表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『帝国魔導特務録』  作者: 夜櫻 雅織
~アルヴェルト特務官と新人研修~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/70

第13話

「では、話が以上なら」

「いえ、もう1つ。……1つ盛大に間違えていらっしゃるのでそれだけ正しときますね?」

「……? うん。」

「俺、異端審問教会が可愛いレベルでイリス先輩の事崇拝してますけど、恋情は微塵もないんで。」

「……………………え。」


 あぁ……やっぱり、やっぱりそうだ。


 ヴィルヘルムの、これまでのイリスに対する関わり方で察した。ヴィルヘルムは、イリスに対して強い恋情を抱きつつもイリスが気付いてくれる事を、イリスにも自分に恋情を抱いてほしいと、強く望んでいる。

 だからこそ、ヴィルヘルムにとってはどんな扱いだったとしてもイリスからのお願いは本来、身を焦がして止まない程に甘美だろう。そんな所に……そのイリスが選んだノアが来たと聞けば、誰だって勘違いする。


 果てしなく一途だなぁ……。


「むしろ、男の俺から見てもかっこいい上に惚れ惚れするぐらいめちゃくちゃ危険な男らしい男性のヴィルヘルム先輩がそのまま幸せにしてくんないかなって、公式からの供給待ってる側です。ヴィルヘルム先輩の片思い、早急に成就させてほしいと思ってますんで全力で堕としに行ってください。」

「ちょ、ちょっと待て……!!? ならあれか、君は知ってて距離を……!?」

「はい。ヴィルヘルム先輩が少しでもイリス先輩の傍に居ていただけるように、と。……なのにイリス先輩、先輩としてもあるんでしょうけど、ヴィルヘルム先輩が俺にめちゃくちゃバチバチしてるのに気付いて半歩下がるんですもん……。あの人、本当に残酷なぐらい鈍いっすよねぇ……。俺もお預け喰らって辛いぐらいです。」

「……なら、俺は最初からする必要のない警戒をしていた、と?」

「いいえ? ヴィルヘルム先輩からしてみれば、俺は得体の知れない存在です。ヴィクトル先輩達も仰られてましたけど、元々俺達暗務局の人間は“普通にしか見えない”ように、それが常であるように鍛えられている所為でそういう……なん、ていうんでしょう。こういう、皆さんみたいに俺達みたいな異常を見慣れていらっしゃるから余計に不気味なんだと思います。なんで、もしも俺が本当にそういう目的だったら……めちゃくちゃ良いと思います。」

「……………………ふぅ。……君、見た目に反してとんでもなく物を言う上に腹も据わってるじゃないか。」

「普通ですよ……?」

「普通ならここまで俺がダメージを受ける訳がないんだよ、頼むから分かってくれ。」


 要は、ヴィルヘルムはイリスを妹分ではなく異性と見ていて。けれど、敢えて妹分と呼ぶ事で恋人以上の気持ちを抱いていると暗に伝えたかったのだろう。……そもそもイリスに欠片程の恋情も抱いていないノアには全く以て効果がなかったが。

 更に言うのであれば、ノアとしてはここまで完璧なイリスの隣に立つ男はヴィルヘルム以外に居ないだろうとも思っている。ヴィクトルもイリスに優しいには優しいが、あれは決して恋情ではなく仲間として手を掛けているだけ。……何方かと言えば、ライバルだろうか。


 リヒター先輩は結構怪しい所だけど……ヴィルヘルム先輩がイリス先輩にどういう気持ちを抱いてるかぐらいは分かってそうだしなぁ。あの人、正面切ってこの人と戦えなさそうだし。


 今、まさにそのヴィルヘルムに正面から啖呵を切った人物の言う事では。思う事ではないが。

 それでも、ノアとは元来そういう男だ。自身が暗殺者としての道を選んだのもあり、感情全般が何処かずれているイリスと同様に、ノアにはそういう異性の関係や恋情と言った物は底その物が喪失して……存在していない。


 仮に俺がこの先、誰かに恋をしたとして。……俺がこれまで殺してきた人達の怨嗟をその人とその子供に向けないよう護るにはまだまだ力が足りない。だから、もし出来たって俺も……ヴィルヘルム先輩とは違う理由で打ち明けないだろうし。


 これまでノアに強い対抗心を抱いていたヴィルヘルムはと言うと……かなり、疲れたらしい。先程までの余裕の態度は、強者な風貌は何処へやら。今は両手で頭を抱えてその場に座り込み、若干赤くなってしまっている。

 その様子を、店内の奥の方からぼんやり見ているイリスが……ノアには見えていて、若干の焦燥が走る。


 ……あ、あの、イリス先輩? なんてタイミングで見てるんですか……!? 何か知らないですけど、店の中の物でも見ててくださいよ……!!


「……だ、大丈夫ですか? ヴィルヘルム先輩?」

「……………………はぁ。……ヴィル。」

「え?」

「ヴィルで良いよ、ヴィルで。君にヴィルヘルムと呼ばれるのは……何か、男として恥ずかしい。」

「そ、そんな滅相もない……! 俺、めちゃくちゃひ弱ですからね!?」

「そのひ弱な君に同じ男として見苦しい真似をしていた自分を八つ裂きにしたいぐらいに恥ずかしいんだよ、俺は。もぉ……。何だよ、めちゃくちゃ強かじゃん、こいつ……。はっず……。……阿呆かよ、俺は。こんな奴がイリス傷付ける訳ねぇじゃん……。」

「そ、そんな、っ、気にし過ぎですってば……! ほ、ほら、早く立ってください! 通行人が見てますよ!!」


 何ならイリス先輩も中からずっと見てるんですってばぁ……!! あの人、マジで何でガン見してんの!!? こういうの興味ないタイプでしょ!!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ