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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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125/141

第125話 不成立

「じゃあ」


「決めますね」


レインの言葉。


その直後。


「――待ちなさい!」


カレンが叫ぶ。


「いきなり触る前に――」


その手に、魔力が集まる。


「一回試すわよ」


「……?」


「効くかどうか」


「確認くらいはする」


「……」


誰も、止めない。


むしろ。


必要なことだった。


「……」


カレンが、構える。


魔力を圧縮。


安定させる。


ミアの作った“安定領域”の中で。


かろうじて成立する魔法。


「……」


狙いは。


“魔王”。


「――撃つわよ!」


放たれる光。


一直線。


歪みを切り裂き。


“それ”へと到達する。


「……」


当たる。


確実に。


直撃。


「……」


だが。


何も起きない。


「……は?」


カレンが、固まる。


「……」


光は、消えた。


命中した。


それは間違いない。


だが。


「……」


“魔王”は。


変わらない。


揺れた。


それだけ。


「……効いてない……?」


ミアが、震える声で言う。


「……」


アルヴェルトが、低く答える。


「……いや」


「“当たっていない”」


「……?」


カレンが振り向く。


「何言ってんのよ」


「当たったでしょ」


「……」


アルヴェルトは、ゆっくりと言う。


「“命中”という概念が」


「成立していない」


「……」


沈黙。


「……は?」


「対象が確定していない以上」


「当たり判定が存在しない」


「……」


ミアが、小さく呟く。


「当たってるのに……当たってない……?」


「そうだ」


「……」


カレンが、顔をしかめる。


「意味分かんないのよ」


「……」


リリアが、静かに言う。


「存在が曖昧なため」


「干渉の結果も曖昧になります」


「……」


つまり。


攻撃しても。


攻撃したことにならない。


「……」


カレンが、もう一度魔力を練る。


「なら、これならどうよ」


今度は、広範囲。


逃げ場のない攻撃。


「――全域焼却!」


爆発。


光が、空間を覆う。


逃げ場はない。


避けようがない。


「……」


だが。


収まった後。


そこにあるのは。


「……」


変わらない“それ”。


「……」


カレンの手が、震える。


「……効いてない」


「……」


アルヴェルトが、静かに言う。


「そもそも」


「“攻撃”という行為が」


「この存在に適用されていない」


「……」


リリアが、補足する。


「対象が未定義である以上」


「結果も確定しません」


「……」


ミアが、ぽつりと。


「じゃあ……」


「何しても無駄……?」


「……」


沈黙。


誰も、否定できない。


「……」


カレンが、歯を食いしばる。


「……最悪ね」


「殴れない敵とか」


「……」


その時。


「そうでもないですよ」


「……?」


レインが、口を開く。


「……」


全員が、見る。


「……」


レインは、“魔王”を見ている。


揺れている。


定まらない。


「……」


そして。


「当たらないなら」


「当たる状態にすればいいです」


「……」


沈黙。


「……は?」


カレンが固まる。


「……」


レインは、普通に続ける。


「さっき言いましたよね」


「決めればいいって」


「……」


リリアが、静かに呟く。


「……定義……」


「はい」


「……」


レインは、手を伸ばす。


今度は。


迷いなく。


「じゃあ」


「当たるようにします」


「軽いのよ!!」


だが。


その一言が。


“無効”というルールを。


壊そうとしていた。

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