第22話
「……ぅう。」
「イリス! ……大丈夫? 何処か、別の所も痛い?」
「……毛布、余分持ってくるわ。」
「イリス、無理に体起こすな。せめて背もたれにでも体預けとけ。」
「イリス……おいで。大丈夫、大丈夫だから。」
イルメリナの能力で寝かしつけたのもあって、疲労が前面に出たんだろう。ただ、その反面で使命感か責任感か、あまり長くゆっくりと休む事が出来ないらしい。
かなり寝惚けた様子で目を覚まし、ゆっくりと体を起こすイリス。動きがいつもよりも硬いのは胸部固定帯の所為で動きに制限が掛かっているからだろう。幾らイリスでも、この状態だと戦闘は難しいだろう。
なるべく患部に響かないよう、やんわりとヴィルヘルムの懐に閉じ込められたイリスはそのまま眠り込んでしまいそうな勢いだ。本当は体力的にかなり限界なんだろう。
イリス先輩……。
「……あったかいから眠くなっちゃうのかな。」
「……私としても、本当はもっとしっかり休ませてあげたいんだけどなぁ。」
「あ、そうだ。イリスってさ、しばらく1人で空母に乗ってたんだろうけど……その間、飯ちゃんと食ってたのか?」
「……………………食ってねぇんじゃねぇか?」
「予備の毛布持ってき……。……ゆっくり休めへんっていうのもなかなかに惨いもんやな。」
「トウマ、私軽食作ってくるから傍に居てあげて。」
「ん、分かった。」
やはり、体力的に限界なんだろう。急にくた……とイリスの体から力が抜け、その体が力なくヴィルヘルムに預けられている。
「……寝てもうたみたいやな。」
「…………俺、このまま湯たんぽにでもなっとこうかな。」
「まぁ……良いんじゃねぇか?」
「君達、ヴォルカ特務官は?」
「シュタール主任……! イリス先輩はここです!」
「……とりあえず大丈夫そうだね。」
「アルドリック、確認してぇ事がある。」
「ん? 何かな。」
「イリスが受け取ったって言う笛。あれ、本当にイリス以外じゃ駄目なのか?」
「笛……あぁ、いいや? 少なくとも私は彼からそう聞いてないね。」
「じゃあ気にしなくて良さそうだな。ほら、ノア。代わりに吹け。」
「は、はいっ! ……いただきます。」
「……ジルバータール特務官の姿が見えないようだけど。」
「イリスのご飯作りに行ったよ! もしかしたら、空母で移動中に食べてないんじゃないかって。」
「……ふむ。なら、いっその事もう全員で食事にするのも良いかもしれないね。つい先程、セヴェリウスからこちらの動きを予想したらしい敵が逃げ回るようになったらしいから。」
……え。
「……僕、空から見える範囲は全員落雷で焼いてこよっか?」
「……まぁ、そうだね。頼めるかい?」
「はぁーい!」
「では私もジルバータール特務官を手伝いに行こうかな。」




