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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第26話 崩れ

「……撤退だ!」


ガルドの怒声が、森の中に響いた。


「くそっ、引け! 一旦下がる!」


パーティは散り散りになりながら後退する。


本来なら、問題ないはずの依頼だった。


中級の討伐。


何度もこなしてきた内容。


それなのに――


「なんでだよ……!」


ガルドは歯を食いしばる。


息が荒い。


体力も、余裕がない。


(こんなにキツかったか……?)


違和感が消えない。


「回復は!?」


後ろを振り返る。


「もう無理です!」


回復役の声が飛ぶ。


「魔力が足りません!」


「はあ!?」


ガルドの顔が歪む。


「まだ序盤だぞ!?」


「だから言ったじゃないですか!」


別のメンバーが叫ぶ。


「ペース配分おかしいって!」


「うるせぇ!」


思わず怒鳴り返す。


だが、その声にも余裕はない。


魔物が追ってくる。


数は多くない。


それでも――


「ちっ……!」


ガルドが剣を振るう。


一体、倒す。


だが、その隙にもう一体が迫る。


「くそっ……!」


対応が遅れる。


連携が、噛み合わない。


「危ない!」


横から声。


だが、間に合わない。


「――っ!」


衝撃。


ガルドが吹き飛ばされる。


地面を転がる。


「ガルド!」


仲間の声が遠くなる。


「……くそ……」


立ち上がる。


だが、足が重い。


(こんな……こんなはずじゃ……)


頭の中で、何度も繰り返す。


以前なら。


こんな敵。


こんな状況。


問題にもならなかった。


もっと余裕があった。


もっと――


(……いや)


そこで、思考が止まる。


「あいつがいたから……?」


ぽつりと漏れる。


誰に向けたわけでもない言葉。


だが。


「……っ」


仲間の一人が顔をしかめる。


「今さら何言ってるんですか」


声は低い。


「……は?」


ガルドが睨む。


「だって、そうでしょう」


そのまま続ける。


「レインがいた頃は、こんなことなかった」


空気が、一瞬で冷える。


「……関係ねぇだろ」


ガルドが吐き捨てる。


「関係ありますよ」


即答だった。


「回復も、支援も、妙に余裕あったし」


「敵の動きも、なんか噛み合ってた」


「今は全部ズレてる」


淡々とした指摘。


だからこそ、重い。


「……偶然だ」


ガルドが言い返す。


「たまたまだ」


「そうですか?」


疑いの目。


「じゃあ、なんで三回連続で失敗してるんですか?」


言葉が詰まる。


沈黙。


誰も何も言わない。


言えない。


「……とにかく戻るぞ」


ガルドが無理やり話を切る。


「立て直す」


「……はい」


返事はある。


だが、力はない。


ギルドに戻ると、空気が違った。


「……また失敗か」


「最近多くね?」


ひそひそとした声。


確実に、聞こえている。


「報告を」


受付で言われる。


ガルドは無言で書類を出す。


「……確認しました」


淡々と処理される。


その態度が、余計に刺さる。


「評価が下がります」


はっきりと言われた。


「連続失敗のため、依頼の制限がかかります」


「……は?」


顔を上げる。


「今後しばらくは、低難度のみとなります」


「待てよ」


思わず声が強くなる。


「こっちは中級パーティだぞ」


「現状の実績では、判断できません」


冷静な返答。


逃げ場がない。


「……」


ガルドは何も言えなくなる。


周囲の視線が痛い。


「……くそっ」


小さく吐き捨てる。


拳を握る。


(なんでだ……)


(どうしてこうなった……)


視界の端で、別のパーティが目に入る。


笑いながら、依頼の話をしている。


その中心に――


見覚えのある姿。


「……」


ガルドは視線を逸らした。

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