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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第24話 価値

「……これは、想像以上ですね」


マルクが静かに呟いた。


目の前に並ぶのは、レインたちが持ち込んだ素材。


それらが――


すでに“別のもの”になっている。


「同じ素材、ですよね?」


ミアが不思議そうに首を傾げる。


「ええ。元は同じです」


マルクは頷く。


「ですが、“扱い方”が違うだけでここまで変わる」


その手にあるのは、加工された部品。


光沢が違う。

密度が違う。

明らかに価値が上がっている。


「これ、いくらになるんですか?」


ミアが目を輝かせる。


「ざっくり言えば……三倍ほどですね」


「さんばい!?」


声が裏返る。


「そんなに!?」


「ええ」


マルクは淡々と答える。


「むしろ、まだ控えめです」


「控えめ……?」


カレンが眉をひそめる。


「ええ。市場に一気に流せば値崩れを起こしますから」


「だから段階的に出す必要がある」


その説明は、実に現実的だった。


「なるほど」


リリアが頷く。


「量とタイミングで価値を調整しているんですね」


「さすがですね」


マルクが少しだけ感心したように言う。


「その通りです」


「でも」


カレンが腕を組む。


「そこまでして利益出す必要ある?」


「あります」


即答だった。


「なぜなら」


一瞬、間を置いて。


「これは“継続する”からです」


と、言い切る。


「継続……?」


レインが首を傾げる。


「ええ」


マルクは静かに頷く。


「一度きりなら、ただの幸運です」


「ですが、あなた方は違う」


視線が、レインに向く。


「安定して、この品質を出せる」


「なら、それは“資源”です」


「……資源、ですか」


リリアが小さく繰り返す。


「はい」


マルクは微笑む。


「そして資源は、管理されることで価値を持つ」


「市場にとっても、非常に重要です」


「つまり」


カレンがまとめる。


「私たちの動きが、そのまま市場に影響するってこと?」


「その通りです」


マルクは迷いなく頷いた。


その言葉に、少しだけ沈黙が生まれる。


戦うだけではない。


稼ぐだけでもない。


“影響する”。


「……なんか、すごいですね」


ミアがぽつりと呟く。


「そんなことになってるんだ……」


まだ実感が薄い。


だが、確実に何かが変わっている。


「実際、すでに変化が出ています」


マルクが続ける。


「一部の素材の価格が、わずかに動き始めました」


「え?」


リリアが反応する。


「もうですか?」


「ええ」


「供給が安定すると見られた時点で、商人は動きます」


「……早いですね」


「それが仕事ですので」


「……」


カレンは黙ってその話を聞いていた。


(規模が違う)


戦場だけの話じゃない。


もっと広い。


「……面倒になりそうね」


正直な感想だった。


「ですが、ご安心を」


マルクが軽く手を上げる。


「面倒な部分は、すべてこちらで引き受けます」


「あなた方は、これまで通り活動していただければいい」


その言葉は、かなり魅力的だった。


「じゃあ、特に変わらないんですね」


レインが言う。


「はい」


マルクは頷く。


「ただし」


少しだけ、声のトーンが変わる。


「あなた方の“評価”は、確実に変わります」


「評価?」


ミアが首を傾げる。


「ええ」


マルクは静かに言った。


「冒険者としてだけでなく」


「“供給者”として」


「“影響力を持つ存在”として」


「……」


リリアがわずかに目を細める。


(完全に、次の段階に入った)


そう理解する。


「まあ、難しいことはよく分かりませんけど」


レインはいつも通りだった。


「役に立ってるならいいと思います」


その一言で、空気が少しだけ緩む。


「……あなたらしいですね」


マルクが小さく笑う。


だが、その目は鋭いままだった。


(やはり、この人は――)


「すごいです!」


ミアがまた元気に言う。


「戦うだけじゃなくて、お金も増えて、みんな助かるってことですよね!?」


「まあ、そうね」


カレンが頷く。


「悪くないわ」


「じゃあ、これからもお願いしますね」


レインが普通に言う。


「ええ」


マルクは深く頷いた。


「必ずや、期待以上の結果をお見せします」

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