第127話 接触成立
「じゃあ」
「ちゃんと直しますね」
レインが、そう言った直後。
空間が、揺れる。
“魔王”が反応する。
歪みが、強まる。
「……!」
ミアの安定領域が、軋む。
「押されてます……!」
「……」
アルヴェルトが、低く言う。
「概念干渉の強度が上がっている……!」
「……」
カレンが、舌打ちする。
「向こうも“抵抗”してきてるってことね」
「はい」
リリアが頷く。
「こちらの定義を拒否しています」
「……」
“魔王”が、形を変える。
さっきよりも激しく。
不安定に。
「……!」
ミアが震える。
「さっきより……崩れてる……!」
「……」
だが。
レインは、止まらない。
そのまま。
手を伸ばす。
「ちょっと!」
カレンが叫ぶ。
「今明らかにヤバくなってるでしょ!?」
「大丈夫ですよ」
「だからその根拠!!」
「……」
レインの手が。
“魔王”へ。
触れる。
今度こそ。
確実に。
「……」
沈黙。
「……?」
何も起きない。
崩壊も。
反発も。
拒絶も。
「……あ」
レインが、ぽつりと。
「触れますね」
「軽いのよ!!」
だが。
事実だった。
「……」
レインの手は。
“それ”に触れている。
曖昧な存在。
未定義の塊。
それに。
「……」
“接触”している。
「……」
アルヴェルトが、震える声で言う。
「……成立した……?」
「……」
リリアが、静かに頷く。
「はい」
「“存在として確定された”ため」
「干渉可能になっています」
「……」
ミアが、目を輝かせる。
「すごい……」
「本当に触ってる……」
「……」
カレンが、頭を押さえる。
「何なのよあんた……」
「一般人です」
「もういいってそれ!!」
「……」
その時。
ぐにゃり、と。
“魔王”が、大きく歪む。
「……!」
空間が、軋む。
強い反発。
「来るわよ!」
カレンが叫ぶ。
「……」
だが。
レインは、手を離さない。
そのまま。
触れたまま。
「……」
そして。
少しだけ。
首を傾げる。
「……なるほど」
「何がよ!?」
「……」
レインは、普通に言う。
「ちゃんと壊れてますね」
「見れば分かるわよ!!」
「……」
だが。
その言葉には。
“理解”が含まれていた。
「……」
リリアが、静かに呟く。
「……適応している……」
「……」
アルヴェルトが、続ける。
「この領域に……」
「完全に……」
「……」
カレンが、苦笑する。
「適応ってレベルじゃないでしょ」
「もう“同じ側”よそれ」
「……」
ミアが、小さく笑う。
「でも……」
「頼もしいです」
「……」
レインは、“魔王”に触れたまま。
静かに言う。
「じゃあ」
「直していきますね」
「軽いのよ!!」
だが。
その手は。
確実に。
“世界そのもの”へ届いていた。




