第100話 評価
「――以上が、今回の戦果です」
静かな声が、王城に響く。
謁見の間。
重厚な空気。
だが、その中にあるのは――
興奮。
「敵軍、壊滅」
「損害、軽微」
「国境防衛、完全成功」
「……」
報告が進むたびに。
空気が、変わっていく。
「……信じられん」
貴族の一人が呟く。
「これが、事実か」
「はい」
騎士が頷く。
「すべて、確認済みです」
「……」
沈黙。
そして。
「……一人だと?」
別の声。
「はい」
「戦況を覆したのは」
「……彼です」
視線が、集まる。
「……」
そこにいるのは。
いつも通りの男。
レイン。
「……この男が」
「……あの戦場を?」
「……」
理解できない。
だが。
否定もできない。
「……」
王が、ゆっくりと口を開く。
「……認めざるを得ぬな」
その一言。
重い。
絶対的な。
「……」
「この国は」
「彼に、救われた」
ざわめき。
誰も、反論しない。
できない。
「……」
リリアが、静かに前へ出る。
「……はい」
「事実です」
「……」
王は、続ける。
「今後についてだが」
「……」
空気が、張り詰める。
「……彼の存在を前提とした防衛体制を構築する」
「……」
つまり。
依存。
国家レベルでの。
「……」
カレンが、小さく呟く。
「決まったわね」
「ええ」
リリアも頷く。
「完全に」
「依存です」
「……」
ミアが首を傾げる。
「いいことなんですか?」
「……良くも悪くもね」
カレンが答える。
「でも」
「今は、それしかない」
「……」
視線が、再びレインへ。
「……」
当の本人。
何も変わらない。
「……」
そして。
ぽつりと。
「平和ですね」
「どこがよ!!」
カレンの即ツッコミが響く。
「戦争終わったばっかりよ!?」
「でも終わりましたよね」
「そうだけど!!」
ミアが笑う。
「確かに平和です!」
「基準おかしいのよ!!」
「……」
リリアが、小さく笑う。
「……ええ」
「そうですね」
その言葉に。
空気が、少しだけ緩む。
王城。
国家。
戦争。
すべてが、大きく動いた後。
最後に残ったのは――
変わらない日常。
そして。
変わらない男。




