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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第126話 定義戦

「じゃあ」


「当たるようにします」


レインの一言。


それは。


“攻撃”ではなかった。


「……」


空気が、変わる。


歪み。


時間。


距離。


すべてが揺れる。


「……?」


ミアが、不安そうに周囲を見る。


「何か……変わりました……?」


「……」


アルヴェルトが、息を呑む。


「……今」


「何をした……?」


「……」


レインは、ただ。


“魔王”を見ている。


「……」


その視線。


それだけで。


何かが――


「……」


“固定される”。


「……!」


リリアが、目を見開く。


「……観測が……成立している……?」


「……?」


カレンが振り向く。


「どういうことよ」


「……」


リリアは、ゆっくりと言う。


「今までこの存在は」


「“定義されていなかった”」


「……」


「だから」


「攻撃も成立しなかった」


「……」


「ですが今は違う」


一拍。


「“存在として確定し始めている”」


「……」


空気が、震える。


「……」


“魔王”が、揺れる。


だが。


さっきまでと違う。


変化の幅が――


減っている。


「……?」


ミアが、呟く。


「形が……少し……」


「……」


カレンも気づく。


「……定まってきてる?」


「はい」


リリアが頷く。


「“意味付け”が行われています」


「……」


アルヴェルトが、震える声で言う。


「……まさか」


「“定義による干渉”……」


「……」


その瞬間。


レインが、一歩踏み込む。


今度は。


“届く”。


「……!」


ミアが、息を呑む。


「触れる……!」


「……」


だが。


それは“接触”ではない。


「……」


レインの手が。


“魔王”に触れる。


触れた。


はずなのに。


感触がない。


だが。


「……」


変化が起きる。


“魔王”が。


わずかに。


止まる。


「……っ」


アルヴェルトが叫ぶ。


「反応した……!」


「……」


カレンが、驚く。


「攻撃じゃないのに……?」


「……」


リリアが、静かに言う。


「これは“攻撃”ではありません」


「……?」


「“意味の付与”です」


「……」


沈黙。


「……は?」


「……」


リリアは続ける。


「“これはこういう存在である”と定めることで」


「干渉可能な状態にしている」


「……」


ミアが、小さく言う。


「じゃあ……」


「戦ってるんじゃなくて……」


「はい」


リリアが頷く。


「“書き換えている”のです」


「……」


カレンが、呟く。


「何それ……」


「戦いですらないじゃない……」


「……」


その時。


ぐにゃり、と。


“魔王”が反応する。


「……!」


空間が歪む。


今度は。


“意図的に”。


「……」


アルヴェルトが、低く言う。


「……向こうも」


「反応している」


「……」


リリアが、静かに頷く。


「はい」


「これは」


一拍。


「“概念同士の干渉”です」


「……」


つまり。


戦いは、始まった。


剣でも。


魔法でもない。


「……」


“意味”で。


「……」


レインが、静かに言う。


「じゃあ」


「ちゃんと直しますね」


「軽いのよ!!」


だが。


その言葉は。


世界のルールを相手にした。


“戦闘開始”の合図だった。

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