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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第139話 未定義

「いい感じですね」


レインの、いつも通りの一言。


だが。


その“いい感じ”は。


世界そのものを、書き換えていた。


「……」


歪みが、消えていく。


崩壊が、止まる。


すべてが。


“正しい状態”へ戻る。


「……」


そして。


残るのは。


ただ一つ。


「……」


“魔王”。


歪みの核。


世界のバグ。


「……」


だが。


その存在は、もう。


揺れていない。


暴れてもいない。


ただ。


「……」


“そこにある”。


「……」


ミアが、息を呑む。


「……終わり……ですか……?」


「……」


リリアが、静かに首を振る。


「いいえ」


「……?」


「まだ」


一拍。


「“原因”が残っています」


「……」


カレンが、低く言う。


「つまり?」


「……」


リリアは、“魔王”を見る。


そして。


はっきりと言う。


「これを消さなければ」


「再び歪みは生まれます」


「……」


沈黙。


「……」


アルヴェルトが、呟く。


「……だが……どうやって……」


「……」


攻撃は通らない。


破壊できない。


存在が曖昧。


「……」


だが。


今は違う。


「……」


レインは、触れている。


定義に。


構造に。


「……」


そして。


ぽつりと。


「これ」


「……?」


「いらないですね」


「軽いのよ!!」


だが。


その言葉には。


迷いがなかった。


「……」


“魔王”が、揺れる。


わずかに。


だが。


確実に。


「……」


『――存在維持』


『――存在理由確認』


『――維持条件検索』


「……」


ミアが、震える。


「何か……探してます……!」


「……」


リリアが、目を細める。


「“存在理由”です」


「……?」


「この存在が」


「なぜ存在するのか」


「その“定義”を維持しようとしている」


「……」


アルヴェルトが、息を呑む。


「……なら……」


「……」


リリアが、静かに言う。


「それを失えば」


「……」


「存在できません」


「……」


沈黙。


「……」


レインは、軽く頷く。


「じゃあ」


「消しますね」


「軽いのよ!!」


だが。


次の瞬間。


レインの指が。


わずかに、動く。


「……」


触れたまま。


ほんの少し。


「……」


それだけ。


「――――」


“魔王”が、止まる。


完全に。


「……!」


ミアが、息を呑む。


「動きが……!」


「……」


『――存在理由』


『――参照不可』


『――定義喪失』


「……」


カレンが、呟く。


「……あ」


「……」


“魔王”の輪郭が。


薄くなる。


「……」


アルヴェルトが、震える。


「……消えている……?」


「……」


リリアが、静かに言う。


「いいえ」


「……?」


一拍。


「“存在できなくなっている”」


「……」


それは。


消滅ではない。


破壊でもない。


「……」


“定義の削除”。


「……」


“魔王”が、崩れる。


音もなく。


光もなく。


ただ。


「……」


“なくなる”。


「……」


『――――』


最後の反応すら。


残らない。


「……」


静寂。


完全な。


終わり。


「……」


ミアが、ぽつりと。


「……終わった……?」


「……」


誰も、すぐには答えない。


だが。


「……」


空は、青い。


地面は、ある。


時間は、流れる。


「……」


すべてが。


“普通”。


「……」


リリアが、静かに言う。


「……はい」


「完全に」


一拍。


「終わりました」


「……」


カレンが、大きく息を吐く。


「……マジでやったのね」


「……」


アルヴェルトが、苦笑する。


「……歴史が変わったな……」


「……」


ミアが、嬉しそうに笑う。


「すごいです……!」


「……」


レインは。


少しだけ首を傾げて。


「そうですか?」


「最後までそれなのよ!!」


だが。


その“普通”こそが。


世界を救った証だった。

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