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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第119話 切り開く者

「このままじゃ進めません……!」


ミアの声が、わずかに震える。


歪んだ空間。


崩れた法則。


重なり合う存在。


前方は、完全に塞がれていた。


「……」


上下が曖昧な地形。


距離がねじれた通路。


そして――


“湧き続ける魔物”。


「……っ」


カレンが、剣を構える。


「キリがないわね」


斬る。


一体。


二体。


だが。


すぐに。


“また現れる”。


「再生成……!?」


ミアが叫ぶ。


「構造が安定していないせいです……!」


リリアが分析する。


「倒しても意味がない……!」


「……」


道が、ない。


進めない。


時間だけが、削られる。


「……」


その時。


カレンが、前に出る。


「いいわ」


短く。


「任せなさい」


「……?」


ミアが振り向く。


「カレンさん……?」


「……」


カレンは、軽く肩を回す。


緊張はない。


焦りもない。


ただ。


「道がないなら」


一拍。


「作ればいいでしょ」


「……」


その言葉と同時に。


踏み込む。


「――ッ!」


地面が、砕ける。


一歩で。


空間を、踏み抜く。


「はああああッ!!」


一閃。


剣が、唸る。


「――――!」


前方一帯が、消し飛ぶ。


魔物も。


歪みも。


まとめて。


「……!?」


ミアが、目を見開く。


「今の……!」


「関係ないものごと斬っただけよ」


「雑なのよ!!」


だが。


それでいい。


「……」


空いた。


確かに。


“道”が。


「行くわよ!」


カレンが叫ぶ。


そのまま、突っ込む。


「はあああッ!!」


斬る。


砕く。


踏み抜く。


すべてを。


“力”で。


押し通す。


「……!」


歪みが、追いつかない。


再生成が、間に合わない。


「……通れてる……!」


ミアが叫ぶ。


「理屈じゃない……!」


「理屈なんて後でいいのよ!」


カレンが笑う。


「今は進むだけ!」


「……」


リリアが、小さく息を吐く。


「合理性はありませんが……」


一拍。


「最適解です」


「でしょ?」


「……」


レインは、後ろから見ている。


特に何もせず。


「いい感じですね」


「だから軽いのよ!!」


ツッコミが響く。


だが。


その“いい感じ”で。


確実に前へ進んでいる。


「……」


カレンが、最後の一撃を放つ。


「――どきなさいッ!!」


轟音。


空間ごと、叩き斬る。


「――――」


前方が、開ける。


完全に。


「……」


道が、できていた。


「……ふぅ」


カレンが、剣を肩に担ぐ。


「はい、開通」


「荒すぎます……!」


「結果オーライよ」


「……」


リリアが、静かに言う。


「これで先へ進めます」


「……」


ミアが、頷く。


「はい!」


「……」


レインも、軽く一歩踏み出す。


「じゃあ行きましょうか」


「一番落ち着いてるのあんたなのよ!!」


だが。


その温度差のまま。


一行は、さらに深部へ進んでいく。

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