アンネリカの様子がおかしい~ディラン視点~
アンネリカと結婚式を挙げてから、半年が経った。相変わらずアンネリカは、とても可愛い。あのデブ王太子誘拐未遂事件以降、比較的自由にさせている事もあり、玄関まで俺を迎えに来てくれる様になった。アンネリカが嬉しそうに飛びついて来る姿を見ると、1日の疲れも一気に吹き飛んでしまう。
そんなアンネリカは、相変わらずフェーヴィッド伯爵夫人や母上、さらに義母上とよくお茶をしている。ただフェーヴィッド伯爵夫人の妊娠が先月判明した為、ここ最近は来ていない様だ。
その代わり、メルダシア王女に会いに週に1度は王宮に行っている。王宮の中庭で、なぜか王妃まで乱入して3人で楽しそうにお茶をしている姿をよく見かける。
そうそう、メルダシア王女が自国から犬を連れて来たのだが、なぜかアンネリカはその犬が可愛くて仕方がないようだ。
「今日はネロ様の為に、犬でも食べられるお菓子を作りますわ」
そう言って嬉しそうにお菓子を作っている。俺は正直犬が苦手なので近づかない様にしているのだが、なぜか俺を見つけると嬉しそうに飛んできては飛びつかれる。はっきり言って、迷惑以外何者でもない!
そして王太子でもあるグレイソンとメルダシア王女だが、2ヶ月前正式に夫婦となった。本来、もう少し時間をかけて王妃教育を行うはずだったのだが、メルダシア王女が優秀だった事と、王太子が“もう待てない”とゴネた為、急遽早まったのだ。
本当に王太子の我が儘には俺も振り回されっぱなしで困っている。あいつはにっこり笑って、いつの間にか仕事を押し付けていきやがる。
今回も
「ディランが結婚式を挙げた時、休みを1ヶ月あげたのだから僕も貰うね」
そう言って、しっかりと1ヶ月休みやがった。そのせいで、俺は大忙し。帰りも遅くなり、可愛いアンネリカとの時間も減ってしまったのだ!最近やっと仕事も落ち着き、アンネリカと平穏な日々を送っているのだが…
なぜかここ数日元気がないアンネリカ。俺が帰って来てもベッドに横になっている事も多く、体調が優れない様だ。本人曰く、最近暑い日が続いていたので、暑さにやられただけだと言っているが、正直心配でたまらない。
医者に診せようと思ったのだが、頑なに拒むアンネリカ。医者に診せると注射をされるのではないかと、怯えているのだ。そう、アンネリカは注射が大の苦手なのだ。一度風邪を引いた時、注射を打ってもらった事があるのだが、それ以来大の医者嫌いになってしまったのだ。
「アンネリカ、もうご馳走様かい?」
今も一緒に晩ご飯を食べているのだが、1口2口スープを飲んだだけで、もうスプーンを置いてしまった。
「ええ、どうやらまだ食欲が戻らないみたいで。でも大丈夫ですわ!ほら、こんなに元気ですから!」
そう言って元気アピールをするアンネリカ。そう言えば、最近顔色も良くない。そもそも、元々細かったアンネリカが、また痩せてしまった。もしかしたら、重大な病気が隠れているかもしれないし!
さすがにもう我慢の限界だ。
「おい、今すぐ医者を呼べ」
急いで近くにいたメイドに指示を出す。
「ディラン様、大丈夫ですわ。ほら、こんなに元気ですもの」
必死に元気アピールをするアンネリカ。
「ではどうしてそんなにご飯が食べられないんだい?おかしいだろう!とにかく、一度医者に診てもらうから、いいね!ほら、ベッドに入るんだ!」
アンネリカを抱きかかえ、ベッドに寝かす。最近少し自由にしすぎたせいで、疲れがたまったのかもしれないな。これを機に、アンネリカの生活を少し制限するのもいいかもしれない。
そもそも、アンネリカは俺のものだ!そうだ、体調が戻るまで、部屋から出る事を禁止しよう。それから、俺も仕事をセーブしてなるべく家にいる様にしよう。そうだな、仕事は王太子にでも押し付ければいいな。王太子の野郎、結婚後1ヶ月も休みを取りやがったんだ!それくらいしてもらっても、バチは当たらないだろう。
そんな事を考えていると、医者がやって来た。医者を見て俺にしがみつくアンネリカ。怯える姿も可愛い!アンネリカが少しでも安心できる様、ギューッと抱きしめ返した。
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。それで、今日はどうしましたか?」
「アンネリカの体調が最近良くないんだよ!食欲もないし、何か重大な病気が隠れているのかもしれない!すぐに診てくれ」
「分かりました、すぐに診させていただきますね」
そう言うと、早速診察を始めた。
「若奥様、最後に月のものが来たのはいつですか?」
月のもの?そんな事を聞いてどうするつもりだ。でも、なぜかアンネリカは口を押えている。何か心当たりでもある様だ。
「そう言えば、2ヶ月くらい前に来たっきり、来ておりませんわ。先生、まさか!」
「そうです、そのまさかですよ!」
そう言って、アンネリカににっこり微笑む医者。俺にはさっぱり分からない。
「アンネリカ、一体何が“まさか”なんだ!俺にもわかりやすく説明してくれ!」
「ディラン様。私のお腹に、あなた様の赤ちゃんが宿ったのです」
「何だって!赤ちゃんだと!」
俺たちの赤ちゃんが、アンネリカのお腹に!そう思ったら嬉しさが込み上げてきて、アンネリカをギューッと抱きしめた。
「明日もう一度詳しく調べてみないと何とも言えませんが、ほぼ間違いないでしょう。体調が悪いのは、つわりの様ですね。それではまた、明日伺います」
そう言って帰って行こうとする医者。
「おい、今すぐ必要な器具を持って診察をしろ。明日まで正確な結果がお預けなんて、耐えられない!」
とにかく、今すぐ調べて欲しいのだ!
「わ…分かりました。では、すぐに準備をしますので、少しお待ちください!」
検査の結果、やはりアンネリカが妊娠している事が分かった。アンネリカのお腹に、俺たちの子供が!こうしちゃいられない!さっそく父上や母上、さらにアンネリカの家にも使いを出し知らせた。
しばらくはアンネリカの側に居いる為、さっそく王太子に手紙を書き、休暇を貰う事を伝えた。とにかく、今はアンネリカの側を1秒だって離れたくはない!そうだ、万が一アンネリカが転んでは大変だ。俺がいる時以外、立ち歩くことを禁止しよう。もちろん部屋から出る事も禁止だ。
万が一風邪でも移されたらシャレにならない。人に会う事も禁止しよう。メイドたちももちろん、部屋に入る事は禁止だ。
アンネリカのお腹を撫でながら、頭の中で恐ろしい計画を立てるディランであったが、医師や出産経験者でもある女性陣(主にお互いの母親や王妃、妊娠中のイザベラなど)から猛反論にあい、脆くも打ち砕かれたのであった。
随分と期間が空いてしまいました(;^_^A
不定期ではありますが、番外編を少しずつ投稿していこうと思っています。
よろしければ、よろしくお願いしますm(__)m




