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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第109話 不可解

「……」


静寂。


さっきまで荒れていた空間。


歪み。


それが――


落ち着いている。


「……」


誰も、すぐに動けない。


「……今」


カレンが、ゆっくり口を開く。


「……何したの?」


「整えました」


「だからそれ何よ」


「……」


レインは、特に気にせず答える。


「ズレてたので」


「元に戻しただけです」


「戻すな!!簡単に!!」


「……」


ミアが、おそるおそる言う。


「でも……本当に」


「直ってますよね?」


「……」


リリアが周囲を確認する。


一歩、踏み出す。


距離は、変わらない。


重力も、一定。


時間のズレも――


ない。


「……はい」


静かな肯定。


「安定しています」


「……」


アルヴェルトが、その場に立ち尽くす。


「……ありえない」


二度目の言葉。


だが。


今度は、重みが違う。


「……」


「これは……“現象の収束”ではない」


「……?」


カレンが眉をひそめる。


「何が違うのよ」


「通常なら」


「異常は、時間経過で落ち着く」


「だが今のは違う」


「……」


一拍。


「“原因ごと修正されている”」


「……」


沈黙。


「……は?」


カレンが、引いた声を出す。


「それって」


「……根本から直ってるってこと?」


「そうだ」


アルヴェルトは、ゆっくり頷く。


「しかも」


「理論も手順も一切不明のまま」


「……」


ミアが、ぽつりと。


「すごい……」


「すごいで済ませていいのこれ!?」


カレンがツッコむ。


「世界のルールいじってるのよ!?」


「……」


リリアが、静かに言う。


「正確には」


「“戻している”のでしょう」


「……?」


「本来あるべき状態へ」


「再調整している」


「……」


カレンが、頭を押さえる。


「余計わかんないわよ」


「……」


アルヴェルトが、レインを見る。


じっと。


観察するように。


「……君は」


「それを、どう認識している?」


「……?」


レインは、少し考える。


そして。


「歪んでたので」


「直しました」


「……」


沈黙。


完全に。


「説明になってないのよ!!」


カレンが叫ぶ。


「いや、なってますよ」


「なってないのよ!!」


「……」


ミアが、苦笑する。


「でも……」


「レインさん、いつもこんな感じですよね」


「そうなのよ」


カレンがため息をつく。


「で、結果だけは完璧なのよ」


「……」


リリアが、小さく頷く。


「今回も同様です」


「理屈は不明」


「ですが」


「結果は、確実」


「……」


アルヴェルトが、ぽつりと呟く。


「……理解不能だ」


「はい」


レインが普通に頷く。


「感覚なので」


「納得するな!!」


「……」


だが。


その場にいる全員。


同じ結論に至っていた。


「……」


分からない。


だが。


一つだけ。


確かなこと。


「……直せる」


ミアが、嬉しそうに言う。


「この異常、直せます!」


「……」


カレンが、少しだけ笑う。


「……そうね」


「一番意味分かんないやつがいるけど」


「希望はあるわ」


「……」


リリアも、静かに言う。


「はい」


「“対処可能”です」


「……」


アルヴェルトが、深く息を吐く。


「……世界規模の異常が」


「一人の人間で解決可能だと?」


「……」


信じられない。


だが。


目の前で起きた。


「……」


レインは、特に気にせず。


「次も行きますか」


「軽いのよ!!」


だが。


誰も否定しない。


もう。


分かってしまったから。

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