第17話
「じゃあそろそろ」
「まだだ。……まだ聞かねばならん事がある。」
「…………なぁーに。」
「面倒くさがるな、全く……。先に話していた神を殺す為の毒とやら。あれは……何を差している?」
あー……。
「……水銀。」
「水銀?」
「そう、水銀。大量の、器を満たす水銀。…………一応、あの空母の燃料全部水銀に変えたけど足りるかどうか。」
「……成程。それで空母の船尾が爆発せんかったのか。」
≪……ふむ。ではヴォルカ特務官、その神とやらが地下の器に入ったらセヴェリウスから預かっている笛を吹くように。≫
……?
「……何で。あれ、神様呼ぶ笛って。」
≪異端審問教会が崇拝する神は水銀の神なんだよ。≫
……え、アルって水銀だったの?
まさか、そんな訳はないだろう。ただ、今の話だとどうにもそういう風にしか思えず、そうとしか考えられない。
いや、もしかするとイリスが知らないだけで異端審問教会には別の神様も居るのかもしれない。……きっと、そうだろう。そう思う事にした。
「とりあえず……ヴォルカ。特務局が到着するまでは少し休みなさい、良いな?」
≪そう長くはかからない、もうそろそろ着くからね。ちゃんと良い子にしてるんだよ。≫
…………。
「……態度、変わった。何で。」
「気の所為だろう。……そうさな。ちゃんと飴もあるぞ、要るか?」
「…………甘いの嫌いだから、要らない。」
よく分からないが、どうしても特務局が到着するまでイリスに戦闘させたくないらしい。その意地を見せるように、普段は肋骨として体内に格納されている複数本の人間の腕が……ゆったりとセヴェリウスの体から生えてくる。
掻く言うセヴェリウスも、イリス達特務官と同様にアラクネの体質を皇帝から与えられた人物。そうでもなければこんな所で1人、堂々と立っているのも変な話だろう。
生えてきた腕は今でこそ大人しいが、イリスが少しでも動こうものならそのまま掴めてきそうな圧がある。実際、この距離ではイリスが逃げるよりもセヴェリウスの腕が掴む方が早い。
変に暴れられると面倒だし、やだけど聞いとくかなぁ……。




