↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『帝国魔導特務録』  作者: 夜櫻 雅織
~ヴォルカ特務官と刻まれた軌跡~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/103

第1話

「とく、むかん……?」

「そう、特務官。凄くて賢くて、皇帝陛下に沢山の事を許してもらってるのよ。」

「許す……。……悪い事、した?」

「あ、そっちに曲がっちゃうのか……。」

「皇帝と同じくらい、自由にして良い権利を貰ってるんだよ。」

「皇帝と……? じゃ、じゃあ、沢山……本読んでも許されるっ?」

「勿論。君が望むなら幾らでも、ね。」


 やはり、多大な精神負荷がかかってしまっていたんだろう。翌朝、目覚めたイリスは……記憶を、ごっそりなくしてしまっていた。

 しかもどういう事か、自分の名前として個体識別番号E13534と呼称し、イリス・ヴォルカという名前を理解させるのに2、3時間程かかってしまった。……それでも、何とか理解してくれたイリスは……本当に、ただの子供のようだ。

 きっと、あの感情の薄さもあんな環境で過ごしたからだろう。今のイリスは普段に比べ、なかなかに表情から新疆を読み取り易い。比較的明るく人懐っこく、あんな国で歪められなければこんな感じだったのかと嬉しいような、痛いような感覚がずっと居座っている。

 そんなイリスは……やはり、応用的な知識が大幅に欠損している。手っ取り早い確認として、ヴィクトルがイリスに見せた帝国の硬貨なんて何かに使う物とは理解出来ても、それが通貨だという認識はなかった。


 カトラリーは普通に使えてるし、受け応えも問題ない……。身体機能や五感にも今の所問題は見えないし……しばらく様子見、か。


「じゃ、じゃあ本読みたいっ! ……駄目?」

「っ〜……!! 勿論良いよ。ヴィクトル、この船って図書室あったっけ。」

「……資料庫はあるけどよ、子供が……。……非研究者が見て楽しめるもんは殆どなかったと思うぞ。」

「まぁ……一旦見せてみたらええんちゃうか? あのイリス嬢やで、むしろ御伽噺よりもそっちの方が相応かもしれん。」

「……それもそうか。なら、幾つか持ってくる。……子供の足じゃあ遠いからな。」

「あいよ。」

「……あれ。……ヴィク、居なくなっちゃった。」

「直ぐ戻ってくるよ。」

「ほんと?」

「うん、ほんと。」


 意外にも、イリスはノア達の事を直ぐに覚えた。名前も、愛称も、誰が何を専攻分野としているかですら、いとも簡単に。やはり、記憶をなくしていてもイリスはイリスなんだろう。

 そんなイリスは……何と言うか、あまりにも無垢が過ぎる。尾は常にゆらゆらと揺れて、ころころと表情が変わる。それこそ、年相応とも呼べるようなエリクス並みの明るさがそこにある。


「……可愛い。」

「ノア?」

「父性ですよ、父性。めっちゃあの笑顔を護りたくて。」

「今のイリスなら……もっと遊んでくれるかなぁ?」

「……まぁ、遊びそうではあるけど。」

「まぁ、色々教えてあげたいなぁとは思っちゃうよねぇ。」

「イル、イル! イルの尻尾抱っこしたい!」

「んもうっ、可愛いんだから……!」


 イルメリナから許可を貰い、抱き込み易いように手前に持ってこられた尾に目を輝かせてから抱き込んで顔を埋めるイリス。あまりにも無垢で、あまりにも幸せそうなその表情は……ノア達が本来、《黑閃(アイゼンバーン)》に乗って海上を航行している理由を忘れてしまいそうだ。


 イリス先輩、身長高いのにめちゃくちゃ子供に見えるって最早チートだよなぁ……。


「……んふふ、ふわふわぁ。」

「私の心もふわふわしちゃう……!」

「頭もだろ。」

「何だろう、イリスが言うと可愛いのにイルメリナが言うと怖くなっちゃうんだよなぁ。不思議。何でだろ?」

「まだ知らんでええぞ。」

「分かった! まだ知らないでおく!」

「エリクス先輩……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。