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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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121/141

第121話 維持

「……“上書き”」


カレンが、低く呟く。


「それが正解ってこと?」


「はい」


リリアは、迷いなく頷く。


「ですが」


一拍。


「その前提を理解する必要があります」


「……?」


ミアが首を傾げる。


「前提って……?」


「……」


リリアは、“魔王”――歪みの中心を見る。


揺れている。


崩れている。


それでも。


“存在し続けている”。


「……」


静かに、言う。


「なぜ、崩壊しないのか」


「……」


アルヴェルトが、息を呑む。


「……確かに」


「これほどの異常なら」


「既に消滅していてもおかしくない」


「……」


カレンが、腕を組む。


「壊れてるなら」


「そのまま崩れればいいのにね」


「はい」


リリアは頷く。


「ですが、そうはならない」


「……」


一拍。


そして。


「“維持されているから”です」


「……」


沈黙。


「……誰に?」


カレンが聞く。


「……」


リリアは、首を振る。


「“誰か”ではありません」


「……?」


「仕組みです」


「……」


ミアが、小さく言う。


「仕組み……?」


「はい」


リリアは続ける。


「この世界は」


「自然に存在しているわけではありません」


「……」


空気が、変わる。


「……は?」


カレンが、固まる。


「今なんて?」


「……」


リリアは、はっきりと言う。


「世界は」


「“維持されているもの”です」


「……」


完全な沈黙。


「……」


アルヴェルトが、震える声で言う。


「……それは」


「つまり」


「……」


「この世界には」


「“維持機構”が存在するということです」


「……」


ミアが、ゆっくりと理解する。


「じゃあ……」


「世界って……」


「放っておいたら……」


「はい」


リリアは頷く。


「崩壊します」


「……」


言葉が、重い。


「……最悪じゃない」


カレンが呟く。


「……」


リリアは続ける。


「本来は」


「その維持機構によって」


「時間も」


「空間も」


「法則も」


「正しく保たれている」


「……」


アルヴェルトが、目を見開く。


「……では」


「今の歪みは……」


「はい」


リリアは頷く。


「その“維持”が」


「誤作動を起こしている状態です」


「……」


すべてが、繋がる。


「……」


カレンが、低く言う。


「じゃあ魔王って」


「……」


リリアは、静かに答える。


「“維持機構のバグ”です」


「……」


沈黙。


「……」


ミアが、小さく言う。


「世界を守るはずのものが……」


「壊れてる……」


「はい」


「……」


アルヴェルトが、呟く。


「……だから」


「排除できない……」


「……」


リリアが頷く。


「切り離せば」


「世界そのものに影響が出ます」


「……」


カレンが、頭を押さえる。


「詰んでるじゃない」


「守る機能が壊れてるって」


「どうしろってのよ」


「……」


その時。


「直せばいいですね」


「それしか言わないの!?!?」


「……」


レインは、普通に言う。


「壊れてるなら」


「正しい状態に戻せばいいだけです」


「……」


リリアが、静かに頷く。


「はい」


「それが“上書き”です」


「……」


アルヴェルトが、震える声で言う。


「……世界の維持機構に」


「干渉するというのか……?」


「……」


視線が集まる。


レインへ。


「できますよ」


即答。


「……」


誰も、もう驚かない。


驚きすぎて。


感覚が麻痺している。


「……」


ミアが、小さく笑う。


「レインさんなら」


「大丈夫です」


「根拠が感情なのよ」


「……」


カレンも、ため息をつく。


「でもまあ」


「他に方法ないしね」


「……」


レインは、“魔王”を見る。


歪み。


崩壊。


誤作動。


「……」


そして。


一歩。


踏み出す。


「じゃあ」


「直しますね」


「軽いのよ!!」


だが。


それは。


“世界そのもの”に対する宣言だった。

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