいです……」


ミアがくるくると回る。


楽しそうに、嬉しそうに。


「なんか、秘密基地みたいです!」


「秘密基地って……」


カレンが呆れたように呟く。


「ここ、一応村だった場所なんだけど」


「でも、いい感じですよ?」


ミアは気にしていない。


むしろ、目を輝かせている。


「静かだし、広いし、危なくないし!」


「……危なくないのは誰のせいだと思ってるのよ」


カレンが横目でレインを見る。


「さっき少し調整したので、しばらくは大丈夫だと思います」


レインは普通に答える。


「“少し”でそれなのが問題なのよ」


「でも!」


ミアが一歩前に出る。


「ここ、住みたいです!」


その言葉で、空気が止まった。


「……は?」


カレンが聞き返す。


「住みたい?」


「はい!」


ミアは即答する。


「だって、いい場所ですし!」


「みんなで住んだら楽しそうです!」


「いやいやいや」


カレンが手を振る。


「簡単に言ってるけどね?」


「ここ街から離れてるのよ?」


「物資の補給とか、移動とか、色々不便でしょ」


「それは……」


ミアが少しだけ詰まる。


「確かに、その通りです」


リリアが静かに口を開く。


「現実的な問題はいくつかあります」


指を折りながら、整理する。


「まず、補給線」


「次に、防衛の継続性」


「そして、人手不足」


「そう、それよ」


カレンが頷く。


「今はいいけど、長く維持できるかは別問題」


「ですが」


リリアは少しだけ視線を動かす。


レインの方へ。


「解決不能ではありません」


「……」


カレンが黙る。


「補給は、定期的な往復で対応可能です」


「防衛に関しても――」


少しだけ間を置く。


「現状を見る限り、大きな問題はありません」


「それ、完全にあいつ前提でしょ」


カレンが即座に指摘する。


「はい」


リリアはあっさり認めた。


「……はぁ」


カレンがため息をつく。


「でも!」


ミアがもう一度言う。


「ここ、絶対いいと思うんです!」


その目は、真剣だった。


ただの思いつきじゃない。


「……なんでそんなに気に入ったの?」


カレンが少しだけトーンを落として聞く。


ミアは少し考えて――


「なんか、“安心する”んです」


ぽつりと、そう言った。


「怖くないし」


「落ち着くし」


「……あったかい感じがします」


「……」


リリアがわずかに目を細める。


(環境が整いすぎている)


そう感じていた。


自然ではないレベルで。


「……レインさん」


リリアが呼ぶ。


「はい?」


「この状態、維持できますか?」


「できますよ」


即答だった。


「……期間は?」


「特に制限はないと思います」


「……」


カレンが天を仰ぐ。


「もうそれ、反則でしょ……」


「じゃあ!」


ミアが一歩踏み出す。


「問題ないですよね!?」


「……」


カレンはしばらく黙っていた。


周囲を見る。


整った環境。


安全な空気。


そして――


楽しそうなミア。


「……試しに、ね」


小さく言う。


「いきなり本格的に住むんじゃなくて」


「拠点として使うくらいなら……ありかも」


「本当ですか!?」


ミアがぱっと顔を明るくする。


「ただし」


カレンが指を立てる。


「問題出たらすぐ撤退よ」


「はい!」


元気な返事。


「私も賛成です」


リリアが頷く。


「運用しながら判断しましょう」


「じゃあ、決まりですね」


レインが軽く言う。


「とりあえず、使いやすいように少し整えますね」


「……まだやるの?」


カレンが呟く。


「はい」


いつも通りの返答。


ミアが笑う。


リリアが小さく息をつく。


カレンが諦めたように肩を落とす。


そして。


誰もいなかった村に――


“人が戻る準備”が始まった。

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