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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第138話 再配置

「もう少しですね」


レインの指が。


“魔王”に触れたまま。


わずかに、動く。


それだけ。


本当に。


それだけだった。


「――――」


だが。


次の瞬間。


「……え?」


ミアが、声を漏らす。


「……」


空間が。


“戻っている”。


「……!」


カレンが、目を見開く。


「歪みが……!」


裂けていたはずの空間が。


ゆっくりと。


閉じていく。


「……」


ひび割れのように広がっていた歪みが。


逆再生のように。


滑らかに。


消えていく。


「……」


アルヴェルトが、息を呑む。


「修復……している……」


「……」


違う。


それは。


“修復”ではない。


「……」


リリアが、静かに言う。


「再配置です」


「……?」


「壊れたのではありません」


「順番が崩れていただけ」


「……」


一拍。


「それを“戻している”」


「……」


ミアが、呟く。


「戻ってる……」


「……」


時間が、整う。


バラバラだった流れが。


一つに揃う。


「……!」


止まっていた風が。


再び、吹く。


「……」


重力が、戻る。


浮いていた石が。


静かに、地面へ落ちる。


「……」


“普通”。


その当たり前が。


戻ってくる。


「……」


カレンが、小さく笑う。


「……やるじゃない」


「……」


だが。


それは、ここだけではない。


――王都。


「……?」


兵士が、空を見上げる。


歪んでいた空。


にじんでいた色。


それが。


「……戻ってる……?」


青く。


澄んでいく。


「……」


太陽が。


正しい位置に戻る。


影が。


正しい方向へ伸びる。


「……なんだ……これ……」


誰も、理解できない。


だが。


確かに。


「……」


“戻っている”。


――街。


「……あれ……?」


浮いていた少女が。


ゆっくりと。


地面に降りる。


「……立ってる……」


母が、涙を流す。


「……」


崩れていた現実が。


再び。


“現実”になる。


――森。


増え続けていた魔物が。


一体。


また一体と。


消えていく。


「……」


重なっていた存在が。


ほどけていく。


正しい数へと。


――世界中。


「……」


誰もが。


気づき始める。


「……戻ってる……」


「……」


終わるはずだった世界。


それが。


「……」


“戻っている”。


――そして。


再び、“中心”。


「……」


歪みが、消えていく。


暴走が、収まっていく。


「……」


“魔王”が、揺れる。


だが。


それは。


恐怖ではない。


「……」


“収束”。


「……」


リリアが、静かに言う。


「書き換えが始まっています」


「……」


アルヴェルトが、続ける。


「しかも……」


「……」


「全域同時に……」


「……」


カレンが、呆れたように笑う。


「もうスケールがバグってるのよ」


「……」


ミアが、嬉しそうに言う。


「すごい……」


「本当に……直ってる……」


「……」


レインは、変わらず。


「いい感じですね」


「軽いのよ!!」


だが。


その“いい感じ”が。


世界を救っていた。

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