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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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30/102

第30話 差

――森の奥。


「こっち、三体来てます!」


ミアの声が弾む。


以前なら焦っていた状況。


だが今は違う。


「任せてください」


リリアが即座に反応する。


支援魔法が展開される。


動きが滑らかに繋がる。


「前は任せなさい」


カレンが一歩踏み出す。


剣が走る。


一体、斬る。


流れるような動き。


無駄がない。


「残り、どうします?」


レインが軽く聞く。


「一体もらいます!」


ミアが手を挙げる。


「いいですよ」


即答。


「いきます!」


火球が放たれる。


安定している。


狙いも正確。


魔物に命中。


「やった!」


「最後、お願いします」


リリアが視線を向ける。


「はい」


レインが軽く手を動かす。


――それだけで、終わる。


最後の一体が、音もなく消える。


「……相変わらずですね」


カレンが呟く。


「まあ、このくらいなら」


レインは普通に答える。


「すごいです!」


ミアがぱっと笑う。


「今の連携、完璧でした!」


「いい流れでしたね」


リリアも頷く。


空気は軽い。


無理がない。


自然に回る。


「次、どうします?」


レインが聞く。


「このまま進みましょう」


カレンが即答する。


「問題ないわ」


笑い声が混じる。


会話が続く。


足取りも軽い。


――その頃。


「……くそっ!」


ガルドの怒声が響く。


剣を振るう。


だが、手応えが悪い。


「遅い!」


仲間の声が飛ぶ。


「そっちカバーしろ!」


「無理だって言ってるだろ!」


返ってくるのは苛立ち。


魔物は一体。


たった一体。


それなのに――


「なんで倒せねぇんだよ!」


ガルドが叫ぶ。


攻撃が空を切る。


タイミングが合わない。


「回復!」


「もうない!」


「はあ!?」


連携は崩壊している。


誰も、誰も見ていない。


自分のことで精一杯。


「くそっ……!」


無理やり押し切る。


時間をかけて、ようやく倒す。


「……はぁ……はぁ……」


息が荒い。


たった一体で、この消耗。


「……ありえねぇだろ」


誰かが呟く。


沈黙。


誰も反論しない。


「……前は」


ぽつりと声が落ちる。


「こんなの、一瞬だった」


「……」


ガルドは何も言わない。


言えない。


「……なあ」


別の声。


「俺たち、弱くなったのか?」


その問いは、重かった。


「……違う」


ガルドが絞り出す。


「俺たちは……」


言葉が続かない。


違うと否定したい。


だが、現実がある。


「……」


誰も助けない。


誰も補わない。


ただ、崩れている。


「……戻るぞ」


ガルドが言う。


「今日はもう無理だ」


誰も反対しない。


重い足取りで引き返す。


成果はない。


得るものもない。


――一方。


「これで依頼完了ですね」


リリアが確認する。


「早かったですね」


レインが言う。


「まだ余裕ありますし、もう一つ行きます?」


「いいですね!」


ミアが元気よく答える。


「もっとやりたいです!」


「……元気ね」


カレンが小さく笑う。


だが、その表情は柔らかい。


「じゃあ、次行きましょうか」


レインが歩き出す。


その背中を、三人が自然に追う。


迷いなく。


違和感なく。


――そして。


夕暮れ。


ギルド前。


片方は、笑いながら帰ってくる。


「お疲れ様です」


「いい感じでしたね」


「次はもっと上行けそうです!」


明るい声。


自然な会話。


もう片方は、無言で戻る。


目を合わせない。


言葉もない。


すれ違う。


一瞬だけ、視線が交わる。


「……」


ガルドの足が止まる。


レインは、気づかない。


そのまま通り過ぎる。


「……」


何も言えない。


何もできない。


ただ、理解する。


「……違いすぎるだろ」


小さく、呟く。

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